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Silver × Silver Glasgow

S3 Monolog 6 -まだ出会っていないだけのトラベリング-

2026.09.26 19:20

10月にリトアニアに行くことになった。

「バスケットボールは第二の宗教」と言われる世界的に見てもバスケ狂の国。


今回リトアニアに行くので改めてリトアニアのことを調べるために、

オンラインでリトアニア人と話したり、

AIにリトアニアについてのことを聞いてみたり、

リトアニアの行程でやるべきことを今ひたすら組み上げている最中である。



初めて知ったのはリトアニアはラトビアのすぐ下にあったということ。

昔ラトビアの代表の視察のためにラトビアへ行ったことがあったが、そのときはリトアニアのことなんか知らなかったので、バルト三国だと知っていてもそんな近い位置にあったことは気づかず、ラトビアから日本へとんぼ返りした。


初めてリトアニアのことを知ったのはセルビアで行われたユーロリーグのファイナルを見に行ったとき、リトアニアのチームのザルギリスがセミファイナルを行なっていた。

そのときはファイナルでまだNBAに行く前のドンチッチがMVPを取っていた。


あの時のユーロリーグのファイナルが後にも先にも自分が生で見た中で一番観客の多い試合だったかもしれない。


パリオリンピックよりも、NBAの試合よりも凄まじい雰囲気を感じた。


あれから10年ぐらい経ってとうとうリトアニアに行けるチャンスである。

行きたい国があったとしてもその国に行くには何年もかかる。

ましてや再訪ならなおさらである。


どうしても「タイミング」と「縁」と「意思」が必要になってくる。

時間がまとまって取れること。

予算(あるいは安いチケット)と大義名分を確保すること。

現地に行くことを助けてくれる人に出会える、あるいは探し出せること。

行こうと決めるための準備と方法を用意できること。


なじみのない国ならなおさらである。


なぜ今回リトアニアに行く気になったかというと、


・遠い後輩がなぜか卒論でリトアニアのバスケ研究をし始めたこと。

・インドネシアでできたコーチ仲間がリトアニア人だったこと。

・モンゴルの教え子がいるチームのヘッドコーチがリトアニア人だったこと。


他にもあげればキリもないぐらいの行く理由が見つかった。



私はバスケットボールを研究するために海外に行くことは多いが、

これをバスケットボールトラベリングというか、バスケットボールツーリズムというかは今だによくわからない。


ただ一つだけ言えることがあるとするならば、

「まだ出会っていないだけのEncounterを楽しみにいくもの」だと思う。


最近本当にタイミングだったりご縁を感じる出来事が頻発した。


15年前に信州で会っててもおかしくなかったひとに、15年後の今にモンゴルを経由してオンラインで会うことができた。日本に帰ったら信州で会いたいと思う。


インドネシアに来ないと出会えなかった人たちに、リトアニアのことについて教えてもらったり、友達を紹介してもらえたりもした。


世界は広いけど、バスケの世界は狭いので、いつも世界のどこかの片隅で、しれっと友達の友達に会うことはよくある。


そして彼らに会うときは必ず現地の人たちが助けてくれる。現地の現地人や、現地に住んでいる日本人、そして世界のどこかで私のことを応援してくれている仲間たちが助けてくれる。


飽き性なのか、私はすぐにどこか「私の地図に載っていない世界」に行きたくなる。


そして、ハンターハンターみたいな言い方になってしまうけど、


「目的地に行きたかったのに、目的地に行くまでに出会えたひとたちとの出会いのほうが目的よりも大切になってしまった」ということは本当に今までのバスケットボールトラベリングの経験からよく起こる。



私のトラベリングは誰もバイオレーションを吹かない。


それどころかみなもっと歩いていいよと背中を押してくれる。


「トラベリングがトラベリングをトラベリングさせる」


バスケットボールをしている人ならこの意味のわからない文をきっと理解してくれると思う。


研究の良いところは、

私がその研究をしたいと望めば、

まだ出会ったことのない人たちがそれを助けてくれる。


まだ出会ってないだけの人たちにエンカウンターできるのである。


これはしかるべきタイミングであったと言いたいところではあるが、

どちらかというと一期一会的な偶然での出会いである。


出会ってもおかしくなかった人たちにやっと出会えるタイミングで出会えた。


出会えたのは紛れもなく私がトラベリングした、あるいはトラベリングしようとしたからである。


バスケットボールにおいてトラベリングは、

「お前は世界旅行にでも行くのか?」と揶揄されるほどの反則である。


しかし私はいつもトラベリングがしたくなる。


トラベリングすれば、まだ出会ってないだけの人たちに必ず出会えるのだから。


バスケットボールを通じて、私の世界地図に少しずつ色がついてくる。

例えばモンゴルは青と赤。

インドネシアは白と赤。

フィリピンは青と黄色

リトアニアはたぶん緑と黄色。



私の世界史の白地図はバスケットボールという筆で色が塗られていく。


私は観光に本当に興味がないので一般的な旅行はほぼしないけど、


バスケットボールさえあれば私は世界を旅できる。



トラベリングこそが唯一私のトラベリングという反則を正当化できる手段でもある。



トラベリングは目的地に行くための手段のはずが、

気づけばトラベリングで起きるパルプンテが楽しくて、

それ自体が目的になっているかもしれない。


「パルプンテとのエンカウンター」


「旅は目的地ではなくその道中を楽しみなさい」とはよく言ったものだが、

これは私のバスケットボールトラベリングの醍醐味である。



最近はタイミングを本当に考えるようになった。


同じことをしても「いつ」するかで結果が変わる。

というか同じ結果にはならないということ。


もっとリトアニアに早く行っていれば、

私はインドネシアに来ずにリトアニアにもっと夢中になっていたかもしれない。


でも、リトアニアに行けるのはやっとこのタイミングが来たからだと思いたい。



「行きたい」と思った条件が初めて揃ったときに、

人は飛行機のチケットを買えると思うから。


そのタイミングを失った時には、もー2度とそのご縁はやってこないか、

あるいは今回みたいに何年もたってやっと行けるようになるかだと思う。



まだまだ行きたい国がたくさんある。

まだまだそこでみたいバスケがある。


でも未来はどうなるかなんて誰にもわからない。


だからこそ行けるタイミングが来たときに

「今このチャンスをつかみたい」と思って、

行ける理由をこじつけて探すのである。


もちろん得るものと同じぐらい失うものはあるかもしれない。

パルプンテはいいことばかりではないのが当たり前だから。


それでもリスキーダイスを振りたいと思ってしまうのは

厨二病だからかもしれない。


「一生に一度のチャンスだからそのリスクも引き受けよう」なんて馬鹿げたことは言えないけど、


まだ見ぬ人たちがそこで待っていてくれると思うと、トラベリングせずにはいられない。



「もうトラベリングしかできません」


とあるバスケの人のブログのタイトルは本当にその通りだと思う。



トラベリングしなかったバスケットボール選手なんか地球上に誰も存在しないから。


私は世界でいちばんトラベリングできるバスケットボールの研究者になりたいと願います。


リトアニアでたくさんの人に出会えること、

たくさんのリトアニアのバスケットボールに出会えることを楽しみにしています。