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Plants on Vellum

作品調査13

2019.03.31 23:00

タンカービルコレクションを閲覧しています。


サイモン・テイラーの作品の一部はタンカー・ビルコレクションに属しており、別の作品も同じボックスに保管されています。

せっかくの機会なので観察してみることにしました。


約3ヶ月前に初めて調査に取りかかったのもタンカー・ビルコレクションからでしたが、600点近い作品群のまだほんの一部しか閲覧していません。

このコレクションはキュー植物園に収蔵されている約800点のヴェラム作品の大部分を占めています。

しかしながら作者不明の作品が多く、複数の作者によって描かれており、作品の質もまちまちです。

今回観察した20点はそれぞれサイズが異なりますが、マウント方法や台紙に描かれた枠線の様式は共通しています。

どの作品にも全体的にヴェラムの大きなうねりが見られます。



日本で馴染みのあるジンチョウゲの作品が目を引いたので、少しご紹介したいと思います。



葉が厚塗りされて、展色材のせいで艶やかに反射しています。以前からこの表現方法に困惑させられていますが、今回も葉の質感を表すために意図的に展色材が増やされた印象を受けました。艶やかな葉が張り付いているような、妙にリアルな質感があります。

それに対して、肉厚な花部分は白い絵具を用いずに描かれています。


このジンチョウゲの作品は、描画水準に幅のあるタンカー・ビルコレクションの中では完成度の高い作品だと感じます。

早春のロンドンでも多くのジンチョウゲが良い香りを漂わせていました。

この作者も香りに魅せられたのではないでしょうか。何度も繰り返し重ねられた筆致からは、植物の特徴を余すところなく表したいという思い入れが感じられました。


Daphne odora

作者不明 

272x219mm  1784年

©︎ The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew