山縣ゼミ第9期、修了。
2019年3月23日、山縣ゼミ第9期のうち、留学のために休学しているじんやを除く23名が近畿大学をめでたく卒業しました。
山縣ゼミでは、毎年、卒業式、そして学位記授与式(学科・コースごとに行われるため)のあと、ゼミの修了式を催しています。今年も例によって。
この第9期は、山縣ゼミの〈価値創造デザインプロジェクト〉の1st season。第8期の〈企業プロモーションプロジェクト〉を継承しつつも、6つの企業や団体と、商品企画やプロモーション、企業内課題の解決など、かなり濃密なテーマで展開した最初の代。山縣自身が、もともと経営学史という理論的考察に重点を置いた研究をしていることもあって、どっぷり実践に参画してもらいつつ、その実践から得られた問題意識や知見にもとづいて、理論的にも考察してもらうという、ビジネス系PBLでもちょっと異質な、しかもけっこうハードな内容になってます。
正直、どこまでいけるか、私自身も手探りでした。プロジェクト先の方々はもちろん、第9期のメンバーにも不安を抱かせたことと思います。
それでも、24名のメンバーはガチで取り組んでくれました。濃密な実践経験は、深い理論的思索と両立しうるということを、この24名は体現してくれたのです。そのおかげで、私自身もこのプロジェクトは間違っていないという確信を抱くことができました。
卒論の厳しさは山縣ゼミ名物ですが、みんなは徐々にハードルを上げていく山縣の要求に苛立ちながら、腹も立てながら、しかししっかりと乗り越えてくれました。どやされ続けたメンバーもいます。けれども、みんなの卒論の要約を編纂した『出藍』をあらためて読み直してみて、それぞれの達成成就をみることができたことを実感しました。
そんな、山縣ゼミの伝統に新たな1ページ(いや、もっと多くのページ)を加えてくれた第9期が、この日、ゼミを修了しました。
ほんとによくがんばったと思います。私自身が、みんなに精神的に支えてもらってたんやなって、この日、すごく感じました。
そして、夜の謝恩会。
メンバーが創ってくれた動画は、この濃密きわまる2年半あまりが鮮明に描き出されていました。
そして、最後。
前に呼び出され、メンバーに取り囲まれました。「これまでの恨み、晴らさでおくべきか!」というのではなく(笑)、みんなが一言ずつメッセージをくれました。
みんなそれぞれにこの2年半を振り返って、ほぼ涙しながらのメッセージでした。めちゃくちゃ嬉しかったし、私も涙を堪えるのに必死でした。
いい謝恩会でした。ほんとに。
そして、さらにカラオケへ。
はちきれるような盛り上がりでした。私は途中で失礼したけど、そのあとも続いたようです。
さて、いよいよメンバーたちも、それぞれの行く先に向かって旅立ちます。昨年も引用しましたが、やはり今年もこの一首を載せます。
舵枕一夜ならぶる友舟も明日の泊まりや己(おの)が浦々(『玉葉和歌集』伏見院)
一夜ならず2年あまりを共に過ごした24名にとって、迷ったときに立ち戻って、再び進み出せるだけの“港”として、この第9期というつながりはあり続けてくれるように思っています。
最後に、メンバーたちに送ったメッセージを、若干の補訂を入れて、以下に載せます。
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みんなへ
もうたいがいのことは伝えきったけど、とりあえずの区切りとして、たぶん最後の長文(笑)
みんなにとってはしんどくて大変な2年間やったと思う。プロジェクトと研究と、その両方を濃密にやってもらったんやから。どっちかだけで大変なゼミなら、どこにでもある。けど、この両方をどっちもとことんまでやりぬくゼミなんて、そうそうないと思う。
正直、「無理かな」って思ったこともある。けど、みんなは食らいついて、最後までやりきってくれた。
合同ゼミ。そりゃ教員賞は各教室1チームしかもらえん。けど、もらえなかったチームも論の組み立てやら、考察の深さやら、他のゼミの報告に劣るところなんてなかったと、今でも確信してる。自分で言うのはこっぱずかしいけど、大学教員を15年余りやってて初めて、自分がやってきたことが間違ってなかったと思えた瞬間だった。
卒論。悪いけど、それぞれの限界を乗り越えることを求めるのが、俺のやり方。だからこそ、みんな苦しみもし、ムカつきもしただろう。そりゃ、ほどほどのところでまとめてもらったら、俺も楽だ。でも、それに何の意味があるのか。だから、みんなそれぞれにハードルを乗り越えてもらうようにやってきた。そして、みんなはそのハードルを超えて、今日という日を迎えてくれた。それこそが、俺がみんなに対して〈教員〉としてできることだ。
自己満みたいやけど、こんなに「やり切った感」のある代は、今までにそうなかったかもしれない。それくらい、みんなはガチでやってくれた。心から、感謝してる。
みんながプロジェクトにガチで取り組んでくれたこと、めんどくさかったかもしれない月例飲み会やら、数々のイベントもガチで楽しんでくれたこと、それがどれだけ支えになったか。新たな道をしかと歩んでいこうと思わせてくれたのは、他ならぬ、24名のみんなだ。
敢えて、流行りのフレーズを。
「この第9期24名と過ごした2年半余りに、後悔などあろうはずがない」
これから先、今までに経験したことのないようなハードな事態、理不尽な事態、つらい事態に直面することがあるかもしれない。けれども、この2年半余りのつながりは、きっとみんなのこれからの人生を支えてくれる。ここは、みんながいつでも戻ってきていい場所だ。自分を見失いそうなとき、どうしたらいいかわからなくなったとき、誰かに何かをどうしても打ち明けたいとき、ただただ久しぶりに会いたいとき。理由はどんなことでもかまわない。利害なく、そして心安く話ができるつながりは、ほんとに貴重なものだ。どうか、これからもこのつながりを大事にしてほしい。道に迷ったら戻ればいい。そして、また歩めばいい。ここに戻るべき場所に一つがある。
またもや長々と書いてしまった。もうこの先、こんなことはないのでこれが最後と思って堪忍な。
どうか、これから先のみんなの人生が光溢れるものとなりますように。時に陰がさすことがあったとしても、それでもトータルで素晴らしい人生となることを祈ってる。そのためには、何度でも繰り返すけれども、心と身体を大事に。もちろん、前に進むことも大事だし、挑むことも大事だ。けれども、心も含めた身体は、その起点であり、終点だ。だからこそ、心も含めて身体を大事に。
今までは、いろいろこまごまと指導もしてきた。一緒に歩んできたつもりだ。でも、今日を区切りにみんなは俺の手を離れる。これからは、それぞれの道を歩んでいく。これから先のみんなの幸せを、俺はただただ祈るより他ない。どうか幸せな人生を。
そして、あらためて。
ありがとう。俺にとって、ものすごく大事な転機をくれたことに。そして、どこを切っても隙間のない濃密な時間を共に創ってくれたことに。
今日という一つの区切りに、心から。ありがとう。
また会おう。
2019年3月23日