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この道往けば act2

ウツロギ峠

2019.03.24 06:33

福井県道209号五幡新保停車場線(いつはたしんぼていしゃばせん)

敦賀市東部の沿岸部を走る国道8号と山間部を走る国道476号とをショートカットするように指定されているこの路線は、僕に初めて県道制覇において「挫折」を味あわせてくれた路線です。

この県道には峠があります。


名は「ウツロギ峠」。

標高170mと周囲の山に比べて低く、かつての東郷村と東浦村(両村とも現敦賀市)を隔てていて、万葉集にも詠まれたという歴史情緒あふれる峠です。

僕ははっきり言ってこの道をなめていました。

県道203号県道248号といった「有名どころ」を制覇し、地元の170m程度の峠なんて楽勝とタカをくくっていました。

だがしかし!その慢心は起点に即打ち砕かれました!!

路地ではない。

これが県道の起点。

僕の愛車てぃーだくんなら行けないことはないでしょう。

だがしかし!この先には確実に峠があり、さらに対向車(プラド!)も向かってきているのです!若かった僕はこの日、僕は見て見ぬふりをしました。初めて狙った県道を逃したのです。


あれから4年、再び僕はこの路地に立ちました。

車で通れないなら歩きとおしてくれる!最近ランニングを始めた僕は、体力的にも自信を取り戻しているんだ!

かつてはあの深坂峠も歩きで越えた!

行けないわけがない!!

恐らくこれが対向車の原因。

かなり立派な旅館です。

この付近のお宅にはマークXやサニーといったセダン系の車も停まってます。

あの路地からマークXが飛び出してきたら・・・、かなりビビると思う。

(写真はありませんが、あの路地の先は天下の直轄区間国道8号です)

五幡集落を抜けるとこんな感じ。まだ舗装は続いています。

ちなみにここは真っ直ぐ。

左はラストのエスケープルート。

いよいよ本番です。

エスケープルートを過ぎてすぐお地蔵さんがありました。

峠由来のものと思われます。

手を合わせて目をつぶり旅の安全を祈りました。

さぁいよいよ見えてきました。通行止め。

しかし以前はここに物理的なガードがあったと思うんだけど?

雪にやられたか?

まぁ気を引き締めなきゃならんことは確かです。

ここからいよいよ山道区間。

まぁしかし、轍(軽トラサイズ)は奥まで続いていて、まだまだ安心できる感じ。

ただ・・・。

この探索、実は仕事終わり直後に行ったものでして、この時点で18時10分を回ってました。

この薄暗い森に歩きで突入するのは・・・。

さすがにちょっと怖かったです・・・。

しばらく行くとこんな貯水施設が。

轍たちはここでみなこの施設の駐車場へ向かっています。

ということは・・・。

路面悪化!!

足首をやる危険が高まりました!

写真では分かりにくいですが、かつての轍が30cmくらい雨水に削られて小川になっている個所まであります。

もはや許される四輪車は軽トラくらいでしょう。もちろんうちのてぃーだくんなら・・・orz

駐車場の脇に潰れたガードが。

これやっぱ去年、五幡集落の奥で見たのと同じじゃないか?

犯人は雪で間違いないと思われます。

まさかあの道をガード吹き飛ばして走る奴もいないだろうし。

路面状況は劣悪(崩壊はない、ちょっとしか)、さらにここから急激に勾配が上がります。

木立の中で薄暗いこともあり、急にピントが合わなくなりました。ウツロギの呪いか。

ここは峠までラストの登りはじめにある祠。

もちろんここでも手を合わせていきました。

「僕を明るいうちに愛車まで帰らせてください」と。

・・・山で日が暮れたら流石に泣くぞ。

18時30分。ウツロギ峠着。

左右の掘割が深くなり、紫色の空が逆三角形に切り取られた峠らしい峠でした。

4年間思い続けていた峠に立つ喜び。切れ切れの息を整え「おし!」と叫びました。

「ウツロギ峠」の名の由来となったウロのある大木はさすがにありませんでしたが(平安時代の話なのであるわけないんですが)、それでも十分歴史の舞台となったであろう峠の年輪に触れた気がします。

さてもう一仕事・・・。

こちら、東郷地区田尻側は峠付近まで舗装が完了しています。

その為か峠のすぐそばまで車両で進入が可能ですが、こっちはばっちりガードがありました。

ただし僕の目的はへし曲がっている「立ち入り禁止」ではなく、ガードの足に貼られている・・・

福井県

この道の事業主体が福井県であることを示しています。

つまりこんな分断区間上でも法律上はれっきとした一般県道であるということ。

ここでもし道路の真ん中で心臓発作とかで倒れたら、ニュースではちゃんと「県道の真ん中で変死体発見」とか言われるのかな。

・・・言われないんだろうなぁ。

さてやることも終わったので、帰りはそそくさと足をひねらんように帰ってましたが、

み~つけた!

かなり分かりにくいですが、写真中央の斜めってる石に注目。

これ実は県の土地を示す石標なんです。

つまりこれはこの登山道と言われても納得するようなこの道が、将来的に県道として整備する為、県の持ち物になっているということを示す重要なもの。

いやあ、有名サイトとかで見たことはあったけど実物は初めて見ました。

テンション上がった!

生還。

まさにギリギリ。

街の灯りのありがたみが身に沁みました・・・。

これでリベンジせねばならん不通県道のうち一つを制覇したことになります。

残る一つは若狭町の福井県道217号海士坂鳥浜線の向笠峠でしたが、こちらも無事達成しました。

Reverse編やらなきゃな・・・。


以上、ウツロギ峠編