AIで効率化するほどブランドが必要になる。
通販の現場でも、AIを活用する場面が急速に増えてきました。メルマガやLINEの文章をつくる、DMの企画案を考える、顧客データを分析する、広告クリエイティブのアイデアを出す。これまで担当者が時間をかけて行っていた仕事の多くを、AIがサポートできるようになっています。CRMの領域も同様です。「購入から○日後にこのメールを送る」「休眠顧客にはこのオファーを出す」「定期顧客にはこのタイミングでクロスセルを行う」といった施策は、データとAIを組み合わせることで、これまで以上に細かく、効率的に設計できるようになっていくでしょう。
しかし、ここで考えておきたいことがあります。CRMの効率化が進めば進むほど、各社の施策は似てくる可能性があるということです。AIに「化粧品の定期購入者に継続を促すLINEを考えて」と依頼すれば、ある程度質の高い文章はすぐにつくれます。キャンペーン企画も、同梱物の構成も、休眠顧客へのアプローチも同じです。つまり、「何をするか」だけでは差がつきにくくなっていきます。
ここで、通販CRMにおけるブランディングが再び重要になってきます。そもそもCRMは、単に次の商品を買ってもらうための販促活動ではありません。商品を購入した後に企業がどのような言葉を届けるのか、どのような情報を提供するのか、困ったときにどのように対応するのか。そして、その企業や商品をどのような存在として記憶してもらうのか。こうした購入後の一つひとつの接点が、そのブランドに対する印象をつくっています。
たとえば、同じタイミングで同じ10%OFFのキャンペーンを実施していても、「割引があるから買う」のと、「このブランドからの提案だから見てみよう」と思ってもらえるのでは意味が違います。前者は価格による関係ですが、後者はブランドによる関係です。この違いは、継続率やLTV、そして最終的には利益にも影響してきます。
これまで通販では、CPOやレスポンス率、継続率など、数字を細かく見ながら改善することが成長の大きな原動力でした。もちろん、これからもその重要性は変わりません。ただし、数字を改善するための「施策」だけを追いかけていると、CRMがキャンペーンの連続になってしまいます。毎月クーポンを送り、ポイントを付与し、キャンペーンを繰り返す。短期的には売上が上がっても、「なぜこの会社から買うのか」という理由が顧客の中に残らなければ、より安い商品や魅力的なオファーが現れたときに簡単に比較されてしまいます。
だからこそAI時代のCRMでは、効率化と同時に「自社らしさ」を設計することが必要です。自社は顧客にどんな価値を届けたいのか、どんな存在として覚えてもらいたいのか、そのために購入後にどんな体験を提供するのか。この軸があって初めて、AIによる効率化が企業の強みになります。AIによって「できること」が増える時代だからこそ、「何をするか」以上に「なぜそれをするのか」が問われるのだと思います。
通販CRMにおけるブランディングとは、見た目を整えることではありません。顧客との関係そのものを、自社らしく設計することです。CRMの効率化を考えるとき、自社の施策が「売るための仕組み」だけになっていないか。その先に「このブランドだから続けたい」と思ってもらえる関係がつくられているか。一度見直してみてもよいのではないでしょうか。
弊社もクライアント様のニーズに合わせ、通販会社のブランディングプロジェクトにアサインされることもあります。お気軽にご相談くださいませ。何卒よろしくお願いいたします。
株式会社 ダイレクト・ラボ
ダイレクトマーケティングプランナー/石井孝典
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