ティベリウ・オラフ クラリネット独奏のためのソナタ 1963
【第34回定期演奏会の当日、田中香織さんが演奏された曲ですが、個人的に「聴けて良かった!」と感動した曲でもありましたので、ここに紹介させていただきます。by サイト主】
ティベリウ・オラフ(1928~2002)のクラリネット独奏のためのソナタは、田中さんがスイスのバーゼルで学んでおられた頃、ハンガリー人の学生が課題曲として取り組んでいたので知ったという曲。
(作曲家の略歴・主な作品はこちらをご覧ください。変な日本語訳ですが。苦笑)
クラリネットという楽器の持つ豊かな表現力を生かし、ゆったり多彩な音色で歌ったかと思えば、音量・緩急を急激に変化させ、幅広い音域をあちらこちらに飛び跳ねたり、更には破裂音等の特殊な響きを混ぜることで空間を広げたりと、独特な間合いで次から次へと新たな展開を繰り広げることで生まれる緊張感、空気感。いつの間にか聴き手は集中力を高められ、この曲の世界・響きに魅せられ、翻弄されている内に気がつけば、あっという間に終曲。演奏時間は4~5分程度と短いにも関わらず、とてもそうは思えない極めて密度の濃い曲。
ハンガリー人達が地道に演奏することで世界中に広めていったとのことでしたが、確かにそれだけの魅力を兼ね備えた曲には違いありません。
そして実際、Youtubeで検索したところ、ライブ動画も含めて何件もアップされており、驚いた次第です。(検索ワード:Tiberiu Olah Sonata for clarinet solo)
こちらがその動画の一つですので、ご参考まで。
演奏前の曲目説明で、「現代奏法がたくさん出てくるのでとても難しい曲、なんて、私が言ってはいけないのですが。。。頑張ります」と言って笑いを取られた田中さんでしたが、ホール中を完全に支配するような実に素晴らしい演奏で、すっかりこの曲のファンになってしまいました。