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日本代表、決勝で初めてフィジーを破り7年ぶり4度目の優勝

2026.09.22 10:00

2026年9月19日、東京・秩父宮ラグビー場で「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2026」の決勝戦が行われ、男子日本代表は前回王者のフィジー代表を逆転で下し、7年ぶり4度目の優勝を果たした。

2027年にオーストラリアで開催されるラグビーワールドカップに向けた重要な強化の場として位置づけられた今大会のクライマックスで、雨でボールが滑りやすいコンディションとなる中、両者は目まぐるしい攻防と激しい肉弾戦を繰り広げた。日本代表は20対15の接戦を制し、決勝でフィジーを破っての優勝は大会史上初めて、対フィジー戦としても2019年以来となる価値ある勝利となった。


日本代表は7分、敵陣で獲得したペナルティからフルバック(FB)サム・グリーンがペナルティゴール(PG)を沈めて3対0と先制した。しかし連覇を狙うフィジー代表もすぐさま反撃に転じ、11分、圧倒的なフィジカルで日本代表のディフェンダーを引きずりながらセンター(CTB)ビリミ・バカタワがトライを奪い、スタンドオフ(SO)ケイレブ・マンツのコンバージョンゴールも決まって3対7と逆転を許した。


19分、フィジー代表のプロップ、メサケ・ドンゲに反則の繰り返しでイエローカードが提示され、日本代表は数的優位に立った。日本代表は敵陣深くのラインアウトからモールを押し込み、22分にフッカー(HO)原田衛が攻め切ってトライをマーク。サム・グリーンのコンバージョンも決まり10対7と再逆転を果たしたものの、フィジー代表も27分にキャプテンのHOテヴィタ・イカニヴェレがラインアウトからのサインプレーでトライを挙げて10対12と再び試合をひっくり返した。10対12のフィジーリードのまま前半を折り返した。

後半、双方のプライドが真っ向からぶつかり合う緊迫した攻防が続いた。日本代表のフォワード陣はスクラムやラインアウトといったセットピースで相手に強烈なプレッシャーをかけ続け、後半18分(通算58分)、途中出場のSH藤原忍からのパスを受けたフランカー(FL)ベン・ガンターが3人のタックルを振り切って力強く押し込み、待ち望んだトライを叩き込んで15対12と勝ち越しに成功した。


フィジー代表も諦めず、後半25分(通算65分)にアイザヤ・アームストロング-ラヴラがPGを決めて15対15の同点とした。しかし日本代表は後半32分(通算72分)、途中出場のCTBサミソニ・トゥアが試合を決定づける貴重なトライをあげて20対15と突き放した(コンバージョンは失敗)。終盤、フィジー代表の猛攻を受けながらもチーム一丸となった粘り強いディフェンスで逃げ切り、歓喜のノーサイドを迎えた。攻守両面で目覚ましいパフォーマンスを見せたベン・ガンターが、この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POTM)に選出された。

試合後の記者会見で、日本代表のエディ・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は、厳しいコンディションの中でプレーしていた背景を踏まえる必要があると述べ、この1週間取り組んできたアタックがこの日はあまり機能しなかったことを認めた。一方で、これまでラインブレイクを量産してきたフィジー代表の攻撃をここまで封じ込めたディフェンスの強度については高く評価し、かなりのステップアップだと感じていると語った。


反則数の差やブレイクダウン付近での攻防について問われた齋藤直人キャプテンは、セットピースでフォワード陣がドミネートして機会を作ってくれたことと、フィジーに対してしっかり立って戦うことがチームのフォーカスだったと説明した。ラインオフサイドなど自分たちで防げる不用意なペナルティについては、この1週間意識して取り組んできたという。ペナルティの少なさへの満足度を尋ねられると、正直なところ数字までは確認していないとしながらも、できることならゼロにしたいという思いを口にし、記憶の限りではラインオフサイドもあったため、まだ詰められる部分があるとの見方を示した。


接戦を制してリベンジを果たした今回の勝利について、来年のワールドカップへの手応えを問われた齋藤キャプテンは、来年に向けてはあまり考えていないとしたうえで、目の前のフィジーに勝ってトーナメントを制せたことへの嬉しさを口にした。また、ウェールズ戦などクロスゲームの終盤で落としてきた過去の経緯に触れ、この日はチーム全員が同じ絵を見て、少ないリードの中で残り時間をどう過ごすかを統一して試合を締めくくれた点に、チームの成長を感じたと振り返った。


