同行二人
四国八十八ヶ所霊場は、弘法大師が若き日に修行に励まれた場所です。お遍路さんは、四国を回られるときに、白装束と竹傘・金剛杖を持ちます。昔は旅の途中に病気になって亡くなっても良いように、白装束=死に装束で四国を回られたのです。実際、不治の病に冒された方も多かったようです。
この金剛杖は、お大師さまの分身とされ、旅の間に自分の後になり、先になり一緒に遍路を歩いてくださります。「同行二人」いつもお大師さまが自分を見守って下さる安心感の中でお遍路さんは旅路を歩んでいくのです。
気がつけば私たちも多くの人々の支えや見守りの中で毎日を生きています。この世に生まれたとき笑顔で迎えてくれた父母。学校生活の中で切磋琢磨し共に競い合い助け合った友人たち。仕事についたとき右も左もわからない自分を一人前にして下さった先輩・同僚の方々等。また反対に、自分もいつの間にか周りの人々の心の支えとなっていることに感謝されることもあります。
弘法大師の師匠である、唐の時代の青龍寺の恵果和尚(けいかかしょう)は、遣唐使と共に都の長安を訪れていた弘法大師に密教のすべてを伝え終わった後、「自分のいのちは尽きようとしている。早く日本に帰って密教をひろめ、人々を幸せにしなさい。私は今度は日本に生まれ、そなたの弟子となろう。」と遺言されました。
「お互いさま」…人に支えられ、人を支えて、幾重にもつながりながら、私たちは人生の旅路を歩いています。人とのつながりの輪の中で、今の自分がどういった方々に支えられているのか。またそうした人々に何をして差し上げられるのか。お彼岸をきっかけに振り返ってみるのも大切なことかもしれません。
(令和8年9月23日 秋彼岸中日法会)
秋の四国遍路 第71番 弥谷寺 ~階段の難所~