【請願は「採択すべきもの」となりました。それでも、最後まで考えます】2026/9/14(月)記録
昨日は、総務経済常任委員会で「豪雨災害による上下水道破損復旧」に関する請願について、審査が行われました。
ちょっと小難しいお話になりますが…
見てくださる方がいるといいなぁと思い、アップします。
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請願審査の結果は、
採択すべきもの 4名
不採択とすべきもの 3名
退席 1名(趣旨了承の意向を示していた委員)
となり、委員会としては「採択すべきもの」となりました。
委員長は同数となった時のみ採否を表明します。
また、議長はオブザーバー参加のため採決に加わりません。
そのため、全部で8名での結果となっています。(真鶴町の議員は10名です)
つまり、本会議に対して、委員会として「この請願は採択すべき(請願内容に賛成)」という結論を出したことになります。
私は反対に、「不採択とすべき」との立場です。
これで最終決定ではなく、今週末の本会議で委員長から審査結果が報告され、そのうえで採決が行われます。
その本会議では、私が留保した「少数意見」についても報告させていただくことになりました。
少し長くなりますが、この請願について、なぜ私は不採択と判断したのか。
できるだけ分かりやすく書いておきたいと思います。
[陳情から請願へ]
この問題は、令和6年11月2日の大雨によって私有地の擁壁が崩れ、近隣住民の方々が所有する私設の給水管や排水設備が壊れたことから始まりました。
住民の皆さんから最初に提出されたのは、令和7年4月の「陳情」です。
陳情と請願は、どちらも住民の方が議会に意見や要望を伝えるものですが、制度上の違いがあります。
今回出された「請願」には紹介議員が必要ですが、「陳情」には紹介議員は必要ありません。
当時の陳情で求められていたのは、
「早急に町役場の主導で対応してほしい」
というものでした。
この陳情は、私がまだ議員になる前の令和7年8月20日の本会議で、賛成多数により採択されています。
その後、町は、
・町が復旧工事の計画や設計を行う
・町が工事発注、工事管理、完成検査などを行う
・ただし、復旧費用は住民負担
・復旧後の施設も住民管理
という方針を示しました。
つまり町は、「町主導」を、町が設計や工事を主導することと整理しました。
[今回の「請願」の内容]
今回提出された請願では、これまでの
「住民負担・住民管理」
を、
「町負担・町管理」
に変更してほしい、ということが明確に求められています。
ここが、前回の陳情と今回の請願の大きな違いです。
今回、町から改めて提出された報告書でも、破損した設備は住民の方々が所有する私設管や排水設備として整理されています。
町が所有する公共の上下水道施設ではなく、私有地の私設設備、ということです。
そして町は、住民説明会の中でも、
法律や条例に基づく公金支出には制約があり、復旧費用については住民負担をお願いする
という考えを繰り返し説明しています。
私は、この整理は大変重要だと考えています。
9/16 追記: 同僚議員の投稿を拝見し、大変重要な論点を失念していたことに気付きました。
[私有地の寄付と町道化の問題]
この私道について、請願者の皆さんは、
・もともと民間事業者が開発した地域であること
・過去に町から町道化の打診があったこと
・その後、道路用地の権利関係などから町道化に至らなかったこと
・今回、隣接する土地を町へ無償提供することで、町道化の条件を整えたいこと
などを理由として挙げています。
同僚議員の調べにより、過去の町道化には明確な記録がないことを確認しています。
※またこの件以外にも、請願内容自体に客観的事実との齟齬が含まれる可能性も確認できています。
ここでも様々な整理が必要です。
まず、
土地を町へ無償で提供すれば、その道路が自動的に町道になるわけではありません。
道路法上、市町村道は、市町村長が路線を認定する道路です。
そして、町道として路線認定する際には、議会の議決を経る手続が必要です。
つまり、
「土地を町へ寄附すること」
と
「その道路を町道として認定すること」
は、別の手続です。
さらに、この後が特に大切で、
「仮に道路が町道になったとしても、そこにある私設の給水管や排水設備まで、自動的に町の所有・管理になるわけではありません。」
道路法でも、道路の地下には、水道管や下水道管など、道路そのものとは別の施設を設置して使用する「道路占用」という制度が想定されています。
つまり、道路の管理者と、そこに設置されている管の所有者・管理者は、必ずしも同じではないんです。
