対談
おはようございます。
暮らし、味わう。
民藝と発酵をモノサシに食を通して健やかな暮らしを提案する古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ プロデューサー,バイヤーの太田 準です。
高島屋催事「民藝展」の振り返りもこれで最後でしょうか。催事3日目、発酵デザイナー小倉ヒラクさんをお迎えして、「民藝と発酵~生きるためのモノサシ」というテーマでトークショーをさせて頂きました。以前はお客さん(使い手)としてイベントに行ってたのがいつの間にかお店(配り手)としてイベントに立ち、トークイベントを聞く側からいつの間にか話す側になっているのがとても不思議な感じです。しかも壇上からお話するみたいな格好になって恐縮です。
繰り返しになりますが、ヒラクさんが「僕たちは伝統とどう生きるか」(講談社現代新書)を出版したのを記念して、高槻(テマヒマ)⇔下北沢(発酵デパートメント)で計画していたトークイベントを高島屋さんの催事にて実施したもの。民藝について語る登壇者ってある程度決まってる感があるので、発酵を補助線に民藝の外から民藝を語る、民藝の「モノ」が溢れる催場にて「モノサシ」としての民藝と発酵を語る、という目論見でした。新著のタイトルからの影響でもありますが、「暮らす」ではなく「生きる」。
打合せ無しのぶっつけ本番とは言え、僕としてのプランはあって、
・「発酵」を巡るヒラクさんのここ10年ぐらいの活動が民藝「運動」の初期に似ていること
・民藝運動が始まった頃、民俗学、農民美術、民具など「民」を冠する活動が並行して起こったが、今の「発酵」界隈と近い動きは他にあるのか?
・民藝ブーム、発酵ブームに終わらせず、ムーブメント(運動)に押し上げるには?
・民藝と発酵の共通点
・「使う」民藝、「食べる」発酵を超えて、どう「モノサシ」になり得るか?
といった流れを考えていましたが、聞けたこと、聞けなかったこと、話せたこと、話せなかったこと、色々ありました。
先程、聞く側から話す側に変わったと書きましたが、「話し手」というよりは「聞き手」ぐらいの気持ちがあり、ヒラクさんからどう話を引き出すか、というところに重点がありました。これは1年半、月イチ朝カフェ「哲学対話の時間」(哲学カフェ)で司会進行してきたのとも関係しているかと思います。僕が10の引き出しから3話すのに対し、ヒラクさんは1000の引き出しから7話す感じ。新著を出してから様々な対談を重ねてきてて、それで随分広がり、展開したと仰ってましたが、凄い!と思うのは、テーマに合わせて、対談相手に合わせ、内容やレベルを自由自在に変えてらっしゃること。今回、2人で話していくうちに、どんどんドライブしていく感覚があったのですが、トークイベントに何人かの知人から、面白かったけど、途中よく分からなかった(ついていけなかった)ところがあったという声があったので、ちょっと反省。
客席から聞くのと違って、当事者だとなかなか対談内容をまとめるのは難しく(このブログが遅くなった理由の一つですが)、どなたかまとめて下さらないかな?とか、動画をアーカイブして下さっていたら、とか思ったりもします。まとめるのは難しいので、対談中、ヒラクさんから飛び出した、3つのLをご紹介したいと思います。モノサシとしての発酵のキーワードと言ってよいと思います。
Limit into creativity(制限は創造性に)
Locality into character(地域性は個性に)
Lag into value(時間は価値に)
民藝の要素として、
実用性。鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものである。
無銘性。特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものである。
複数性。民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものである。
廉価性。誰もが買い求められる程に値段が安いものである。
労働性。くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものである。
地方性。それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かである。
分業性。数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要である。
伝統性。伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られている。
他力性。個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものである。
(日本民藝協会HPより)
あくまで柳宗悦が美を見出したものに共通点として挙げたものであって、これが揃えば民藝という条件では無いのですが、ヒラクさんの3つのLとも共通しますよね?特に制限(僕はよく制約と表現していますが)から生まれるクリエイティビティやオリジナリティは、民藝にも感じますし、他にも通じることで、よくテマヒマブログにも書いています。ますます高速化する現代において、ゆっくりした時間の流れを取り戻す、時間を信じることの重要性もよく書いているかと思います。
民藝と発酵の共通性でもあり、最重要なのが「他力性」であることは異論のないところかと思いますが、個人的には、無名性(+分業性)の拡張・新解釈、哲学カフェや恩送りノートでの経験を念頭に、カフェのサードプレイス的意味を踏まえて、名も無きではなく、名を無くす、という提案をしたかったのですが、最後時間切れで、消化不良となってしまいました。普段からテマヒマブログを読んで下さってる方なら、あぁ、あの話ね、って感じかと思いますが。もしもっと話を聞いてみたいみたいとか、一緒に対談したいみたいな、ご要望があればお気軽にお問合せ下さい笑。
改めまして、海外出張の忙しい合間をぬってお話頂いた小倉ヒラクさん、ディープな鶴橋の夜も含めご一緒出来て楽しい時間でした。ありがとうございました!スケジュール管理をして下さったおのたみさんありがとうございました!場を提供して下さった高島屋さん、ありがとうございました!
テマヒマは今日もこの後11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。ランチの11時半、12時のお時間はご予約で残り11席とお席にかなり余裕がございます。現時点ではご予約無しでもお席ご案内出来るかと思います。
それでは好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。
今日も好い一日を。