【書籍入荷】中世ヨーロッパの城の生活
2026.09.15 02:15
中世ヨーロッパの城の生活
ジョゼフ・ギース (著), フランシス・ギース (著), 栗原 泉 (翻訳)
本書は、ウェールズ南東部に今も聳え立つチェプストー城を一つの事例として、中世ヨーロッパの城での人々の具体的な生活が、どのようなものであったかを明らかにする学術書。
著者のジョゼフ・ギース夫妻は、年代記や家計簿、裁判記録といった豊富な一次資料を駆使し、単なる歴史的事実の列挙ではなく、当時の人々の生活の息遣いまで感じさせるような描写を実現しています。
通常、中世の城というと、強固な要塞として軍事的側面ばかりが強調されがちです。しかし本書は、城の内部でどのような人間関係が築かれ、何が食べられ、どのような仕事が行われ、季節ごとにどのような変化が生じていたのかに焦点を当てる。領主一族から使用人まで、様々な身分の人々の日常が、実に具体的に立ち現れていきます。
読者からは「具体例や図面が豊富で楽しく読める」「翻訳の文体が分かりやすく、当時の生活が想像しやすい」といった高い評価が寄せられ、見取り図や図版が随所に掲載されており、文字だけではわかりにくい部分を視覚的に補うことで、専門知識がなくても容易に理解できるよう工夫されています。ただし本書は一つの城に焦点を絞った「狭く深い」研究であるため、中世ヨーロッパ全体の城文化を広く学びたい場合には、別途参考資料が必要になる点は留意しておく必要があります。
歴史小説の背景資料としても、あるいは中世ヨーロッパの社会構造を学ぶ入門書としても、充実した内容の一冊です。
(by Rufus)