桑名高校版 情熱大陸2019 服部光治氏=「世界を変える研究」を求めての旅=をリポート!<後半>
さあ、講義開始!
(講義の全体像を再掲しますね)
講義はこんな問いかけ↓から入りました。
3番が最多で、次が4番。
続いて、
4番が最多で、次は1・3番が同じ位かな。
(今、「研究者」と聞いて、生徒のみなさんの頭の中には誰のどんなシーンが浮かんでいるのだろうか。 アインシュタイン、湯川秀樹? いや、湯川学?九十九龍介?紐倉博士? ちょっと気になる)
そんな思いを吹き飛ばしたのが次の服部氏の言葉だった。
「これらの問いは、全て “イメージ” であって、 “事実” ではない」
(うん、確かに、問いが「研究者についての“事実”は?」だったらどれにも挙手できないな)
そして、ここで1つ目の大事なメッセージが登場する。
判断の基準を “事実” に据えろってことかな。
これから語られるのは、はっとんの身に起こって蓄積されてきた “事実” なわけで、それが誰かの何かの判断材料になるかもしれない。
同じように、今の僕もこれまでの僕の事実でできている。
そんなことを思ったら、ちょっと腹の底がゾワっと湧くような軽い興奮を覚えた。
講義や講演をこんな風に捉えたことはなかったかもしれないな、冒頭から実に有意な収穫だ!
話は進み、聞いている生徒たちと同じ桑高時代を語っていた。
学校ではサッカー、夜はバンド、ライブ、飲み会、麻雀、恋愛、、、。友達の家や公園や堤防で夜な夜な語り合ったり。
毎日、「今日はどんな面白いことがあるんだろう!」と思って登校していたそうだ。
全くもって堅物な優等生じゃなかったわけだが、勉強はかなり優秀でしたよ。
そんな高校2年生の冬、進路のことを初めて考えたらしい。
「高校出たあとどうする?」
そこで、自分の “事実” を棚卸ししているのがらしくて面白い。
そのいくつかの事実に基づいて、
「実験する科学者」ならば飽きずに目指せるんじゃないか?
科学者にはどうすればなれるのか?・・・・・と思考を巡らせ、たどり着いた答えが、
「とりあえず東大にいこう」
「東大には受かるつもりしかなく勉強した」・・・(実際に現役で東大理科Ⅱ類に入ってます)
「ちまたに溢れる東大ネタのウソ・ホント」・・・(東大ネタで生きている人も多々あれど、行く末は、、、)
ときて、
「東大(入っても)出ても、それだけではなんにもならない」
「入試はゴールじゃない」と強調。
一生懸命にメモをとっている子もいれば、ぽかんとしている子や寝てる子もいる。
服部氏が語る世界と自分との距離感がつかみにくいのかもしれない。
そもそも、今の桑高では東大を目指す子がいないと聞く。
(「東大に入れ」ってことじゃないんだよ、「自分の事実に気付き、どこだろうが事を成すために進む道を決めるといい」っていうアドバイスだよ(僕の解釈だけど、、)) 目の前の子の背中を見ながら、30数年前の自分に話しかけてみた。
研究者の話に入った。
研究の分類はこれまた興味深い。
「研究」を、「仕事」や「特技」に置きかえてみると、話がぐっと自分のこととなる。
“自分はどっちタイプが好きだろう?”
「創る」か「追求」か?
「自分の欲求」か「他者の欲求」か?
自分に気付く一つの軸となって、これは結構大きな枝分かれポイントじゃないか!
東大で研究をする服部氏にも岐路が訪れ、次の旅立ちにさしかかる。
大学院での研究で「世界初」の発見をし(nature掲載)、それが脳の研究へ、そして最適な場所を求めてハーバードへの留学へとつながっていく。
「何をやるためにハーバードへ行ったのか」←(目的と方法)
「留学をしてわかったこと・感じたこと」←(自分で獲った事実)
話が進むにつれ、思考回路というか、人生の道のつくり方というか、服部氏の選択や判断における明晰さをあらためて感じた。
( ‘何となく’ って言葉を無意識に使いすぎてきたかもしれない、、、反省)
研究者の留学の金銭面にもふれたが、想像以上に充実している。
この点だけをとったとしても、留学志望の若者は「研究者」という道を真剣に考えてみるといい。
即物的ではあるけど、これはすごく具体的に背中を押す情報だったように思う。
続く、研究者の魅力・誤解の話は、冒頭の問い(イメージ)に対する事実を与えた。
日本のペーパーテストと研究の質の相関有無、学歴と研究の関係性など具体的に聞くと、イメージとは何とも危ういものだと腑に落ちた。
大学入試の話に移った。
ここで生徒たちの頭がぐっと持ち上がった。
大学の教員、しかも入試担当教授直々の話は高校生には喉手に貴重なのだろう。
さらに、大学を選ぶときのポイントとなると皆真剣に聴き入っている。
入試問題を作る側の話も然り。いや、ぐぐぐいーっのギアチェンジ(あっ、今の主流はオートマか、、、笑)。
「よく知っていない大人が語る “イメージ” は嘘や間違いも多い。自分で “事実” を確かめろ!」
