表と裏の距離
2026.09.17 20:37
今日は、人の心の表と裏について書こうと思います。まずは、芥川龍之介の短編『手巾(はんけち)』のあらすじを紹介します。「ある大学教授のもとに、息子の死について報告しに来た母親がいた。彼女は気丈に淡々と話した。その姿を見た教授は“この人は本当に悲しんでいるのだろうか?”と訝しく思った。話しの最中、教授はウチワを落とし、屈んでそれを拾った。そのとき、テーブルの下に隠れていた母親の手が激しく震えており、膝のうえの手巾を裂けんばかりに強く握っていることに気付いた」。
人は、外面的には冷静で傷ついていないように見えても、その内面には深い悲しみがあることを描いた作品です。「目を見ればわかる」とか「表情が物語っている」というのは、いつも正しいわけではありません。顔の表情や目が“表(面:おもて)”だとしたら、心は“裏”なのかもしれません。大和言葉で“うら”というのは、心を意味します。“うら淋しい”とか“うら悲しい”と今でも使う言葉ですよね。
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