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にゃんにゃん探偵チャーリーの冒険 ~ザ・ゲーム~・第15話 『ペスト、族長の秋、あるいは不条理に対する誠実さ』

2026.08.30 06:48

 今年一番の忙しさが怒涛のように押し寄せ、息をつく暇もないような日々を送っています。相次ぐ自然災害の脅威や物価高、そしてどこまでも不条理な社会情勢を前にすると、ときおり自分が底なしの暗闇に呑み込まれそうになる感覚を覚えます。

 そんなとき、僕はふとアルベール・カミュの小説『ペスト』のことを考えます。理不尽な疫病によって封鎖された市街で、不条理な死が積み重なっていくなか、主人公の医師リウーをはじめとする人々は、大げさな英雄主義や政治的なパフォーマンスに走ることなく、ただ「自分の職務を誠実にこなすこと」によってペストという絶望に抗い続けました。

 ひるがえって、いまの政治家たちの姿はどうでしょうか。高市早苗に象徴されるような、権力欲とタカ派的な妄想を狂い咲かせる政治家たちの姿を見ていると、ガルシア=マルケスの『族長の秋』に登場する孤独な独裁者を思い出さずにはいられません。現実の市民の苦しみや生活の悲鳴など端から眼中になく、自らの全能感と肥大化したナルシシズムの中で「軍拡」や「国家」という幻想を語り続けるその狂気。災害や社会の危機が訪れても、彼らが熱心に取り組むのは市民の命を守る泥臭い実務ではなく、カメラの前でいかに「強いリーダー」を演じるかという浅薄なパフォーマンスと不都合な事実の隠蔽ばかりです。大言壮語と嘘の言葉を撒き散らすその姿は、カミュが描いた不条理な疫病よりも不気味で、虚無的に見えます。

 けれど、この不条理で歪んだ世界を本当の意味で支えているのは、狂気と虚妄の言葉を語る権力者などではありません。いまの僕と同じように、フリーランスとして自宅の持ち場でデスクに向かい、どれほど多忙であっても今日という一日を誠実に生き抜こうとしている名もなき市民たちの日常です。大げさな正義を振りかざすのではなく、目の前にある己の仕事を淡々と果たすこと。それこそが、権力の狂気や不条理な社会に対するもっとも強靭な抗体なのだと信じています。

 激しい仕事の波をなんとか乗り切り、ようやく作業を終えてデスクから立ち上がると、そこには僕の「誠実さ」を試すように、チャーリーが静かにたたずんでいます。どれほど外の世界が混乱していようと、彼にとって重要なのは「決められた時間に、正しく、おいしいご飯が供されるか」という圧倒的なリアルだけだからです。

 権力者たちの狂気と空疎なパフォーマンスを冷ややかに見つめながら、僕は今日も自宅の持ち場で自分の仕事を全うし、チャーリーの飯の時間を守ります。不条理な世界を生き抜くための小さくも誠実な誓いを胸に、今夜も無垢な毛玉とともに乾杯するとしましょう。あっ、どうも。岩崎(チャーリーの飼い主)です。