石川智晶「読む」の印象メモ
好きな歌を聞いてると印象や風景が浮かんでくることありますよね。
元seesawの石川智晶嬢の曲から感じた脳内劇場をメモします。背景を調べたわけではないので考察ではありません。
(「読む」歌詞)
テーブルの上はなにも置かれてない
いつかのフォークとナイフを
記憶だけでは並べることは
できないのどうしようもなく
変わってゆくことを
私を読みなさい
私を読みなさい
静かな風景にもあたしはなれるけど
夏に雪をも降らせる
空持たねば私は人ではいられない
あの人はハルキの本を読み続ける
その中の風景の一つでも借りて
私の真ん中を紐解いてくれないだろうか
私を読みなさい
私を読みなさい
痛いほど求める間合いはいつ届く
横顔のほころびに本を無情に積み重ねてゆくひと
…
(印象・風景)
小さな戸建ての窓際で、丸テーブルに夫婦が腰かけている。空は雪が降りそうな曇天である。
妻は夫に向かい合っているが、夫は窓の方に体を向けている。
夫は人生で必要なものを学ぶためにたくさんの本を積み、ハルキ(村上春樹?)を読んでいる。しかし目の前にいる妻には目をくれない。
妻はもう長いこと、夫と距離を感じていた。静かな風景のような、物言わぬ妻になりうわべだけ取り繕うこともできるけれど、夫はそれでいいのか。
結婚したての頃、どんな気持ちで夕飯のフォークとナイフを並べていたか思い出せない。
村上春樹の描く人情には感動し横顔をほころばせるのに、現実でそれを求める妻にはその学びを活かさない。夫は感じ入って本を読み終わり、間髪入れずに次の本にとりかかる。
見つめる妻は、「その学びを通して私の心を読んでみるがいい」と心で問いかける。
今の関係が夫にとっては夏でも、雪を降らせてもいいのだと唱える。雪のような冷たい気持ちを自分に許していなければ、人でいるのが難しいほどつらく苦しい。
そんな物語を想像しました。
石川智晶さんの深いところは、「夏に雪をも降らせる空持たねば私は人ではいられない」という歌詞にあると思います。雪というと雪女や、物理的・感情的な冷たさを想像します。主人公が男性か女性かわからず女性にしてみましたが、どちらであれ人として汚い感情を抱くのは悪いことじゃないと問いかけられているようです。良い部分も悪い部分も持っているのが人間だという「情」に包まれます。恵みの雨のような歌声と、葛藤を肯定する懐。ファンの中でも密かに人気な歌らしいですね。