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雷霆を告げる音

巡る [笑う花 10話]

2019.03.21 13:33

夏も終わりってしまいもう秋だ、

同僚とは何度かデートをして確信に近いものを感じている。

俺はそれがとても嬉しいが、喪失感が徐々に心の中で大きくなってくるのがわかった。


1つを得ると1つを失う、

家に一人で考え事をしていても結局ショウに聞かれてしまう。

ショウが居なくなってしまうのは寂しいが、叶わぬことだと懇々と言われては、ただの世間話をするしか出来なくなってしまった。


「おい、ヒロシ!私の出番がめっきり減ってしまってるじゃないか」


うわ!いきなり話しかけてくるなよ。


「そんなことより私はそろそろ花を咲かせる準備をしないといけない」


やっぱりそういう時期に入って来ているのか?


「そうだな…

なんだ?その顔は笑わせるなよ、堪えるのに必死になってしまうだろ?ヤメろ」


誰も笑わせるような顔してねぇーだろ!


「冗談だよ、それと同僚とは上手くいってるみたいだな」


なんだよ、やっぱり霊的な力で見られてるのか。

このまま付き合うことになりそうだ、

そのまま順調にいけば結婚もしたい気持ちもある。


「それは良かった、私も本望だ」


色々迷ったけど、今を大切にしていくことに決めたよ。


「そうか」


まだ花を咲かすのは先だろ?

まだまだショウには話しをしたいことが一杯あるし、相談に乗ってくれよ。


「ヒロシ、人生とは巡るものだ、

その回転には誰も逆らえない。

だからこそ自分の意思と誇りは失ってはいけないのだよ」


いきなりなんだよ?


「"今を大切にする"とても良い言葉だ」


「その言葉と私のことは、忘れてくれるなよ」


その言葉を聞いてからと言うもの、

ショウは喋らなくなった。


俺はただ花が咲くのを待っているだけになってしまった。






続く。