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「18歳未満選挙運動 - 一律禁止は違憲」のニュースを通して

2026.09.25 15:00

「選挙は大人(有権者)のものであり、こども達にはどこか遠く、関係ない話」

そういった空気を変えていきたいと、ずーっと思っていました。

2026年9月25日、東京地方裁判所は、18歳未満の選挙運動を一律に禁止している公職選挙法の規定について、「表現の自由」を保障する憲法21条に違反すると判断しました。

主権者教育や子どもの権利に関わってきた僕にとって、かなり大きなニュースです。


現在の公職選挙法では、18歳未満の人は選挙運動をすることができません(公職選挙法137条の2)。

そもそも選挙運動とは、「特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的として、投票を得るまたは得させないために有権者へ直接・間接に働きかける行為」を指します。

そのため、例えば、同じ高校3年生でも、17歳であれば特定の候補者を応援するために「この人に投票して」と呼びかけたり、SNSで投票を依頼したりすることが禁止されています。

もちろん、18歳未満だからといって、政策について「自分はこう思う」と意見を言うことなど、選挙運動に当たらない政治活動まで一律に禁止されているわけではありません。


今回、裁判所は、18歳未満の人が自らの関心や価値判断に基づいて選挙運動に参加すること自体を禁止する実質的な根拠は見いだしがたいとして、自発的な選挙運動まで一律に禁止することは、必要かつ合理的な規制とは言えないと判断しました。

一方で、大人などが18歳未満の人を使って選挙運動をさせることを禁じる規定については、合憲としました。

つまり今回の判決は、「子どもが自分の意思で政治に参加すること」と、「大人が子どもを選挙運動に利用すること」は、分けて考えるべきではないか、という問いを投げかけた判決とも読めます。


ただし、今回の判決は、東京地方裁判所による一審の判断であり、公職選挙法が見直されたわけではないので、これによって、今日から18歳未満の選挙運動が自由になったわけではありません。

したがって、現時点で18歳未満の人が選挙運動を行えば、法律上、処罰の対象となる可能性があります。

今後、司法の場でさらに争われるのか、そして今回の判決を受けて国会でこの制度そのものが見直されていくのか、注目していきたいと思います。


そのうえで、個人的には、この規制を見直していく方向には賛成です。

一番の理由は、子どもも権利の主体だからです。

子どもの権利条約では、子どもが自分に関係することについて意見を表す権利だけでなく、情報や考えを受け取り、伝える「表現の自由」も認められています。

もちろん、「子どもなら何をしてもいい」という話ではありません。

問うべきなのは、必要なルールを設けることと、年齢だけを理由に本人の自発的な行動まで一律に禁止することが、同じなのかということです。


例えば、中学生や高校生が、日頃から探求学習などを通して学んだことをベースに、選挙期間中に自分で候補者の政策を調べて、考えて、「私はこの人を応援したい」と思ったとします。

その人が自分の意思で、家族や周りの有権者に「この人っていいよね!私だったら投票する!」と話をすることまで禁止する必要は本当にあるのでしょうか。


「実際の選挙期間中にしなくても、選挙以外のタイミングで政治について話をすればいい」という意見もあると思います。

まだ投票する権利を持っていない人が、選挙結果に影響を与える可能性のある活動をしていいのか、そこに違和感を持つという意見も理解できます。

一方で、選挙期間は、新聞もテレビもSNSも政治の話題であふれ、言ってみれば、民主主義を学ぶための「生きた教材」に触れられる絶好の機会です。 

教育、子育て、公共交通、気候変動、地域づくり…政治で決まることは、子どもたちの今の生活にも、これからの人生にも深く関わっています。


それにもかかわらず、「政治に関心を持とう」「社会について考えよう」と伝えながら、実際の選挙になった途端に、参加できる範囲が大きく狭まるこのねじれには、ずっともどかしさを感じてきました。 

2025年の参院選の際には、愛媛県選挙管理委員会から、学校で実際の政党名を使って模擬投票をすることについて、公職選挙法に触れるリスクがあるとして、実施を差し控えるよう求められました。

実際に、学校が県選管や教育委員会へ問い合わせた結果、実際の政党名を使った模擬投票を取りやめたケースがあったことも、知事の記者会見で質問として取り上げられています。

実際の政党を扱うことには、確かにリスクがありますし、先生や外部講師が、自分の立場を利用して特定の政党や候補者へ誘導することはあってはいけません。 

一方で、国が作成している主権者教育の教材には、法律上の注意点も示したうえで、実際の選挙に合わせて政党名を書いて模擬投票をする方法も紹介されています。


大切なのは、「現実の政治を扱うか、扱わないか」ではなく、「どうすれば中立性や選挙の公正さを守りながら、現実の政治を学べるのか」ということだと思います。 

政治から遠ざけるのではなく、安全に、そして公平に触れられる環境をどうつくるか。 

主権者教育の役割が、本来はそこにあるはずです。



今回の判決で、僕が特に大事だと思うのが、「子どもが自分から政治に参加すること」と「大人が子どもを政治に利用すること」は別の問題だ、ということです。

大人が、自分の支持する候補者のために子どもを動員したり、親や先生、指導者という立場を使って、特定の政治的行動を求めることは、あってはならないと思います。

一方で、本人が情報を集め、自分で考えて、「参加したい」と思った行動まで禁止してしまう必要があるのか、今回の判決は、大人が子どもを使うことの禁止は合憲、本人の自発的な選挙運動の一律禁止は違憲として、この二つを分けて判断しました。

子どもの自発的な参加は保障するが、大人による強制や利用からは守る。

そんな制度や教育のあり方を考えていくことだと思います。 


そう考えると、結局、今回の判決で問われているのは、「子どもに政治や選挙の参加を認めて大丈夫なのか」ということだけではないと思います。

むしろ、僕たち大人は、子どもや若者が自分とは違う政治的意見を持つことを、本当に受け止められるのかということが試されているのではないでしょうか。


政治的中立とは、政治を扱わないことではなく、特定の答えに誘導せず、いろいろな考え方に触れ、自分自身で考えられる環境をつくることだと僕は思っています。

18歳になった瞬間に、突然、自分で考えて一票を投じられるようになるわけではありません。 

そのずっと前から、社会について考え、誰かと話し、自分の意見をつくり、ときには行動してみる。

そうした経験の積み重ねの先に、「社会をつくる一人」として一票を投じる18歳がいるのだと思います。


だから、今回の判決を「高校生の選挙運動はアリか、ナシか」という話だけで終わらせてはいけないと思います。

子どもを政治から守ることと、子どもを政治から遠ざけることは違う。

学校も、行政も、選挙に関わる人たちも、そして僕自身も。

今回の判決を、その違いをあらためて考えるきっかけにしたいと思います。 

そして、11月15日(日)に予定されている愛媛県知事選挙に合わせて、県内4か所で「こども県知事選挙2026」を実施する予定です!詳細は、近々公開しますが、選挙権を持たない子どもたちも、実際の選挙に触れ、自分で考え、一票を投じることができる貴重な機会にしたいと思っています。

「選挙は大人だけのもの」ではなく、子どもたちにとっても社会や地域について考えるきっかけになるように。 

ぜひ、続報を楽しみにしていただけたら嬉しいです😊


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