歩き方を見れば、脳の老化がわかる? その1
2026.09.01 08:29
歩き方は「脳からのサイン」?
「最近、歩くのが遅くなったと家族から言われませんか?」
「歩きながら話していると、いつの間にか足が止まっていませんか?」
実は、歩き方の変化から認知機能の低下や、将来の認知症発症リスクをある程度予測できることが、近年の研究でわかってきました。認知症の症状がはっきり現れる前から、歩行速度が遅くなったり、歩幅が小さくなったり、歩行のリズムが不安定になったりすることがあります。
また、「歩きながら計算する」「歩きながら会話する」といった二つのことを同時に行う「二重課題(デュアルタスク)」で、歩く速度が極端に遅くなったり、足が止まったりすることも、認知機能低下の一つのサインとして注目されています。
歩くという動作は、単に足の筋肉を使っているだけではありません。周囲を見ながら、バランスを保ち、次の動作を判断するなど、注意力や判断力、遂行機能といった多くの脳機能を同時に使っています。「歩くことは、脳を映す鏡」ともいえるのです。
ただし、「歩くのが遅い=認知症」ではありません。膝や股関節、腰の病気、フレイル(虚弱)、脳卒中の後遺症、薬剤によるふらつき、心肺疾患など、さまざまな原因があります。
中でも高齢者にぜひ知っておいていただきたいのが、パーキンソン病の歩き方です。①歩幅が小さく前かがみになる「小刻み歩行」、②最初の一歩が出にくい「すくみ足」、③次第に速くなって止まりにくくなる「突進現象」、④歩くときの片側の腕振りが小さくなる、などが特徴です。手の震えを伴うこともありますが、震えがない患者さんもいます。
「以前と歩き方が変わってきた」と感じたら、年齢のせいと決めつけず、一度かかりつけ医に相談してみましょう。
(川端 徹)