【書籍入荷】墨子よみがえる: “非戦”への奮闘努力のために
2026.09.13 02:10
墨子よみがえる: “非戦”への奮闘努力のために
半藤 一利 (著)
本書は、昭和史研究の第一人者として知られる作家・半藤一利氏が、中国古代の思想家「墨子(ぼくし)」の哲学を現代によみがえらせようとした一冊です。半藤氏が2021年1月に逝去する直前まで書き続けた、いわば「遺言」ともいうべき思想書であり、平和への強い願いが全編にわたってにじみ出ています。
墨子は紀元前5世紀ごろの人物で、孔子とほぼ同時代に生きた哲学者です。
孔子が礼や仁を重んじたのに対し、墨子は「非攻(戦争反対)」「兼愛(すべての人を平等に愛すること)」を核心とする、徹底した非戦・平和の思想を説きました。大国が小国を攻めることを厳しく戒め、武力による支配を否定し続けたその主張は、当時の列強諸侯の間では異端視されたため、孔子ほど歴史に名を残すことはありませんでした。しかし半藤氏は、だからこそ今こそ墨子の思想を見直すべきときだと力説します。
本書の語り口は学術的ではなく、半藤氏ならではの軽妙かつ熱のこもった文体で進みます。読者からも「脱線が多いが面白い」「墨子の入門として堅苦しくなく最適」との声が多く、思想書や歴史書に不慣れな方でもすんなり読み進められます。随所に著者自身の昭和史への洞察や現代政治への鋭い目線が交わり、単なる古典紹介にとどまらない読み物になっています。
巻末には、アフガニスタンで医療・農業支援に生涯を捧げた中村哲氏との対談が収録されており、思想と実践の両面から「非戦」の意味を深く問い直す構成になっています。2500年前の教えが現代にも色あせないことに、改めて気づかされる一冊です。
(by Rufus)