UPDATEではなく、Unknown。
昔の私は、「UPDATEする」という言葉をよく使っていた。
新しいスキルを身につける。新しいものの見方を取り入れる。新しい習慣を始める。
今の自分に何かを足して、少しずつ自分を更新していく。それは今でも大切だと思っている。
ただ最近、それだけでは説明がつかないことが増えてきた。
今の私にしっくりくるのは、UPDATEより、Unknown。何かを足して自分を変えるというより、まだ知らないものが入ってこられる設定に変える、という感覚だ。
UPDATEには、ある程度「こうなりたい」という方向がある。これを学ぼう、この習慣を始めよう、こういう自分になろう——つまり、自分が想像できる範囲の未来だ。
でもUnknownは、まだ何になるか分からない。だからこそ少し怖いし、同時に面白い。
まず、過去を掘り起こすところから始まった
今年に入ってから、私はずっと過去20年分の仕事をAIと一緒に掘り起こしてきた。
昔のブログ。クライアントの体験ストーリー。以前つくったコーチング教材。店長時代の記録。当時考えていたこと。
長く仕事をしていると、自分ではもう価値が分からなくなっているものがたくさんある。ところが、AIに読ませたり、昔の記事を今の視点で見直したりすると、
「これ、今やっていることと同じじゃないか?」 「この頃から、もうこの考え方をしていたんだ」
と、過去と現在がつながって見えてきた。新しいことを始めているつもりだったのに、実際には、昔から持っていたものに、今の言葉を与え直していた——そんなことも多かったのだ。
AIは、未来をつくる道具だけではなく、自分の中に眠っているものを発掘する道具でもあるのだろう。
そして、外に置いてみた
今年は、書く場所も書き方も少しずつ変えた。すでに私を知っている人だけではなく、初めて読む人にも分かるように書くこと。ホームページも大改造し、先週、AIとWeb制作で全体のリニューアルがひとまず完了した。
8月からはさらに、クラウドワークス、ランサーズ、ココナラなど、これまであまり使ってこなかった外部のプラットフォームにも登録した。自己紹介を一から見直し、新しい商品をつくり、仕事にも応募してみた。
独立20年。対話5,000回以上。文章も20年以上書いてきた。それでも、新しい場所に行けば無名の新人だ。
だから、かなり単純なルールに変えた。
とりあえず置いてみる。とりあえず応募してみる。
長く仕事をしていると、慎重になる理由だけはいくらでも思いつく。「もう少し整ってから」「ちゃんと準備してから」——経験が増えると、この言い訳だけ妙に高性能になっていく。
**気づいたら、AIライターの面接まで進んでいた**
8月、クラウドワークスでAIに関するライティングの仕事を見つけた。応募してみると、選考が始まった。最初の課題、次の課題、さらに有料のテストライティング。それもクリアして、来週はなぜかZoom面接だ。
数か月前まで、自分がAIについて記事を書く仕事の選考を受けて、面接まで進んでいる未来なんて、まったく想像していなかった。
発端を振り返ってみても、突然始まったことでもない。
私はブログを22年書いている。独立してからは、自分の商品説明やセールスレターもすべて自分で書いてきた。以前は、クライアントが自分で書いた体験ストーリーを、何年も編集・構成していた。文章をきれいに直すだけでなく、この人らしい言葉はどれか、どこは残した方がいいか、どこを整えると別人になってしまうのか——そんなことをずっと考えていたのだ。
そして、この3年ほどは生成AIと一緒にほぼ毎日文章を書いている。
だから、突然ライターになったというより、これまでやってきたことにAIが掛け合わさったことで、別の仕事として見えるようになった。そんな感じがする。
AI歴は3年。判断の土台は20年。
AIを使っている年数そのものは、長い人でもまだ数年だ。でも、AIが出したものをどう見るか、どこを残すか、どこに違和感があるか——そこには、それまでに積んできた仕事や人生の経験がそのまま乗ってくる。
朝のニーズが、夜には商品になった
最近は、ChatGPTのWorkを使って、毎日クラウドワークスに出ている仕事をチェックしている。ただし、「私に応募できそうな仕事を探して」だけではない。
今、どんな仕事が発注されているのか。どんなニーズが増えているのか。そこに、私の経験を使えるものはあるのか。さらに、「このニーズを、私が商品として出すなら何になる?」まで分析してもらっている。
そして今週、その流れから新しい商品が生まれた。「AIで作ったサービス紹介文を、伝わる言葉に整えます」というサービスだ。
朝、市場のニーズを見る。いつも使っているAIたちと商品会議をする。自分の経験とつなげる。文章を書く。画像をつくる。そして夜には、ココナラに商品として並んでいた。
昔なら商品会議だけで数日かかっていたはずだが、今は朝のアイデアが夜には商品になっている。
その翌朝、ワシントンから注文が来た
さらに翌朝、もうひとつ予想していなかったことが起きた。
4か月ほど動きが止まっていたEtsyで、久しぶりに注文が入ったのだ。注文先は、ワシントンDC。売れたのは、私がデザインしたPaul Kleeのマグカップだった。
広告は出していない。カートに入れたままの方へ送る割引オファー経由でもなかった。普通に見つけてもらって、普通に選んでもらった注文だ。
ライターの選考が進む。AIライティングの商品ができる。その翌朝には、4か月ぶりにワシントンから注文が入る。
この3つは、直接つながっているわけではない。でも、共通していることがある。
全部、外に置いてあったのだ。
応募していなければ、選考は始まらない。商品を出していなければ、買われない。Etsyに置いていなければ、ワシントンから注文も来ない。当たり前のことだが、今になって実感している。
置いていなければ、反応は返ってこない。出していなければ、Unknownも入ってこない。
Unknownを選ぶというのは、何か突飛なことをすることではなく、予想外の反応が返ってこられる場所に、自分のものを置いておくことなのかもしれない。
人生を変えるのは、UPDATEだけではない
「人生を変える」と聞くと、私たちは何かを身につけようとする。もっと学ぶ。もっと成長する。もっと自信をつける。もっと良い自分になる。それも一つの変化だ。
でも最近は、人生を大きく変えるのは、むしろ別の方かもしれないと思っている。
何かを足すことより、未知が入ってこられる余白をつくる。
UPDATEは、自分を更新する。Unknownは、人生に入ってこられるものを変える。
知らない場所に置いてみる。予想していなかった話に乗ってみる。昔の経験を、今の材料としてもう一度見てみる。結果が分かる前に、少し動いてみる。
すると、現実の側から返ってくるものが増えてきた。
昔の私は「UPDATE」と言っていた。今は「Unknown」。自分を変えるだけではなく、まだ知らない未来が入ってこられる設定にする。
毎日、何が起こるかわからない。
それが今は、かなり面白い。