音楽教室の話
現在私一人で教えている、このk's music nagoyaの前に、
他所の音楽教室で採用試験を受けて雇って頂き、そちらでレッスンしていた時がある。
音楽教室の講師採用試験は、専攻楽器(指導出来る科目)などの実技試験が基本的にあることは言うまでもない。音大出身の講師なら実技試験や初見は何度もやって来ていると思うので特に問題はないはず。
ここまではいい。
一番困ったのはレッスン実技。これは経験が無い。
(指揮レッスンでオーケストラを相手にリハーサルするところを指導される、なら経験あるものの、
楽器の個人レッスンをするところについて指導された事はない)
面接官5人がいる前で、一人の面接官(大人)を小学生と設定してレッスンする。
面接する側もこれを一番重視しているのだと、受けた後に気付いた。
何より、とにかく演技
笑いゼロの厳粛な面接官の視線を感じる中、大人を相手に子供と接する時の声のトーンで挨拶、笑顔、話し方、でレッスンしなくてはならない。
経験したことも考えたことも無い試験内容で、未だかつて味わったことの無い緊張感。。
なんとかやってみたものの、終わるなり厳しい指摘と指導を受ける。。。泣
しかし、これがとても勉強になった上、今それを活かすことが出来ているので非常に感謝している。
ところで、なぜ大人ではなく'小学生'のレッスンと設定するかの理由について、次のように言われた。
「大人のレッスンよりも子供のレッスンの方がはるかに難しいのよ」
その時はへぇ~と聞き流していたが、後にそれを痛感することが相次いだ。。。泣
試験後に事務の方から、
「他の先生もレッスン実技でコテンパンにされるので大丈夫です」と励まされた。
それもそのはず、自分の演奏に対してのレッスンを受けることには慣れていても、
自分が相手にどうレッスンするのか、についての授業やレッスンは基本的に音大には無いからだ。
(特殊な専攻にはあるのかも..教育大学やリトミック??)
大学における器楽専攻は、教育者ではなく演奏家を育てるのが目的なので、
レッスン実技試験というのは盲点を突かれたような気分になると思う。
今後の社会の変化に備えて柔軟に対応して行ける力をつけるためにも、
何事も経験しておいて損は無いなと思った出来事の一つだった。
いつかのあんな事がこんな所で役に立つなんて、、、!!
と思うことは一度くらい誰もが経験していると思う。
もしかしたら、
趣味で始めただけのピアノが、近い未来or遠い未来で思わぬ形で助けになったり役に立ったり
する時が来るのかも... 芸は身を助ける?
~余談~
ちなみに、今はその音楽教室で兼務はしていない。
ここからは少しブラックな話。
なにしろ「無料体験レッスン」は本当に「無料」で報酬は無く、
交通費さえ出ない。(ヤ○ハさんはそういう事は無い)
無料体験レッスンで入学成約となると報酬が発生するが、
レッスン料の6割は教室側に行ってしまう。
いや、愚痴を言いたいのではなく、
レッスンというものを仕事としてやっていくとはどういう事なのか、など
多くのことを得られたのは確かで、感謝に偽りはない。
ただ、コンクール入賞歴のある講師の方や海外の良い音楽学校出身の方も結構在籍しており、
それを思うとやはりもう少し何とかならないものかと思ったのも事実。
無料を求める気持ちも、少しでもコスト削減したい気持ちもわかる。
けれども、人はエネルギーを消費したら補わなければ生きていけない。
出しっ放しでは尽きてしまうし、枯渇すれば質は下がる。
そういうわけで、私個人は自宅でなく他所でレッスン室を借りてのレッスンであることや、
その場所までの交通費を入れると、「無料」体験レッスンは非常に難しいため、
有料の体験レッスンとさせて頂いた。
(それでも赤字なので交通費だけ頂戴しますという事で1000円に設定)
なんとなくでも、このような事情があるのだと汲んで頂けたらうれしい。