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小田凱人「エキシビションだから、逆に高いレベルの試合ができた」

2026.10.06 06:50


木下グループジャパンオープン2026最終日の10月6日、有明コロシアムで車いすテニスのエキシビションマッチが行われ、世界ランキング1位の小田凱人(東海理化)が2位のアルフィー・ヒューエット(英国)を7-6、4-6、10-6のフルセットで下した。平日午前11時開始ながら、この一戦には約4000人が詰めかけた。試合後の会見で2人は、大観衆の前で戦えた手応えと、競技の未来について語った。


「グランドスラムに引けを取らない」

ヒューエットは開口一番、「コロシアムは昔から人々が戦う場所。まさにふさわしい名前の場所で、いつも通り激しい試合ができた」と振り返った。「メディアの注目も集まり、一般の方々も応援してくれた。この会場、この大会、今日の試合はグランドスラムにまったく引けを取らない」と、日本での一戦を高く評価した。


小田は「可能性を感じる日になった」と第一声。「エキシビションなんだけど、普段のどの大会よりもレベルが高い試合が、逆にエキシビだからできたのかな」と振り返った。小田は2日前の事前会見でも「エキシビションという体ではあるが、これまでのベストの試合を出す機会」と語っており、ヒューエットも「勝ち負けにそれほどこだわっていたわけではない」と話す。ランキングやタイトルのかからない舞台で、互いが純粋に最高のテニスを追い求めた結果だった。


全米の敗戦は「背負ってやっていくしかない」

今季、小田は全仏、ウィンブルドンの決勝でヒューエットにストレート勝ちしたが、全米オープン決勝では敗れた。その受け止めを問われると「まだ悔しい。受け止めるというより、背負ってやっていくしかない」と率直に明かした。

全米の1週間後、国別対抗戦で再びヒューエットにストレート勝ちしたものの、「そこで勝ったことで、かえってニューヨークでの負けが挫折になってしまった」という。「これまで思い通りにいかない経験がなかった。1回負けているというのは、今日も心のどこかにあったし、これからもある。それをどう解釈するかで、今後の僕のテニスも変わってくると思う」。

10月18日に開幕するアジアパラ大会(愛知・名古屋)に向けては「1位として見せられる姿を、同世代や若い子たちに惜しみなく見せたい。地元の試合なので、実際に見てもらうことで競技はもっと発展する。ただ見てもらうには、勝っていないと見たいと思われない」と、勝利へのこだわりものぞかせた。


互いを一言で表すと――小田「敵」

「お互いを一言で」との質問に、小田は少し考えて「敵、ですかね」と答えた。「変な意味ではなく、そういう人がいないと、勝負している側も見ている側も楽しくない。彼がいることでやりがいを感じている」と説明した。

ヒューエットは笑いを誘いつつ、「スポーツには対戦相手が必要。相手が良い存在であれば、自分をより高めてくれる。負けるほどハングリーになれる」と応じ、「敵という言葉の意味ではなく、互いにリスペクトし、高め合える健全な関係だ」と語った。


サイン列に見た「日本の温かさ」

小田が最も可能性を感じたのは、試合前の練習コートでの光景だった。「ヒューエットへのサインを求める列が途切れなかった。僕がイギリスに行った時にはなかった経験。日本の温かさを感じた」。入場時の盛り上がりにも触れ、「競技スポーツとして楽しんでもらえた。もっと盛り上がるぞ、と思えたし、それを彼に見せられたと思う」と笑顔を見せた。


「俺がやるしかない」

例年は公式戦が組まれていた車いす部門だが、今年は海外大会と日程が重なり、エキシビションでの開催となった。今後の大会環境について問われた小田は「車いすに乗ってボールを打つことで、そういうことを変えられるのが今のやりがい」と力を込めた。

「日本は国枝(慎吾)さんのおかげで大きく変わった。海外でも自分がその現象を起こしたい。来年もここでプレーしたいし、さらに高いクラスの大会を望んでいる。いろいろな国でエキシビションをしているが、日本は桁違いに注目してもらえる。これを大事にしつつ、ワールドワイドにしていきたい」。そして最後に「1位になってタイトルを取っても、そういうところに目を向けて、俺がやるしかないと思っている」と締めくくった。

Photo by Junko Sato / SportsPressJP