“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十九通目『そのセットリストは戦略的か』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十九通目『そのセットリストは戦略的か』
君がローカルアイドルだとすると、きっと複数のアイドルが共演する「対バンイベント」に参加することがあると思います。
15分~30分程度の持ち時間をもらい、ステージでパフォーマンスを披露するのでしょう。
セットリストは事務所の代表やプロデューサー、あるいはグループの運営やマネージャーが決めているのかもしれません。
でも、もし、自分でセットリストを決めているのであれば教えてください。
「そのセットリストは戦略的ですか?」
そのセトリ。「明確な意図」を持って組まれたものでしょうか。ただ好きな曲を並べたり、自分の体力配分などの都合だけで決めてしまってはいないですか。
初見の観客が混ざるアウェイなフロア。そこでの仕事は大きく2つあります。ひとつはお金を払って自分を見に来てくれたファンを満足させること。もうひとつは新規のファンを獲得することです。
わずか15分~30分の持ち時間。その中で誰かの心を奪い、終演後に足を止めさせるには、曲順という名の感情の動線設計が不可欠です。
1曲目で何を「提示」し、2曲目でどんなギャップを「証明」し、ラストでどんな未来を「約束」するのか。セットリストとは、単なる曲の列挙ではなく、観客の心理を揺さぶるための極めて高精度な戦術書なのです。
自分が「見せたい自分」と、初見の観客が「一度に受け取れる情報量」は違います。あえて序盤に静寂を置いてフロアの私語を撃ち落とすのか、怒涛のキラーチューン連打で思考を奪うのか。重要なのは、「このライブが終わった瞬間、フロアにどんな感情の余韻を残したいか」というゴールからの逆算です。
また、「どんな観客がいるか」も重要な要素です。自分の前はどんなアイドルで、自分の後はどんなアイドルがステージに上がるのか。そのファンは何を好む人なのか。地元の人なのか遠征してくる人なのか。
そういうことを調べて、仮説を立てて、戦略を練るのです。
ただの「楽しかった発表会」で終わらせるか、「何者か」として強烈な爪痕を残すか。次にステージの袖に立つ前、もう一度そのリストを見つめ直してみてください。
レパートリーという限られた手札を、どのような順番で切っていくかで勝負は決まります。
あなたが考えたそのセットリストは戦略的ですか?
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十八通目」は2026年8月12日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百四十通目」は2026年8月26日の記事