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富士の高嶺から見渡せば

子供に恥るべき「戦犯企業」ステッカー

2019.03.24 16:09

韓国京畿道の道議会に、学校の備品に「日本の戦犯企業が生産した製品」と書かれたステッカーを貼り付けるよう義務付ける条例案が提出された。文在寅政権の与党「共に民主党」所属の議員25人などが3月15日付で提出した。条例案は、道内にある小中学校と高校計4700校を対象に20万ウォン(約2万円)以上の備品のうち、「徴用工」問題に関わりがあるとされる日本企業約300社の製品に戦犯ステッカーの貼り付けるようを義務づけるというもので、生徒に正しい歴史認識をもたせ、教員に警戒心をもたせることが目的だという。

ステッカーには、「本製品は日本の戦犯企業が生産した製品です。日本戦犯企業とは対日抗争期当時、日本企業として大韓民国国民に対する強制動員などで我が国民に声明、身体、財産等の被害を負わせた企業です。京畿道教育庁」と書かれている。

具体的には、プロジェクターやビデオカメラ、コピー機などが主な対象になりそうだという。しかし、このステッカーをそれらの備品に張って、子供たちにどんなメッセージを発しようというのか。冷静に考えればわかることだが、自国の製品がないから、他国の、しかもかつて自国民をいじめた「戦犯企業」の造った製品を使わざるを得ない。自分たちの国にはこれらの製品を作る技術がないから、恥ずかしいけど、そんな悪い企業の製品を使わざるを得ない、ということしか子供たちには伝わらないのではないか。このステッカーは、要するに『日本は嫌だが自国で製品を作る能力がないので申し訳ないがこれを使ってください』というメッセージにほかならないのである。

条例案は3月26日に常任委員会で審議され4月に本会議にかけられる予定だという。この条例案について、京畿道の教育庁は不適切だとして反対する立場を明らかにしている。また康京和外交部長官も国会での答弁で「外交関係を勘案し、慎重に検討する必要がある」と述べている。

ソウル市議会でも、この1月、ソウル市とソウル市教育庁をはじめとする行政機関が日本戦犯企業の物品を購入しないよう随意契約を制限する内容の条例案が提出された。しかし常任委員会での審議過程で一部議員らが懸念を示して保留になったという。それよりもっと前にも、日本企業の入札を制限する国家契約法改正案が国会に上程されたそうだが、さすがにこれは流れたようだ。

そもそも、製品の購入制限や入札制限は国際調達を義務づけたWTO協定違反だ。国際的な経済原則・規範さえ無視する国が、GDPのほとんどを貿易に依存していることなどあり得るはずがない。仮にこうした議案が議会を通過した際は、WTOに提訴して、制裁手段を講じるべき事案だ。

ソウル市や京畿道の日本企業締め出しの動きは、たとえば東京都議会や首都圏の県議会が、特定の外国企業を名指しして不買運動を進めるようなもので、日本でなら市民やメディアから一斉に猛批判を受けるのは間違いない。それを考えると、韓国の常識外れの異常さは明らかだ。

そもそも、韓国がいう「戦犯企業」とは何なのか?

2012年8月29日、韓国政府機関の「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会」が、日本植民地時代に朝鮮人を強制連行して働かせた日本の企業を「戦犯企業」として公表したという。「強制連行」の事実がある日本企業1493社を調査した結果、299社が現存していることが判明したという。最近の朝鮮日報の報道によれば戦犯企業と規定している日本企業は284社だという。(朝鮮日報社説3月21日「戦犯ステッカー、親日校歌…韓国の言動を国際社会はどう見ているか」 )

戦犯企業として名指しされた299社の企業名リストは以下のサイトでも確認できる。しかし実際には重複などがあるため275社だという。

長谷亮介(歴史認識問題研究会事務局)「韓国政府作成「戦犯企業」273社実名リスト」

長谷亮介氏作成「韓国国立強制動員歴史館にて映像紹介された日本企業 275社リスト」


戦犯とされた企業数が、諸説あって一定しないことをもってしても、信憑性には疑問符がつく。そもそも「強制動員」や「強制連行」あるいは「強制徴用」とは何を指し、そうした事実が本当にあったのか?給料の未払いに関する客観的な記録や資料はあるのか?国家総動員法による動員は朝鮮半島には適用されなかったし、戦時徴用令による徴用が朝鮮半島で始まったのは1944年9月になってからだ。それ以前は、募集や斡旋に応じた一般労働者だった。