ですから今回、単純に
「町道にすれば町が全部管理することになる」
とはいきません。
町道として認定する必要性があるのか。
道路用地を町が受け入れるのか。
その道路を今後町が維持管理するのか。
そして、その下や周辺にある私設給水管・排水設備を誰が所有し、誰が管理するのか。
これを、それぞれ全て分けて整理しなければならない問題なんです。
私は、今回の請願について考える中で、
「道路を町へ移す話」と
「私設設備の復旧費・管理責任を町へ移す話」
が一緒になってしまってはいけないと思っています。
町道化そのものに公益性があるのであれば、それはそれで、町道認定として正面から議論すべきです。
議会の議決が必要ですから、充分に議論の俎上には上がります。
そのことを理由に、今回、今現在の段階で「私設設備の復旧費や将来の管理まで当然に町負担になる」とは考えられません。
[「助けるか、助けないか」の話に聞こえてしまう]
ここは、どうしても誤解されたくないところです。
私は、今回被害に遭われた皆さんが長い間、不便や不安を抱えて生活してこられたことを軽く考えていません。
行政の対応に時間がかかったことについても、町自身が謝罪し、今回の報告書にも記載しています。
また、
・大型土のうなどによる安全対策、二次災害の防止
・県への側溝管理等の申し入れ
・町による工事設計や工事管理
・支払い方法の柔軟な対応
など、町としてできる支援は進めるべきだと思っています。
ですから、私が反対しているのは、支援そのものではありません。
町民の方が困っていると声を上げたとき、町にできる支援は積極的に行うべきだという考えです。
ただ、今回まさに問われているのは、「町にできる支援」の範囲です。
そして今回議会が判断を求められているのは、
「住民の皆さんが所有・管理している私設設備について、復旧費用を町の公費で負担し、さらに今後の管理まで町が引き受けるのか」
という問題です。
[現行制度のまま、今回だけを「特例」として町負担にするのか]
ここが、私が最も大切だと思っている部分です。
自然災害(もしくは災害級と言われる事象)によって壊れる私有財産は、給水管や排水設備だけではありません。
私道、擁壁、法面、住宅設備など、町内のどこでも同じようなことは起こり得ます。
そして町内のさまざまな声を聞く中で、私は「すでに起きている」と認識しています。
今回、
「自然災害のようなものだから」
「生活に必要な設備だから」
という理由で町が復旧費を負担するのであれば、これまで町内の別の場所で起きた被害には、どのように対応するのでしょうか。
次に別の地域で同じような被害が起きたときには、どうするのでしょうか。
どのような事象を対象とするのか。
何を対象施設とするのか。
負担割合や上限額はどうするのか。
財源はどうするのか。
いつの災害まで遡るのか。
こうした基準の整理が必要になりますが、現在の真鶴町には、今回の私設設備をそのまま町負担・町管理へ切り替える制度的な根拠(条例や規約など)は示されていません。
年々、これまでには想像もできなかった被害が出る災害級の雨や嵐が増えてきている…これは、皆さまも感じているところだと思います。
もし今後、災害(もしくは災害級ではあるものの激甚災害認定などはおりないケース)による私有設備への公的支援制度が必要だというのであれば、私はその議論自体を否定しません。
ただし、それならば、「今回の地域だけではなく、町民全体に説明でき、同じ条件には同じように適用できる制度として考えるべき」「でなければ不公平感は拭えない」
私はそう考えています。
[当初の「県道の管理が原因」という主張]
住民の皆さんからは、
「県道側溝の管理が十分でなかったことが原因ではないか」
という主張も出ています。
もし県道の管理に原因があるのであれば、町も今回の報告書で示しているように、神奈川県に対して必要な対応や説明を求めていくべきですし、すでにそのような対応に入っているとの説明もありました。
ただ、
「原因や責任の所在を明らかにすること」と、「町が公費で私設設備の復旧費を負担すること」は、分けて考える必要があります。
誰に、どのような責任があるのかという問題と、町がどの財源から何を負担できるのかという問題は、同じではないからです。
[「少数意見の留保」をお願いしました]
委員会で「採択すべきもの」が多数となった後、私は、「不採択とすべき」との少数意見を留保しました。
聞き慣れない言葉だと思いますが、「少数意見の留保」とは、委員会で少数となった意見についても一定の要件を満たせば正式に残し、本会議で報告することができる制度です。
今回、私から少数意見の留保を申し出たところ、委員長から3名の賛成が確認され、少数意見として留保されました。
