提案『基礎概念とは No.1』
今回は基礎概念についての概要記事になります。
1、基礎概念とは
基礎概念は子供の「考えるための土台」であり、単に知識を増やすこととは違います。子供達が成長とともに後から学ぶさまざまなことを理解したり、自分で考えるための枠組みになります。そして基礎概念は単に「覚えさせるもの」ではなく、「体験を通して理解するもの」と考えてください。私のこれまでの経験からすると、この基礎概念を体験を通して理解していない場合には、学習内容を理解しにくくなるだけでなく、言葉の理解も難しくなる傾向にあります。さらにシソ概念を土台として物事を比較・分類することが難しくなるだけでなく、自分で考えて解決することも難しくなる傾向にあります。よって小学校入学後の学習の躓きも顕著になります。本来は多くの基礎概念の項目を学習として教え込むのではなく、必ず遊びや日常生活での実体験を通して学ばせてください。教室では言葉が理解できる乳児期から、親御さんが基礎概念を多様する言葉かけを行い、視覚や手で触れて触るなどの体験を通して理解を促すよう取り組みを行い、ご家庭でもそのように促しをお願いしています。
2、基礎概念が重要な理由
① 学習の土台になる
基礎概念とは知識を積み上げるための「土台」であると同時に、その分野でバラバラの知識を繋げて応用するための「骨組み」或いは、知識と知識を繋ぐ接着剤のようなものです。そしてその分野の知識を理解するために何度も使う「共通の考え方」とも言えます。例えば数学で「割合」の意味をしっかり理解していると、割引、消費税、利益率、増加率など、一見違う問題でも「全体を基準にして、どれくらいかを表している」という共通点を見つけることができます。これが学習の土台となる基礎概念です。これを幼児に当てはめると「大きい・小さい」「多い・少ない」「前・後ろ」などが分かると、小学生で算数や国語などの学習を理解する力として活用することになります。
② 物事を整理できるようになる
基礎概念が理解できていないと、情報がバラバラに見えてしまいます。しかし基礎概念を理解することでバラバラに見える情報の中から「共通する部分」や「違い」「関係性」を見つけて、頭の中で構造化できるようになります。つまり基礎概念の重要な役割は、物事を見るための軸を作ることです。例えばクジラ、サメ、パンダ、ワシ、コウモリ、ペンギンカエル、カマキリなどの生き物を分類する問題が出題されたとしましょう。クジラやサメは海中生物ですが属性としては哺乳類と魚類です。そしてコウモリは空を飛ぶので一見鳥類と思われがちですが哺乳類です。一見属性が異なるものに見えるようでも属性としての共通点を見つける力は基礎概念の理解度です。この問題での哺乳類はクジラ・パンダ・コウモリです。つまり「同じもの」「違うもの」「仲間」を見分けることで情報を分類・整理する力がにも基礎概念です。
③ 考える力につながる
「なぜ?」「どうして?」「次はどうなる?」と考えるためには、原因・結果や条件、順序などの基本的な概念が必要です。つまり基礎概念はなぜそうなるのかという「原因と結果」に、どうしてそうなるのかは「何が原因か?」、そして「なぜ起きたのか?」、「別の原因だったら?結果はどう変わる?」というように、基礎概念が思考を進める道筋を作っています。この基礎概念が「考える力」に繋がります。つまり基礎概念を身につけることは、知識を増やすだけではなく、「物事についてどんな視点から考えればよいか」という思考の道具を身につけることなのです。
④ 言葉の理解が深まる
基礎概念によって言葉の理解が深まるのは、言葉の意味を単独で覚えるのではなく、その言葉が表している「物事の関係や仕組み」まで理解できるようになるからです。例えば、「重い」という言葉を文脈から読み取ると物理的な重量について話している「荷物が重い」と物理的な重量ではなく負担や程度が大きい「責任が重い」とでは理解が大きく異なります。つまり、基礎概念が豊かになるほど、言葉をその場の文脈に合わせて解釈する力も高まり、さらに表現する力も高まるのです。
⑤ 自分で問題を解決する力につながる
答えや解き方を教えてもらわなくても、状況を整理して、自分で解決方法を考えられるようになり、「どうすればいい?」と考え、比較したり、順番を考えたり、試したりするための基盤が育つ事を指します。まず問題を解決するには、まず「何が問題なのか」を理解する必要があります。先に先述した通り原因と結果、条件。比較、変化などの基礎概念を使って考えることができます。次に複雑な問題はそのままだと何をすればいいのか分かりませんが、基礎概念があると問題を「分解」でき、「大きな問題を小さな問題に分けるて物事を考えることができるようになります。特に教育の場面では、「答えを教えてもらえば解ける子」から、「答えが分からなくても、どう考えればよいかを自分で見つけられる子」へ成長するための土台が基礎概念だと考えると分かりやすいかもしれません。
⑥ 日常生活にも直結する
「基礎概念が日常生活にも直結する」というのは、基礎概念は学校の勉強だけで使うものではなく、普段の生活の中で「考える・判断する・行動する」ときにも使われているということです。基礎概念を学ぶことは、単に勉強ができるようになるためだけではありません。「生活の中で自分で考えて判断するための力」を育てることにも繋がっている重要な力です。一言でまとめると基礎概念が日常生活に直結するとは、原因・結果、順序、比較、分類、条件、数量などの基本的な考え方が、日々の時間管理や人間関係、問題解決、意思決定などの時々で実際に使われているのです。時間、距離、数量、順番、ルールなどの理解は、保育園や幼稚園そして学校生活だけでなく、生活そのものに必要不可欠の学びです。
3、本当に大切なのは「基礎概念を使えること」
基礎概念を学ぶときは、「説明を聞いて分かった」だけで終わらないことが重要です。つまり知っている=頭の中に知識があることと、使える=必要な場面でその知識を取り出して考えに利用できるとでは雲泥の差があります。これは子供達を指導していて悩みの種でもあるのですが、知っているだけで止まっている場合には用語や定義をなんとなく言えたり、その場で解き方を教えてもらい理解しているように見える場合が多く、発展や応用問題に進むと歯が立たない状態か或いは全く解法できないことが多いものです。ですから次のステップである説明できるに移行させる必要があります。「これはどういう意味なの?」と質問されて自分の言葉で説明できることが最低限抑えるべきことです。そして問題を見てその概念を使えることができるようになること、最後に応用できるということです。初めて見る問題でも、似た構造を見つけて考え解くことです。学習の土台として特に重要なのは、説明する、使える、応用できるまでステップアップすることです。よって「基礎を固める」というのは、簡単な問題を延々と解くことではありません。「この知識は何を意味しているのか」「他の知識とどう繋がっているのか」「いつ使うのか」を理解することが、基礎を固めるということです。つまり基礎概念は、知識を積み上げるための「土台」であると同時に、バラバラの知識をつなげて応用するための「骨組み」なのです。
基礎概念の重要性を親御さんが理解できるのは、もしかするとハイレベルの問題を解く中学受験を意識した4年生以降かもしれません。小学校低学年までは親御さんの力が働く学習期です。学校の成績が良いと安心していても実は基礎概念を使える力が育っていなければ、見たことのない初めての問題に足踏みをしてしまうかもしれません。これまでにそのような生徒さんも多く見てきたので、そうならないためにも乳児期の頃から基礎概念を意識した子育ては重要だと考えます。これから暫くは基礎概念の提案記事を発信していく予定です。是非ともお読みいただきたいと思います。来週は基礎概念とはどのようなものがあるのかを一覧表記していきます。