2回目からの体外受精で大切なことは、 1回目の体外受精でも大切なこと 子どもを授かるための体外受精 その意味をよく考えた治療を!...③
みなとみらい夢クリニック院長 貝嶋弘恒先生のお話
2018年8月発行『i-wish ママになりたい 2回目からの体外受精』
初期胚が着床時期を決める
わかりやすく言えば、初期胚が着床時期を決めているということです。
というのも、胚移植は胚のステージと子宮内膜の状況を合わせて行うのが基本で、受精から2日目の胚であれば、子宮内膜も排卵から2日目であることが大切です。凍結融解初期胚移植のときも、これを合わせて移植します。
胚盤胞は、必ず排卵から4.5~5日目の子宮内膜へ戻さなければなりません。なぜなら、胚盤胞は将来赤ちゃんになる細胞と将来胎盤になる細胞に分かれていて、人の体を作るために細胞がそれぞれ役割を持った分化した胚だからです。着床寸前の胚ですから、着床環境が整った内膜でなければなりません。一方、初期胚は細胞のすべてが未分化で、何にでもなることができる万能細胞です。胚は子宮内膜を刺激しながら成長することができるため、プロゲステロン値が低い間であれば、必ずしも胚のステージと子宮内膜の状況を合わせなくても着床することができます。
ただし、胚に染色体上などの遺伝子的な問題を抱えていなければ…です。
これを応用しているのがSEET法です。胚培養液を凍結し、胚盤胞を移植する2、3日前に融解して子宮へ注入することで子宮内膜を刺激して、より着床しやすい環境に整えてくれる効果を狙っているわけです。
子どもを授かるためにその情報はすべてあなた自身が持っています
1回の排卵誘発、1回の胚移植で妊娠し、出産できればいいのですが、なかなかそうはいきません。
また、この1回に全てを賭けると患者さん自身は思うかもしれませんが、よく考えてください。
子どもを授かるということ。
そのための体外受精ですが、女性の年齢が高ければ高いほど妊娠率も出産率も下がります。
子どもを授かるために、どうしたらいいのか? その情報は、すべて患者さん自身が持っています。その情報を読み取って、その人が持つ機能、力を十分に活かして、どのような治療方針を立てるか、どのようにスケジュールしたらいいかを考えるのが医師です。
本来持っている力を十分に見極めて、活かすこと。力があるのに、薬でコントロールする必要はありません。
卵巣を大切にすることが卵子を大切にすることにつながり、赤ちゃんへとつながります。
そのことを念頭に置き、自分の力を十分に引き出すような体外受精で子どもを授かって欲しいと思っています。
前周期をよく検討すること
2回目の体外受精といっても、さまざまな状況があります。
例えば、受精しなかったのであれば、受精方法を見直すことが必要です。まずは第一段階として受精をクリアすることです。
移植ができていれば、受精して、胚のグレードも問題がなかったわけですから、基本的に培養方法を変更することはありません。ただ、患者さんの年齢や胚の発育状態によって培養液の合う合わないがあると考えられる場合、そして、なかなか胚盤胞に到達しない場合には培養液の変更を検討するなどの工夫が必要です。
また、次の胚盤胞移植の際にはAHA(アシステッドハッチング)を考えます。ただ、40歳以下で胚盤胞のグレードが良好であれば、基本的にはAHAを行っても妊娠率に差がないことがわかっていますので、患者さんの希望によって行っています。
何度胚移植をしても妊娠しない人の要因と考えられること
採卵した卵子の質がよくなかったことが妊娠しなかった要因として一番可能性が高いと思います。
胚盤胞へ育つか、育たないかは妊娠への鍵にもなりますが、年齢が高くなるとなかなか胚盤胞へ育たないという人が多くなってきます。そのため、胚盤胞にこだわらず初期胚で胚移植にトライするのも1つの方法だと思います。
培養環境として工夫する点もいくつかあります。先ほどもお話したように培養液を変えてみることも1つですが、インキュベーターから出すことが胚のストレスになっていると考えられる場合には、胚を観察するタイミングを変えることもあります。
胚培養をしていて感じるのは、より自然であることが大切だということです。より自然な排卵誘発の方が卵子にかかるストレスも少なく、顕微授精よりもコンベンショナルIVFの方が胚盤胞達成率も高くなっています。ですから、必要以上に技術の力を借りずに、自然の力を活かす方法で体外受精を受けることを考えていただきたいと思います。
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2回目からの体外受精で大切なことは、 1回目の体外受精でも大切なこと 子どもを授かるための体外受精 その意味をよく考えた治療を!...②
みなとみらい夢クリニック 貝嶋弘恒先生のお話
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