その後、「少数意見報告書」を提出し、本会議でも報告することが認められています。
これは、多数決に逆らうための制度ではありません。
「少数となった意見も正式な記録として残し、多数意見とあわせて、本会議での最終判断の材料とするための制度」
だと、私は受け止めています。
[最後に決めるのは、本会議です]
委員会では「採択すべきもの」となりました。
しかし、それが議会としての最終決定ではありません。
真鶴町の場合は同じ10人議員による採決になるため、非常にわかりづらいのですが…
もっと大きな自治体であれば1委員会に全議員の所属は難しいため、「委員として選ばれた少数人の決定」を「議会全体の決定」として決めるための本会議での採決がある、というイメージです。
9月18日の本会議では、委員長から
「採択すべきもの」
との委員会審査結果が報告され、その後、採決によって最終的な結論が決まります。
私はその本会議で、少数意見報告書に基づき、不採択とすべき理由を正式に報告させていただくことになります。
住民の皆さんが困っていること。
行政の対応に問題がなかったわけではないこと。
必要な安全対策や支援は続けるべきこと。
そのすべてを認めたうえで、それでも私は、
「困っている方を助けたい」という気持ちと、「公金をどこまで使うことができるのか」という判断は、分けなければならない
と思っています。
[町の議員のあるべき姿とは]
議員は、目の前の方の声を聞く仕事です。
同時に、そこにいない町民の皆さんのことも考えなければならない仕事です。
今回はいくらだから、という金額の問題でもありません。
今回の判断は、次に同じような問題が起きたときにも、町民の皆さんから説明を求められる一つの先例になります。
話が少し逸れてしまいますが、先日、町外に住む実母から、
「議員さんは10人いるんだから、杏奈に投票してくれた人のお困りごとを聞けばいいんだよ。でないと杏奈の仕事が多すぎてパンクしちゃうよ」
というようなことを言われました。
家事や子育てをし、仕事をしながら、議員としても全力を尽くそうとする娘(家族の前では素直にちょっと疲弊気味です。苦笑)を心配してくれての言葉だったことは、よく分かっています。
でも…。
真鶴には、6000人近くの方が暮らしています。
たとえ一人、一地域から寄せられた要望であっても、町民全体の益につながると思えることであれば、どんどん町政に届けたい。
一方で、誰から寄せられた要望であっても、同じ基準で考えられるか。
そこは、議員として大切にしたいと思っています。
真鶴町議会基本条例にも、
「個別の事業又は一部の地域に係る利益にのみ捉われることなく、町民全体の福祉の向上をめざして活動する」
と定められています。
小さな小さな、請願者の皆さんのお顔も浮かぶ真鶴町。
今回の請願についても、
「あのとき笑顔で手を振ってくださった方だな」
「お会いしたとき、気持ちよくお話ししてくださったな」
と、個人として思うことは山ほどあります。
でも、だからこそ議員としての私は最後まで、
「町民全体に同じ説明ができる判断なのか」
を、自分に問い続けたいと思っています。
またまた少し話が逸れますが、委員会のYouTube配信を見た町民の方から、
「杏奈さん、採決時の声が低かったね」
と言われました。
確かに……そうでしたね。
帰宅して観てみて、私もびっくりしました。U(苦笑)
私はもともと声が低い方ですし、噛む常習犯なので、公式な場ではできるだけ聞き取りやすい声と話し方を心がけています。
(気をつけているのにそんなに噛むのか!と言わないでくださいね。苦笑)
そのフィルターが丸々外れてしまうくらい、悩みすぎて頭から火を吹きそうな委員会だったことは確かです。
誰かを困らせたいわけでも、誰かの思いを否定したいわけでもありません。
それでも、議員として町民から受けた負託に応えるためにも、理由を説明できない判断だけはしたくない。
もう、それに尽きると思います。
本会議まで、あと3日。
最後まで考えます。
結論を諦めず、最後まで自分の言葉で説明したいと思っています。
・
昨日のショートはこの請願審査について。
サクッとご覧になりたい方は動画で!
前半→https://youtube.com/shorts/kopVCt4BCTc?si=gXOgNO-X9dHrlxMj
後半→https://youtube.com/shorts/L6Psw5hi6Us?si=DPjQggRiff3HHZPa
・昨日の総務経済常任委員会の公式配信はこちらから💁♀️
→https://www.youtube.com/live/xGLow_Glgiw?si=KRfZ04HMGe3TkVR9