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ないとう農園

みずくれども

2026.09.04 10:49

 秋作の種まきが始まりました。 

 キャベツやレタス、ブロッコリーなどの種をセルトレイにひと粒ずつどんどん蒔いて、育苗ハウスに並べては、植え付けまでの3週間くらい面倒をみるわけですが、これがなかなか油断なりません。  世話といっても実際には水やりくらいなものなのですが、その水加減たるや意外なまでに難しく、あげそびればこの暑さ、しかも暑い外よりなお暑いビニールハウスの中なわけですから、うすいトレイにつまった土の水分くらい、わけなく即刻乾いていきます。うっかりすると枯れ上がり、まだ発芽したての幼苗は無慈悲なまでに干からびて、うっかりどころの事態じゃなくなり、だからつい心配なのでひまさえあればせっせと水をあげたくなるわけですが、だからといってただあげればいいというわけでもありません。  

 というのも、日射と熱と水分の一揃いが植物の周りにひたすらあれば、光合成で葉っぱが勢いよく伸びていき、なにせ光合成の現場はまさに葉っぱなのですから近いとこから盛り上がり、結果、ブドウ糖の合成現場から一番遠い根っこの先は後回しになり、そっちの方まで出来たての糖を送ってやる余裕なんてありません。  

 暑いと呼吸も荒くなり、吸って吐いてで糖をどんどん使っちゃうものだから、いよいよ根っこの成長どころではなく、というのも、しょっちゅう水やりをやって根の周りがいつでも濡れているとなれば、わざわざ根っこを伸ばしてもっと遠くから水分をとってくる必要なんてないのだから、根の成長が大人しくなるのも当然で、こういう状況では相対的に葉だけがやけに茂ります。

  こういう苗はうまくなく、一見すると本葉3枚4枚が大きく開き、青々いい具合に育っているようにみえるのですが、どっこいその苗をセルトレイから引き抜くと、根回りが悪く、根鉢が全然つくれてなくて、ポロポロ土がこぼれてしまい、いかにも見かけ倒しの苗というもので、こんな苗で灼熱の畑に植えてしまったら最後、直射であっけなくダメになってしまうこと必至です。 

 水やり一つとってもコツがあり、朝にたっぷり水をあげ、夕方うっすら乾いているくらいがちょうどよく、そうすれば夜の間に水気をもとめて根が伸びて、葉に後れを取ることなく成長します。そういう苗をつくらないと、植える段にスポスポ小気味よく引き抜けなくなり、後々の作業のテンポにも響いてきます。  

 農業のコツは、栽培にはコツがあり、栽培というの実は上手になりえる類の技術だと自覚することにあるのかもしれません。自然にまかせっぱなしでもわりとそれなりに育ってしまうし、ダメになるときだって自然の猛威にかかれば技術の差なんてあってないものという事態も少なくないので、ついコツがあるというののを忘れてしまうこともありますが、自然相手でもやはりある程度は努力が通じることも覚えておかないとと思います。