2026.09 最短ではない道
9月のテーマは、「余白」。
正直、これまでのテーマに比べて、少し掴みにくかった。
余白と聞いて最初に思い浮かんだのは、何もない時間や、何も置かれていない空間だった。
予定を空けてみる。
何もしない時間をつくってみる。
部屋の中に空いている場所をつくってみる。
けれど、どれもしっくりこなかった。
時間が空けば、普段できていない部屋の片付けでもしたくなる。
そもそも、何もしないために時間をつくること自体が、少し違う気もした。
そこで考えたのが、半日だけ予定を空けて、公園へ行くことだった。
場所だけを決める。
そこで何を見るかは決めない。
歩いてもいい。
座ってもいい。
途中で別の場所へ行ってもいい。
何かが起きてもいいし、何も起きなくてもいい。
入口だけ決めて、その先を決めない。
そんな半日をつくってみようと思った。
まだ、どの公園へ行くかは決めていなかった。
その前に、仕事帰りに歩くことになった。
16時50分。
日野市万願寺にある職場を出た。
向かう先は、少し離れた場所に置いてあるバイク。
それを取りに行くだけ。
一番早い道は分かっている。
けれど、その日はそちらへ行かなかった。
以前歩いたことのある、浅川沿いの道を思い出したからだ。
川の方へ出て、ふれあい橋を渡る。
少し遠回りになる。
それでも、以前そこを歩いたときの景色が、なんとなく頭に残っていた。
しばらく歩くと、17時を回っていた。
夕方の空は、雨と曇りの狭間のようだった。
雨は降っていない。
けれど、晴れているわけでもない。
虫の音が聞こえる。
風は強めだった。
そのわりに、空の雲はゆっくり動いているように見えた。
17:01
また歩き始める。
浅川沿いをそのまま進む。
帰宅途中らしい人。
犬を連れて歩く人。
その横を、ランニングをする人が通り過ぎていく。
やがて、ふれあい橋が見えてくる。
橋を渡る人。
その下、橋げたのあたりで学生たちの声が聞こえる。
何をしているのかまでは分からない。
ただ、何人かでそこにいる。
自分も、バイクを取りに向かって歩いている。
ふれあい橋を渡り、もう一度川沿いを歩く。
17時15分ごろ。
バイクを置いてある場所に着いた。
職場を出てから、25分ほどが経っていた。
自宅に帰って、今月のことを思い出した。
半日だけ予定を空けて、公園へ行く。
場所だけを決めて、その先は決めない。
そんな時間をつくろうとしていた。
けれど、この遠回りは、予定していなかった。
川沿いを歩いた。
虫の音がして、風が吹いていた。
いろいろな人がいた。
まだ、公園には行っていない。