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ジローの感謝。

エッセイ「家族と」

2019.03.24 21:11

小さい頃に出会った小さな命が

神社に沢山いた。

横は小学校。

子犬が何匹もいて、子供達は可愛がっていた。

とある子供は、1日置きに貰い手が決まっていく子犬を、親に「飼いたい」と言った。

やんちゃ盛りな子供は夜に母親のママチャリで子犬を迎えに行った。

2匹いた。

でも「1匹だけ。」

茶色毛の子犬を連れて帰ったのは雨の日。

白い子犬は翌日にはいなかった。

子供は、茶色子犬を可愛がっていた。

でもわんぱくな子供だ。

最初は散歩の仕方も分からない。

子犬は「クッティ」と名付けられ、外犬だったが、近所の子供達や、近所の方が優しく「クッティ」に接してくれたのだった。

時が流れるに連れて子供も大きくなる。

「クッティ」と散歩に行くと神社のお水を飲むのが決まりだった。

美味しそうに水を飲む「クッティ」を見ていて、少し休んで帰宅する。

毎日とは行かなかったけど、散歩はその子と「クッティ」だけの時間だった。

とある時に散歩中に「クッティ」が逃げた。

全速力で走って捕まえようと探しまくった。

いなくなって肩を落として帰宅すると、近所の方が「玄関で待っているよ。」と言っていた。

申し訳なさそうにしていた「クッティ」に、「大丈夫だよ。」と言って、首輪をつけて、小屋に戻した。

また時間は過ぎて行く。

「クッティ」もその子も歳を重ねた。

「クッティ」は目が見えなくなった。

光にビクッとして、散歩中も怯えていた。

「クッティ」は雨が嫌いだった。

とある雨の日に、その子は友達と遊んでいた。

「クッティ」が何度も鳴いていた。

雨の日の次の日は晴れていた。

その子の親が散歩に連れて行ったが、体調が悪くなり、「クッティ」を連れて帰った。

「クッティ」が過ごしやすくするための人工芝や、色んなものを親が買ってきた。

親が帰宅したら、「クッティ」はお空に行っていた。

その子は泣くどころか何も手につかなかった。

感情を押し殺すようにお別れをした。

「クッティ」のお墓を裏庭に。

毎年お花を植えるようになった。

墓掃除をしながら玄関に飾っている、「クッティ」の写真を見る。

その子も笑っていて、「クッティ」は早く散歩の続きをしよう。

というわんぱくそうな顔だ。

失ってしまったお空に行った相棒「クッティ」の写真は、玄関とその子の部屋に。

代わりがきかない、大切な家族へ。

いつもありがとう。