Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

Logokeiba Portfolio

<Unused Ideas> / 第10話 2026年上半期:まとめ

2026.10.18 10:17

※本企画の趣旨は、こちらからご覧ください。


この連載では、2026年上半期の実例を使いながら、“ボツ案にした理由”や“採用案に辿り着いた理由”をご紹介してきた。

それはそのまま、ロゴケイバの思考方法や創作基準を公開することと、同義だったと考えている。

この第10話では、第1話から第9話までの制作工程を振り返る中で、副産物として見えてきたことをご紹介したい。

ロゴケイバ流のAI使用方法である。


例えば、同じAIでも、案を増やす / 辞書のように使う / 文章を整理する / 論理に破綻がないかを検証するなどの使い方がある。

逆に、発想には一切触らせず、文字数だけを削らせることもある。

ロゴケイバにとって、AIの使用方法は目的に合わせて変えるものなのだ。

そこで今回は、9つの実例を通じて、ロゴケイバの創作基準を改めて整理する。

あわせて、それぞれの回でAIを何のために使ったのかも併記する。

つまり、ロゴケイバの思考方法の総括であり、全9話における、AIの使い方の目的別索引となっている。


▼第1話:25年 年度代表馬・フォーエバーヤング「永久の開拓者」▼

【この回でのAIの使い方】選考材料の大量生成。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】AIから案は大量に出るが、何を選べばいいのか分からない方。

【ロゴケイバの創作基準】「最強」と言うのではなく、“何がどう最強なのか”まで定義する。

【没にした案】「最強」「王者」「伝説」「世界」「永遠」など、誰にでも使える言葉。

【成果物】既存の序列を超え、新しい領域を切り拓いた存在として名づけた、「永久の開拓者」。



▼第2話:大阪杯・クロワデュノール「友と一番に」▼

【この回でのAIの使い方】発想の拡張、配置転換。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】アイデアは複数あるが、どれをメインとして採用し、どれをサブへ配置するべきか迷っている方。

【ロゴケイバの創作基準】“このコンビだから勝てた”という、固有の説得力があるか。

【没にした案】「絆は、結果で証明する」「北十字は、再び交わる」「主役は、また立ち上がる」など。

【成果物】北村友一騎手の名前と、「一番になる」という結果を重ねた「友と一番に」。



▼第3話:天皇賞(春)・クロワデュノール「無傷では、守れないものがある」▼

【この回でのAIの使い方】即興制作の相棒、意味の深掘り。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】AIを使いながらも、その瞬間にしか生まれない表現を作りたい方。

【ロゴケイバの創作基準】勝ったという結果ではなく、“どのように勝ったのか”まで検討材料にする。

【没にした案】「王座は、譲らない」「王座は、敗北を知っている」「王座は、無傷では守れない」。

【成果物】辛勝を弱さではなく、王座を守るために払った代償として捉えた、「無傷では、守れないものがある」。



▼第4話:安田記念・シックスペンス「神様は、少し不器用だ」▼

【この回でのAIの使い方】倫理と配慮の検証。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】悲しみや喪失など、デリケートな題材を扱う時の言葉選びに悩む方。

【ロゴケイバの創作基準】勝者を讃えながらも、その裏にある不幸を美談として消費しない。

【没にした案】「何かを手放したら、何かが入ってくる」「運命は、寄り道が好きだ」。

【成果物】馬名に由来する、幸運なコンビ結成を讃えつつ、悲劇まで肯定しない距離感を「少し」に込めた、「神様は、少し不器用だ」。



▼第5話:オークス・ジュウリョクピエロ「バトンは、ついに新時代へ」▼

【この回でのAIの使い方】主語の整理、文章構造の整頓。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】登場人物や伝えたい要素が多く、文章の主語や構造が複雑になっている方。

【ロゴケイバの創作基準】誰を讃えているのか。誰かを置き去りにしていないか。

【没にした案】「バトンは、ついに花道へ」「今日、彼女たちはその先へ」「時代を変えた女王」。

【成果物】先人から現在、そして未来へ続く時間を一本のバトンで結んだ、「バトンは、ついに新時代へ」。



▼第6話:顕彰馬・オジュウチョウサン「飛聖」▼

【この回でのAIの使い方】言葉の探索、造語の支援。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】言いたいことは決まっているが、それを表す既存の言葉が見つからない方。

【ロゴケイバの創作基準】既知の評価を繰り返すのではなく、その対象にしか使えない言葉になっているか。無いのであれば言葉を新しく作りだすが、その造語が誰にでも直感的に伝わる意味合いになっているか。