優勝の意味と今後伸ばすべき点を問われたジョーンズHCは、過去12ヶ月でオーストラリアに2回、ウェールズに1回と、接戦に持ち込みながら勝ち切れなかった試合が3戦あったことを振り返り、この日は重要な勝負どころでチームがやるべきことを遂行し勝利を得られたことは大きな収穫だと述べた。一方でアタックはまったく機能せず、セットピースに頼って得点を重ねる結果になったとし、アタックのチームを掲げている以上、難しいコンディションであってももっと精度高く遂行する必要があると課題を口にした。齋藤キャプテンは、このチームになってから過去2年間勝てていなかった大会でタイトルを取れたことが若いチームの大きな自信になると述べ、ボールキャリアーやサポートプレイヤーの局面でボールを失いアタックを継続できなかった点や、事前に話していた自分たちから仕掛けるプレーを成功させきれなかった点を課題に挙げ、来月に控える再戦に向けて克服していきたいとの意向を示した。


ラインアウトからのモールでの前進について問われたジョーンズHCは、フィジーがセットプレーを特別な強みとするチームではなかった面もあるとしつつ、モールはチームとして特にこだわって強化してきた部分であり、その成果が表れたとの見方を示した。ヨーロッパ遠征では異なる強みを持つ相手と対戦することになるとしたうえで、今大会ではハリー・ホッキングスに代わって出場したマイケル・ストーバーグが大きな影響力と貢献を見せたと評価した。34歳のストーバーグはこれまで様々なチームでプレーしながら代表キャップを持たなかったが、日本代表に合流してから充実期を迎えていると述べ、オーストラリア出身でありながらジャパンに懸ける強い決意を見せてくれていると話した。


ハイボールへの評価を問われたジョーンズHCは最高だったと述べ、試合序盤にバックス陣が負傷者を出したことや、フォワード6人・バックス2人という変則的なベンチ構成の中で廣瀬雄也が負傷退場する厳しい状況に見舞われながらも、選手たちが見事に対応したと述べた。特に下川甲嗣が終盤に決めたタックルを高く評価し、様々な状況の中でも勝ち切る方法をチームで見出せたことを良かった点として挙げた。また、イノケ・ブルアが試合を通してオープンウイングを務め、対戦相手の中に自身のおじが含まれるという珍しい巡り合わせもあったと語った。


ゴール前のペナルティでスクラムではなくラインアウトを選んだ判断や終盤の判断について問われた齋藤キャプテンは、前半はラインアウトを望んでいたフォワード陣の意見を信じて選択したと説明した。後半、自身がベンチに退いた後は、グラウンド上に残ったメンバー同士がどちらの選択がより確実かを話し合って判断していたとの認識を示した。齋藤キャプテンが下がった後のキャプテン交代についても問われ、ディラン・ライリーがキャプテンを引き継いだことを明かし、選択はベンチからの指示ではなく、グラウンド上のキャプテンや選手たちの判断によるものだったと説明した。


敗れたフィジー代表の記者会見にはセニルシ・セルヴァクラ暫定HCとテヴィタ・イカニヴェレキャプテンが出席した。反則の多さや想定外の状況について問われたセルヴァクラHCは、イエローカードで10分間1人少ない状態になったことと、前半20分以上にわたって自陣でのディフェンスを強いられたことが大きな痛手になったと述べた。ラインアウトの精度について日本に分析されていたのか、チーム内のコンビネーションの問題だったのかを問われると、日本のラインアウトディフェンスが非常に優れており高いプレッシャーをかけられたとしたうえで、ロックの選手を怪我で失いバックローの選手で対応せざるを得なかったこともあり、チャンスを取り切れなかったと説明した。


今大会を通じた学びや収穫を問われたセルヴァクラHCは、まず選手たちに「よくやった」と伝えたいと述べ、7月の試合からフィジカル面を含めて改善が見られたとした一方、ブレイクダウン周辺で不用意なペナルティを与えすぎたことでモメンタムを失ってしまったことを反省点に挙げ、10月の再戦に向けて修正・準備を進めていく考えを示した。ビリミ・バカタワのトライの場面を問われたイカニヴェレキャプテンは、その瞬間はスクラムの中にいて直接は見えておらず、後で場内の大型スクリーンで確認したと答えた。


日本のスクラムの印象と今後の収穫を問われたセルヴァクラHCとイカニヴェレキャプテンは、日本のスクラムは非常に低く強力で、8人が一体となって組まれている印象だったと口をそろえた。ヒットの瞬間に押し込まれる場面が多く、自分たちも8人でしっかり組み上げていく必要があるとし、50/50の際どい場面でペナルティを取られ相手にチャンスを与えてしまったため、セットアップからスクラムを立て直していく考えを示した。今日の収穫としては、日本代表のテンポの速いラグビーやボールを長く展開するプレーを体感できたことを挙げ、今後の再戦に向けた大きな学びになったと結んだ。


Photo by Atsuhiko Nakai / SportsPressJP