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LIFLEゲームブログ

LS/Black Diamond 1話 暗闇の中で

2019.03.20 06:59

「はぁ・・・」

溜め息をしながらいつものように注射を受ける少女がいる。

「本当にこの注射・・・何の意味があるんだろう」

そう疑問を持ちながらも行く当てのない私を保護してくれているこの施設からは逃げようとも思わなかった。特に行くあてもないからだ・・・

私の名前はミリア。グリーン・アイという施設でお世話になっているただの女の子。

1日に必ず3回の注射を受けることになっている。

痛くもないし、ましてや病気もしていない。じゃあ・・・何のために?

担当の人たちに聞いても、みんな答える内容は同じ病気の治療薬の開発のため。

同じ答えしか返ってこないので聞くことをやめてしまった。なんでもアークス達が使っているモノメイトとかいう回復アイテムを製作した大手会社の傘下であるグリーン・アイ。

それの新しい物を開発しているといわれればその開発に関わった重要人の一人になれるのだから嫌がる理由はないだろう。施設の誰もが嫌がらなかった・・・のだが

私は違った、最近変な夢を見るようになったからだ。

注射を打たれてから何か攻撃したくなるような、体の奥からこみ上げてくる攻撃的な思いがこみ上げてくる。時々抑えられなくなることが多かったからだ。

幸いこの施設にはVRではあるが射撃訓練や運動するための器具など多種多様にわたるものがあったので色々とやって体を動かし、その衝動を発散していた。

施設の人に言ってもみんな大体はそんなもんだよと返され、診察してもらえない。

だからこそ不安になってしまった、あの注射には何かがある・・・

「ミリアお姉ちゃん・・・大丈夫?」

と考え事をしていて難しい顔になっていたのかステファニーに心配されてしまった。

「ううん・・・なんでもないよステファニー」

心配させないよういつものように優しく名前を呼ぶ。

ステファニーも私と同じく注射を3回受けている。私は20歳だが彼女は7歳。

こんな幼い子までも実験対象なのである。この施設には5歳から~20歳までの人たちがいる。この施設は身寄りのない子供やストリートチルドレン達が集められていたからだ。

だから他に行く当てもないのだから逃げたいと思うこともない。

それでも、私は外に出てみたいと思っていた。アークスに憧れていたからだ。

だがフォトンが扱えなければなれる筈もなく、私には適正がないから危ないと言われていた。

こんなこと考えても意味はないし、今日はもう寝よう、そう思い

「注射終ったし・・・戻ろっか」

「うん」

私達二人は同じ居住区エリアにいるので注射が終ったあとはフリータイム。なので2人でよくゲームしたりと色々と遊んでいるうちに就寝の時間になる。

何気ない1日が終り、みんなベッドに潜り眠りに入る。

ビィー!!ビィー!!ビィー!!

と突然大きな警報音が施設を駆け巡った。

「緊急事態発生!施設内に何者かが侵入!繰り返す、施設内に侵入者!職員は至急迎撃に当たってください。職員以外の方は速やかに非難区域に移動してください」

施設の子供達は大パニック。私は急いでステファニーを抱えて、非難区域に向かった。

職員の人たちが子供を誘導している時

ダダダダダダダダダダダ!!!!!!!!!!!!

「じゅ、銃声・・・?」

誘導していた職員の人達、子供達が血吹雪をだしながら倒れていく。

「う・・・嘘でしょ?なんでこんな・・・」

あまりの恐怖に体が動けなくなる。力が入らなくなる、何も考えられなくなる。

その時、後ろからダダダダ!!!!!と銃声が聞こえたと同時に、目の前にいた銃を持った人たちは倒れていた。

振り返ると職員の人が銃を持っていた。

「大丈夫か!?ミリア!ステファニー!」

あまりの出来事に声が出なかった、頭を動かして返事をすると

「テロリスト達が襲ってきたんだ君達は速く非難カプセルに隠れるんだ、そこまで行くからついてきなさい」

職員のライルさんに守られながら私とステファニーは非難区域に向かった。

どれくらい走ったのか解らない、息切れしながらもようやくたどり着く。

「ライル!無事だったか!」

「ええ・・・弾はもうほぼないですけどね・・・」

そういってカプセルに入れてくれたこの人は、この施設の副責任者。ゴールドンさんだった。

「ゴールドンさん・・・他の皆は・・・?」

「ああ・・・他の職員が助けに言ってるが連絡が繋がらなくてね・・・正直わからない」

「そんな・・・助けはこないんですか??」

「さっきアークスに救援要請をだしたからもうすぐ来るはずだよ」

「しかし・・・なんでテロリスト達がここを・・・」

ゴールドンさんが最後に気になるようなことを言っていたが今はそれどころではなかった。

「このカプセルなら二人とも入れるからじっとしてるんだよ」

カプセルがロックされる。

「え・・・ライルさん達は入らないんですか?」

震えてる声で聞くと

「ごめんね、まだ助けに行かないと」

と笑顔で言うライルさん、しかし走ってくるような音と銃声は未だに続いていた。

「ライル!奴らが来るぞ!構えろ!!」

ライルさんがゴールドンさんの所へ付くと二人は銃を撃ち始めた。

銃を撃ち続けたどれだけ時間が経ったのだろう。

二人とも弾切れになり多くのテロリスト達が近づいてきて二人ともテロリストに捕まってしまった。

ライルさんがテロリスト達にばれないよう私達に静かにするようジェスチャーしていた。

テロリスト達は私達に気づいていなかった。

二人ともカプセルからでは見えないところに引きづられていき

バンッ!!バンッ!!

と2回銃を撃つ音が聞こえると同時に何も聞こえなくなった。

床には垂れ続ける血が見えた。二人とも撃たれてしまったのだろうか・・・

再び恐怖で体が硬直してしまう。

銃声の音や子供達の悲鳴が聞こえなくなった。聞こえるのは警報音だけ。

テロリスト達が部屋に入ってきて何か調べている。

「隊長、例のデータ照合、一致しました。間違いありません。これはダーカー因子の実験データです」

私達がカプセルに隠れてるのはどうやら気付かれなかった。

テロリスト達がパソコンをいじりながら何か話している。ミリア達にはよくわからなかった。

「よし、データの摘出終り次第破壊しろ職員と子供達は全員殺せ。ま、もういないとは思うが」

この人がテロリスト隊長だろうか・・・ディスクのような物をしまい

「よし、全部隊に報告ターゲットの入手に成功、全員離脱後にこの施設を爆破する」

!?

ば、爆破!?

テロリスト達は部屋からでていった、逃げるなら今しかないと思ったがカプセルが入力を受け付けない、なんども試すがエラーになる。

「ミリアお姉ちゃん・・・怖いよどうするの・・・?」

ステファニーも一緒に試すがエラーになる。

なすすべがない・・・

もう数分たった・・・もうだめかもしれない・・・そう思っているうちに

施設爆破まで5秒とカウントが始まる

ああ・・・もうだめなんだ、私、ここで死ぬんだ・・・思っていたとき

「死にたくないよミリアお姉ちゃん!」

ステファニーの声で正気に戻る、カウントはもう数秒、とっさの判断でステファニーを抱きしめた。それと同時にカウント0秒。

聞いたことがない程の大きな轟音と共にカプセルは吹き飛ばされ私は意識を失った。


1話~完~