「基本をしっかり勉強すること!」
生徒はメモメモメモ。
皆誰でも「聴きたいことは耳に入るものだな」と思いつつ、(逆も真なり)と苦笑した。
英語の必要性は、3つのポイントから導き出していた。
中でも、日本語と英語の対比点をあげ、英語は「思考の曖昧さを許さない」言語であるところの魅力(論理的思考力の形成訓練)を強調していた。
ここで2つ目のメッセージ登場。
「システムや仕組自体がダメだとしても、自分の努力は放棄するな」
「必要だといわれていることはトライしてみよう」
服部氏の声も少し大きくなり、生徒の熱量も高まったように感じた。
さらにメッセージ3。
「自分の目で確かめろ」
これにもうなずく生徒多数。
世の中には自分ではコントロールできないことも多い。(仕組みや制度自体がザンネンだったり、根も葉もない中傷だったり、理不尽なことだったり、、、)
それでも、自分がどう受け止めて、どう選択や判断するかは自由だ。
(‘読書びと’で花村さんが紹介されてた「7つの習慣」にも同じようなことがあったな。記事はコチラ)
その自由を有意義に使っていくひとつの大きなメッセージを感じた。
そして、80分の時間を超過して講義終了。
「はっとん、お疲れ様でした!」
講義後の校長室
(大川校長とのツーショットをぱちり)
リラックムードで暫しの談話。
校長先生から実家の話題が出た。
講義の最初の方でも七里の渡しの画像とともに少しふれていたが、
(はっとんは常々どこででも ”桑名出身です” と自己紹介しているんだそうだ。
桑名愛・誇りナイス!)
服部氏の実家はこの七里の渡しからほど近い「れすとらん あずまや」である。
(お父さんもお母さんも実に大らかな方で、39会の同期会では度々お世話になっている。今年も4/29にお世話になります。美味しいしサービスも満点ですから是非ご贔屓に!)
桑高の進路状況の話とともにフォーカスされたのは「東大」。どこの高校でも「東大に何人入ったか」は学校評価の大きな基軸になっているのだろう。
はじめから東大を「実験する科学者」への一つの通過地点として見ていた服部氏の遠望。
今日の講義ではその視点のエッセンスが十分に、しかし淡々と語られた。決してドラマチックじゃない。誇張も煽動もない。事実を記録したちょっと静かなドキュメンタリーのようで、僕にはかえって心身に沁みた。
そんな僕の感想はさておき、講義の中で生徒がどんな反応をしていたかを(いいも悪いも)服部氏に伝えてみた。
正直耳に痛いものもあっただろうけど、服部氏は嫌な顔ひとつせず頷きながら聴いていた。
「真実を追求する研究者」、言行一致、名実相伴、知行合一、、、なんとも天晴。
<おわり>
リポート:村上嘉浩(39回生)
【編集後記】
3/18 10:50 LINE通信が始まった。講義の様子、現場の雰囲気が続々と送られてくる。桑名⇔東京の実況中継だ。壇上と手元のパソコンを交互に見やり、文字の打ち込みに大わらわな村上氏の姿が目に浮かぶ。遠近両用眼鏡は威力を発揮しているだろうか、、、(思いの外切実な老眼お年頃なのです 笑)。
こんな面倒なことをお願いして、、、 記事をつくる度、面倒承知でオッケー(^0^ゞしてくれる奇特で愉快な面々方々を想い、感謝と気持ちよさが溢れてくる。
このリポートがなるのも、どれだけの人が作ってきてくれたことか。
今回のそもそもの発端にしてもそう。昨年11月のこと、同窓会関西支部総会からの帰路・車中での会話からはじまっている。大川校長と帰路を共にした石上氏(同窓会理事 39回生)が、情熱大陸の話を聞き、同期の服部氏を紹介したのだった。桑高への取材許可願いも引受けてくれた。(石上氏が過去に登場した記事はコチラ)
服部氏も面倒なやりとりを受けてくれた。
もっとそもそもというと、遡ること7年、当時学校評議員だった水谷康朗氏(同窓会理事 30回生)が桑高に「キャリア教育をやった方がいいですよ!」と持ちかけてこの「情熱大陸」がはじまったのだ。(第1回は、JAXAの山中氏(「こうのとり」初代フライトディレクター 38回生)をはじめとする男女混交6名のパネルディスカッション形式。これを水谷氏がコーディネートした)
この企画ひとつを取ってみても、学校側とOBOG多くの方々が少なからぬ力を注いで重ねてきたものだ。桑高と同窓生の発展や幸せを願って。ありがたいことである。(脳内ハグ炸裂中m(_ _)m)
東京支部も、何かできないかと一歩ずつ進めているところだ。進学や就職のサポート、ウェルカム会、、(今年のウェルカムは5/26 詳しくはコチラ)皆プライベートな時間をこそぎ取ってつくっている。(下世話な話、このメンバーを時給換算してみたら恐ろしくなります 笑)そんな愛を詰め合わせていますので是非ご賞味くださいね!
では、また! 読んでくれてありがとうございます。