【連載】(タイトル未定)#2-14
※こちらは、超絶遅筆な管理人が、せめてイベントに参加する毎には更新しようという、
雨垂れ石を穿つ精神で投稿する長編(になる予定の)連載ページです。
状況により、過去投稿分も随時加筆修正予定。
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山道は、頂上に近付くにつれて傾斜が急になっていく。三人の歩みは昨日よりも緩やかだった。特に先頭を行くフレイは、体力の差も考慮して、かなり意識して歩調を抑えていた。
異変に先に気付いたのは、隣を歩いていたルークだった。
「ちょっと待って、フレイ! ラファが……」
黙って歩くラファが気になって様子を窺うと、その顔色は真っ青だった。慌てた声に、フレイも足を止める。
「ラファ、大丈夫? ちょっと休憩する?」
「だ、大丈夫。ほんとに、平気、だから」
ラファは無理やり笑って見せるが、声に張りがない。強がっているだけなのが明白だ。
昨日と同じようにラファの背を軽く叩いて、ルークは落ち着かせるように言った。
「無理について来なくていいよ、ラファ。どこか、安全な所で待ってなよ。ね、フレイ、いいよね?」
「……何言ってんだ、おまえは」
「え?」
思わぬ返答に面食らうルークに、フレイは静かに言った。
「この件を請けた責任を負ってるのはラファ、ついてきてやってるのは俺たちの方だ。そいつがこれ以上は無理だってんなら、俺たちもお役御免だ。わざわざ危険に向かう必要はない」
「そんな、だってこんなに……」
「いいの、ルーク。フレイさんの言うとおりだから」
浅くなっている呼吸を整えて、ラファは顔を上げた。心配そうなルークと目が合う。
「行くのが嫌だって思ってるわけじゃないの。これはたぶん、仕方ない。自分じゃどうにもできないことだから」
近付けば近付くほどわかる。力の差がはっきりしている。それを怖いと思うのは本能的なことだ。自分の意志でその怖れをねじ伏せられるほど、ラファは実戦慣れしていない。
それを補うために、二人についてきてもらったのだ。自分が立ち止まるわけにはいかなかった。
「でも、無理だよ。そんな真っ青で、ふらふらで」
「おいルーク。本人が責任を全うするつもりでいるのに、無理だとか言ってやる気を削ぐんじゃねぇよ」
「なんでそんな言い方……ひどいよフレイ!」
「そいつがちゃんと自分の役目を果たせるように、手を貸してやる。それが俺たちの役目だ。代わりに魔物退治してやることじゃねぇ」
頭を殴られたような衝撃だった。フレイが手を貸すと言ったのは、当然魔物を退治することだと思っていた。
「フレイは、最初から闘うつもり、ないの?」
「何度も言ってるだろう、これはラファの仕事だ。俺がお節介で奪っていい役目じゃない」「ルーク、もうやめて」
今にもフレイに掴みかかりそうだったルークを、止めたのはラファだった。
「心配してくれて、ありがとう。でも本当に、フレイさんの言うとおりだから。私が、自分でやらなきゃ」
ゆっくりと歩き出したラファの背を、ルークは何と言って支えてやればいいのかわからなくなった。
手を貸してほしい。手伝ってほしい。ラファは、最初からそれしか言っていない。
出会ってから一度も、自分の代わりに魔物を退治してほしいとは言っていないのだ。