戦犯企業と名指しされた日本企業のなかには、朝鮮半島へ資本主義を導入し、国土資源の開発・産業インフラ整備に貢献したものの、戦後はそれらの資産をすべて放棄ないし喪失せざるを得なかった企業もあった。現在の日本企業の多くは、戦前の旧財閥系の流れを汲む企業であっても、この間に企業の統廃合や業態の変更で、まったく新しい企業に脱皮している。それに戦前からのオーナー一族がすべてを支配するような企業はどこにもなく、取締役会や投資家が集まった株主総会で民主的に経営方針を決める公器としての企業体となっている。経営トップも戦後70年以上も経てば、すでに何回も世代交代を繰り返し、戦前の残滓が残っている企業などどこにもないはずだ。それをいきなり根拠も示さず一方的に「戦犯企業」だ名指しするのは、理不尽、不合理を通り越して、その企業に対する名誉毀損、業務妨害などの不法行為に当たるのではないのか?

それにしても、仮にそれらの企業が、当時の朝鮮人を強制的に動員し、賃金も払わず労働を搾取したとしたら、権利を声高に叫び、やたらと自分たちの「正義」を振り回し、何が何でもしつこく要求を繰り返す粘着性の民族性からして、日本の敗戦後にすぐにでも給料を返せと要求し、それこそデモや暴動を起こしても不思議はないと思うのだが、そうした事象は寡聞にして聞かない。なぜなのか?

70年以上もたって訴訟を起こしているのは、実際に当時働いた本人ではなく、当人が亡くなったあとのその子や孫たちなのである。彼らがどれだけ詳しく当時の状況を理解し、親や祖父から当時の話を聞き出していたのかは分からないが、70年という時の経過は、真相を解明しようにもできない壁を造っているのは間違いない。

これは慰安婦問題についても言えることだが、「徴用工」(慰安婦)だされる多くの人は、本人は「徴用工」(従軍慰安婦)だとは思っておらず、給料が未払いだった事実もなく、戦前の暮らしに大きな不満があったわけでもなかったから、戦後も大騒ぎする理由はなかったのではないか。ところが戦後の教育で、頭に反日を詰め込まれた子や孫の世代が、当時のことは何も知らず、実際にあった事実など関係なく、ただ金さえもらえればいいと思って、弁護士や市民グループ(この中には日本人弁護士や市民運動家も含まれる)に踊らされて、騒いでいるのに過ぎないのではないか?

韓国では最近、全国の複数の学校で数十年にわたり歌われてきた校歌をなくし、道路名や町名まで変えようという動きが起こっている。左派団体が作った「親日人名辞典」に掲載されている人物が作詞作曲した校歌やその人物に由来する道路名・町名だからというのがその理由だという。17の市・道教育庁(教育委員会に相当)のうち、左派系教育監(教育庁トップ)らが実権を握る10の教育庁で既に校歌の変更作業が進められているという。

朝鮮日報社説3月21日「戦犯ステッカー、親日校歌…韓国の言動を国際社会はどう見ているのか」

経済専門メディア・ブルームバーグは、去年8月「文在寅大統領は国連で金正恩の報道官役をした」とする批判的な記事を配信した。これを野党・自由韓国党の院内代表が国会で「そんな言われ方は二度と聞きたくない」と発言したことで蒸し返され、与党・共に民主党はその記事を書いたブルームバーグの韓国人女性記者を名指しして「黒い髪の外信記者」と呼び、「売国に近い内容だ」と批判した。共に民主党の支持者たちは党の指示に従ってインターネット上で罵詈(ばり)雑言を浴びせたために、この女性記者と彼女の同僚たちは身辺の心配をしなければならなくなったという。これがまともな民主主義国家だろうか。

戦犯企業のステッカーといい、親日派が作曲した校歌の排斥といい、さらには外国メディアに対する理不尽な迫害行為といい、韓国の人たちは自分たちのやっていることが世界の常識といかにかけ離れているか、21世紀の韓国で行われている時代錯誤的な言動を国際社会はどのように見ているか、一度立ち止まって考えてみたほうがいい。