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著者・アスリート 東谷瞳|障害と生きる日々

23.自分で決めることが、こんなに楽しいなんて

2026.10.12 22:24

「今日は何を食べよう」

そんな何気ない問いが、

こんなにも楽しいものだとは思っていなかった。

誰かに決めてもらうのではなく、

自分で選ぶ。

それだけのことなのに、

どこか心が弾む。

Flowerでの話し合いの中で、

「一人暮らしをしてよかったこと」というテーマが出たとき、

こんな言葉が印象に残った。

「自分で決められることが楽しい」

たとえば、食べたいものを選ぶこと。

今日は外食にするか、自炊にするか。

誰と過ごすか、どこへ行くか。

一つひとつは小さな選択かもしれない。

でも、それを自分で決めることに、

確かな喜びがある。

それまでの生活では、

周りの人が決めてくれることも多かった。

安全のため。

スムーズに進めるため。

失敗しないようにするため。

その配慮は、とてもありがたいものでもある。

でも同時に、自分で決める機会が少なくなっていたことにも気づく。

選ばなくていいことは、楽なようでいて、

どこか物足りなさも残る。

だからこそ、「自分で決める」という体験は、

思っている以上に大きな意味を持つ。

もちろん、すべてが自由にできるわけではない。

時間や環境の制約もあるし、

誰かのサポートが必要な場面もある。

それでも、その中で選べることはある。

「今日はこれにしよう」と決めること。

「ここまでやってみよう」と挑戦すること。

その一つひとつが、自分の生活をつくっていく。

ある人は言っていた。

「自由って、なんでもできることじゃなくて、選べることなんだと思う」

その言葉に、深くうなずいた。

完璧な自由ではなくてもいい。

少しでも「自分で決められる」瞬間があること。

それが、生きている実感につながっていく。

そして、自分で選んだことには、責任も生まれる。

うまくいかないこともあるし、

思った通りにならないこともある。

でも、それも含めて「自分の選択」だと思えると、

その経験は少し違った意味を持つ。

誰かに決められた失敗ではなく、

自分で選んだ中での試行錯誤。

そこには、次につながる手応えがある。

自分で決めることが、こんなに楽しいなんて。

それは、特別なことではなく、

本当は誰にとっても大切なことなのかもしれない。

どんなに小さなことでもいい。

今日の一つを、自分で決めてみる。

その積み重ねが、

少しずつ、自分の人生を形づくっていくのだと思う。