御経日(毎月1日) 住職法話 『臨終用心抄㉘』
令和8年7月度 お経日 拝読御指南
『臨終用心抄 二十八』
(総本山第二十六世日寛上人が臨終の大事とその心得を御指南された書)
行力(2)――下根の人であっても一期の間に成仏できる。
【本文】
御書の二十八に云わく「此の道に入りぬる人にも上中下の三根はあれども、同じく一生の内に顕すなり。上根の人は聞く所にて覚りを極めて顕す。中根の人は若しくは一日、若しくは一月、若しくは一年に顕すなり。下根の人はのびゆく所がなくてつまりぬれば、一生の内に限りたる事なれば、臨終の時に至りて、諸の見えつる夢も覚めてうつになりぬるが如く、只今まで見えつる所の生死妄想の邪思い、ひがめの理はあとも形もなくなって、本覚のうつつの覚りにかへりて法界を見れば皆寂光の極楽にして、日来(ひごろ)賤(いや)しと思う我が此の身が、三身即一の本覚の如来にてあるべきなり」〔一〇五〕。
【語句の解釈】
・ 十如是(じゅうにょぜ)事…正応2(1289)年、大聖人様が57歳の御時に認められた御書です。別名を「法華経肝心抄(ほけきょうかんじんしょう)」とも称します。内容は、初めに、我ら衆生の身が三身即一の本覚の如来であることを法華経『方便品』の十如是を挙げて示されます。次に、信心する者には上・中・下の三根があるが、上根の者は法を聞いてすぐに覚り、中根の者は一日、一月、一年で覚り、下根の者は臨終の時に至って覚ると仰せられています。さらに、妙法蓮華経の法が広く流布している理由について、妙法の体は我ら衆生の心根の八葉の心蓮華であり、我が身の体が妙法蓮華経であることを知れば、我が身が三身即一身の本覚の如来となることを明かされます。そして、このことを信じて一遍でも南無妙法蓮華経の題目を唱えるならば、法華経一部を読誦したことになり、十遍は十部、乃至千遍は千部、如法に読誦したことになると仰せられ、このことを信じて修行に励む者を如説修行の人というのであると述べられて、本抄を結ばれています。
・三身即一身…三身:法身如来(法(法性・真理)を身とした仏)・報身如来(法を大智慧によって悟る仏)・応身如来(法と智慧を具え実際に誕生された仏)、この三身が我が身の上にあることをいう。(『大白法』令和8年6月16日号参照)
【現代語訳】
また『十如是事』に次のようにある。 「仏道に入る人には、機根に上中下の異なりはあっても、同じく一生のうちに、我が身即、三身即一身の本覚の如来と顕れるのである。機根が高い上根の人は、聞いてその場で覚りきって即身成仏の理を顕し、中根の人はあるいは一日、あるいは一月、あるいは一生のうちに顕すのである。機根が低い下根の人は、(修行や学問で得られる領解が得られずに)行き詰まっても、一生の間に成仏することは決まっている。よって臨終の時に至り、諸々の見ていた夢から覚醒するように、今まで見ていたところの生死に迷った考えや偏った見方は跡形もなくなり、本覚の覚りに目覚めて法界を見れば、(真実の法界はすべて汚れなき清浄の)寂光の極楽の世界である。すなわち、日頃から賤しいと思っていた我がこの身が、三身即一身の本覚の如来であると目覚めるのである」
(御書105㌻趣意)
【御指南を拝して】
今回は「行力(2)――下根の人であっても一期の間に成仏できる」を拝しました。
前々回までに「妙法の四力(仏力・法力・信力・行力)」中、三力(仏力・法力・信力)の御指南を拝しましたが、日寛上人は仏力について、御本仏日蓮大聖人様=人本尊が御図顕された大御本尊様=法本尊を拝すれば仏力。法力について、御本仏日蓮大聖人様=人本尊が御図顕された大御本尊様=法本尊を受持すれば法力。信力について、御本仏日蓮大聖人様の御本尊様を絶対の仏様と拝し、強盛に信じることが信力。そして行力については、前回(行力(1))で、大聖人様御図顕の御本尊様を無疑曰信の信心で信じ、それ以外の仏を雑えず、唯々南無妙法蓮華経と唱えることが行力と仰せられていました。
今回拝読の御指南では、成仏が可能な人には上根・中根・下根の三種類(三根)があると示され、仏様の教えを覚るのに、それぞれの時間の差があると明かされています。特に下根の者は、死・臨終を迎えるまで、それを得られないが、必ず臨終のその時までに仏の教えの覚りを得て、成仏することができると明かされています。今回(行力(2))と前回(行力(1))を振り返って、上中下のいずれの機根でも必ず成仏できるのだから、臨終の際には、成仏得道を願い、一身にお題目を唱え励むことが大事です。
しかし決して忘れてはいけないことは、真に行力の功徳が顕れるのは、仏力・法力そして信力が正しくあってこそ行力の功徳が正しく顕れてくることを忘れてはいけません。その功徳の顕れを日寛上人は「百年間修行行うよりも勝る功徳」と仰せられているのです。
今回までで、妙法の四力を拝しましたが、この四力が正しく拝し(仏力・法力)、そして行える(信力・行力)よう、そして臨終のその時には即身成仏の大願を果たせられるよう、今の平生から努めていきましょう。
以上
・7月唱題行(7月1日~31日) ㈠午前9時 ㈡午後1時 ㈢午後6時30分
・百日唱題行(7月1日~10月14日) ㈠午前9時 ㈡午後1時
・盂蘭盆会法要 8月15日(土)㈠午後1時 ㈡午後7時 8月16日(日)午後1時