【没にした案】「絶対王者」「史上最強」など、すでに共有されている評価。

【成果物】障害競走を示す「飛」と、長く尊ばれる存在を示す「聖」を組み合わせた造語、「飛聖」。



▼第7話:皐月賞・ロブチェン「黒曜石」▼

【この回でのAIの使い方】徹底した推敲、研磨。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】アイデアの芯はあるが、文章が重い・くどい状態から完成度を上げたい方。

【ロゴケイバの創作基準】何を足すかではなく、何を削ればアイデアがもっと強くなるか。

【没にした案】「その黒い輝きの奥へ」「その深い光の奥へ」など、黒・光・強さの重複表現。コピーを過度に説明するような要素。

【成果物】コピーは「黒曜石」の一語に絞った。その上で、本文を「黒い馬体は、原石。」と切り出すことで、表現の補完関係を成立させた。



▼第8話:日本ダービー・ロブチェン「峰はひとつ、道は無数」▼

【この回でのAIの使い方】因果検証、論理チェック。

【こんな方には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】AIの文章はそれっぽいが、本当に意味が通っているのか不安な方。

【ロゴケイバの創作基準】言葉同士が滑らかにつながるだけでなく、“なぜそう言えるのか”まで説明できるかどうか。

【没にした案】「黒は、何色にも染まらない。」

【成果物】馬名の由来である「山」の要素と、逃げても差しても勝つ万能性をリンクさせた表現である、「峰はひとつ、道は無数」。



▼第9話:宝塚記念・メイショウタバル「レジェンドを、挑戦者に変える男」▼

【この回でのAIの使い方】編集圧縮、文字数の最適化。

【こんな人には、ぜひ参考にして頂きたい記事です】言いたいことは決まっているため、AIには余計な発想はさせたくない。SNS用に、短文化だけをAIに任せたい人。

【ロゴケイバの創作基準】何だけは絶対に削ってはいけないのか。破綻と圧縮の境目はどこか。

【没にした案】意味が変わってしまう短文化、新しい解釈、余計な別案。

【成果物】「レジェンドなのに、まだ挑戦者でいられる」という核を守ったまま、Xの文字制限へ圧縮した、「レジェンドを、挑戦者に変える男」。







▼人間の問いより先に、AIの答えが生まれることはない▼

こうして振り返ると、AIは、すべてを自動で生み出してくれる魔法の杖ではないことがよく分かる。

制作のフェーズや、その時に抱えている課題によって、まったく異なる役割を担う道具である。

AIの使い方が毎回違ったのは、そもそも人間側の問いが毎回違うからだ。

答えが、問いより先に登場することなどあり得ないのだから、「今日はAIにこんな役割を担わせよう」などと考えているわけではない。

まず考えるべきなのは、表現したいことを実現するために、自分は今、何を見極めなければならないのか?ということだ。

その問いを人間側で立てた上で、答えを作るために必要なことだけをAIにやってもらうのだ。



▼AI時代に、人間が手放してはいけないものは、こだわりだ▼

AIを使えば、文章はいくらでも増やせる。

饒舌な説明も、それらしい別案も、数秒で目の前に現れる。

だからこそ、これからのクリエイティブで重要になるのは、

・何を捨て、何を残すかという「選考の基準」。

・言葉の裏にある因果関係や、意味の破綻を見抜く「疑う力」。

・対象となる馬やレース、その背景に対して、誰よりも夢中になって向き合い続ける「時間と文脈」。

この3つだと考えている。


そして、これらはそのまま、作り手のこだわりを構成する要素でもある。

少なくともロゴケイバでは、この3つを手放すことはできない。

この3つを武器にして、「なぜ、この馬の表現が、この表現でなければならないのか」を考え、加筆修正も繰り返し、最後にジャッジを下す。

それが、人間の仕事だと考えている。



▼AIを使うからこそ、人間らしさの追求が必要だ▼

没案の山を振り返ると、私が削ぎ落としてきたのは、言葉の甘えであり、AIが生み出す平均値だった。

その先で、最後に残った一案だけを世に出してきた。

AI時代だからこそ、人間はこれまで以上にシビアに、そして熱量を持って、表現と向き合わなければならないと思う。

そこにはこだわりがあり、作り手の価値観や個性が出るからだ。

逆説的ではあるが、AIを使うからこそ、人間らしさや自分らしさを、これまで以上に追求しなければならない時代なのだと思う。

むしろ、AIがあることで、できることは増えた。

そして、できることが増えた分だけ、考えるべきことも増えた。

9話を書き終えても、この考えは変わらない。


この連載が、AI時代のクリエイションに挑む方にとって、何かひとつでも参考になれば幸いだ。

また、気になるテーマがあれば、この第10話を索引代わりに、それぞれの回もぜひ覗いてみてほしい。