車座
こんばんは。
民藝と発酵をモノサシに食を通して健やかな暮らしを提案する古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ プロデューサー,バイヤーの太田 準です。
先日まで、阪神百貨店1F食祭テラスで開かれてました、小倉ヒラクさんpresents発酵マーケット第五回。大盛況にも関わらず(大盛況過ぎて?)実は今回で最終回とのこと。昨日、百貨店の催事責任者の方がテマヒマにお立ち寄り下さったのですが、そう言えば、ブログでは達郎さんのライブのことで終わってたことに思い出し、少し書き留めておきたいと思います。と言いつついつものようにどんどん脱線していくわけですが笑。
お邪魔したのはイベント初日の昼過ぎ。発酵食品がバラエティ豊かに並び、沢山のお客様ですごい熱気でした。特筆すべきは青山ブックセンターによる選書棚。ヒラクさんの「発酵文化人類学」「日本発酵紀行」「アジア発酵紀行」「僕たちは伝統とどう生きるか」、最新刊「日本人の発酵史」は勿論のこと発酵関係の本がずらり。発酵からの連想で並ぶ様々な本のセレクトが絶妙で、興味津々でした。後で、ポッドキャスト番組「ラジオただいま発酵中」の青山ブックセンター店長の山下さん出演回(公開収録)を聴きましたがとても面白かったです。書店の立ち位置の変化もですが、セレクト/キュレーションということについても考えさせられます。是非聴いてみて下さい。
僕が、linne(リンネ)(の今井翔也さんともお話出来て楽しかったです)のクラフト酒片手に聴かせて頂いた同番組の公開収録は、蛍池の味噌ラーメン専門店みつか坊主の店主・斉藤光典さんゲスト回。みつか坊主さんは梅田にあった時は何度か、蛍池には一度行きました。味噌ラーメン専門店と書きましたが、今やラーメン以外の発酵食品にも広がっていて、発酵仲間としていつか何かご一緒したい感じ。トークの中心は、斎藤さんが昨年から手掛ける「惑星のウドンド」というお店のお話。とても硬いうどんらしいですが、麺を茹でるところから完全セルフ、無人で、24時間営業。長時間労働、薄利多売という飲食店の当たり前(不都合な真実)への挑戦で、テマヒマにおいても継続性の観点で大きな課題。新しい資本主義を目指すという意味では、アプローチは違えど、志は共通している気がします。
このイベント5日目には講談社現代新書の編集者・今野正悦さん(女性です!)が登壇。実は彼女がヒラクさんに「伝統についての本を書きませんか?」という長文のメールを送ったのがきっかけでこの本が生まれました。お店があって行けず、こちらもポッドキャスト(チャンネル名は大阪スケジュール)で追っかけで聴きました。「僕たちは伝統とどう生きるか」のお取り扱い前に今野さんとはメールではやりとりしていましたが、お声を聴くのは初めて。これまた素晴らしい内容だったので、是非聴いてみて下さい。昨日のその百貨店の催事責任者の方とも話していたのですが、まだ入社3年目ですが、かなりの逸材!!に感じます。実は講談社さんとは前職でコラボ誌を出していたことがあり担当していたのですが、雑誌だったり、ファッションだったりという違いもあるとは思いますが、随分「編集者」のイメージが変わるぐらいでした。
編集者・今野さんが、「ぼくたちと伝統とどう生きるか」の中で思わず涙したという文章を、ヒラクさんに促されて朗読するという場面がありました。
『岸に寄せられた鵜飼舟のうえで、鵜飼と二羽の鵜がとなり合っている。鵜飼は鵜を必ず二羽ペアにして育てる。夫婦ではなく、生涯をともにするバディ。このバディを「かたらい」と呼ぶ。
かたらいは、傍らにいることであり、語り合うことである。「かたらい」にすることによって、孤独を防ぎ、お互いに助け合って漁をする。そんな二羽の鵜がとなり合って何かをかたらっている。(略)
一人の鵜飼と、二羽の鵜がとなり合って、かたらっている。たいした話じゃないかもしれないし、かけた言葉が返ってくるとは限らない。でもそれでいいのだ。向かい合えば、返事が欲しくなる。自分の言っていることを相手が理解しているのか確かめたくなる。
しかし「かたらい」はそうではない。向かい合わずにとなり合って、一緒に川を見ている。大事なのは対話ではなく、一緒の目線で身体を動かして漁をすることなのだ。そのために、言葉で対話のできない鵜とかたらい、水底にいるアユとかたらい、川という自然とかたらう。
意識は向かい合うか、あるいはまったく触れ合わないかしか選べない。
しかし身体は、向かい合うこと無視することもなく、ただとなりあうことができる。理解し合うことがなくても一緒に何かをすることができる。』
改めて良い文章だなぁ。『向かい合えば、返事が欲しくなる。自分の言っていることを相手が理解しているのか確かめたくなる。』ホンマそう。今野さんの声を通して聴くとさらに心に沁みてくる感じがありました。本を読む時に声を出して読むことはほとんど無いですが、声に出すのって良いかも。富山のとなみ民藝協会では、兵庫県民芸協会の月イチ読書会とは違って、声に出して読む、「輪読会」をされているそう。それも良いかも。
ヒラクさんと今野さんのトークでは、この「向き合うのではなく隣り合う」ということがテーマの中心になっているように感じました。ふと、テマヒマの月イチ朝カフェ「哲学対話の時間」(哲学カフェ)を思いました。定員12名(来週13日の第十七回目は残り2席です!)が車座になってるので、正面の人は向き合うことにはなりますが、感覚としては全員が隣り合っている感じ。哲学「対話」と呼んでいますし、もちろん言葉を使っているのですが、お互いを理解し合うとか、何か合意形成や正解探しをしようしている訳ではありません。実際約1時間半を経て持ち帰るものは参加者お一人お一人全く違っているのではと思います。だからこそ尊いのでは?と。
9/16から高島屋の催事「民藝展」が始まります。催事3日目、再来週の今日、9/18(金)14時から、小倉ヒラクさんと僕とで「民藝と発酵~生きるためのモノサシ」というテーマで「かたらい」ます。前打ち合わせは一切無し。どのような話になるかワクワクドキドキです。定員は着席20名様でイベントの30分前より先着順で座席券の配布があるようです。トークタイトル(通りになるかどうか分かりませんが)にピン!ときた方は是非お越し下さい。
小倉ヒラクさんのその「僕たちは伝統とどう生きるか」が売り切れてしまったり、ドリンクチケットの販売が累計99人になったり、思いやりノートが2冊目に入ったりしつつ、テマヒマ本日の営業終了しました。のんびりとした店内でしたが、雨の中お越し頂きました皆様ありがとうございました。この雨、長く続きそうですね。。。
明日も11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。ランチの11時半,12時のお時間はご予約で残り7席となっています。
それでは明日も好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。
今日も一日お疲れ様でした。好い夜をお過ごし下さい。