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KYOSHO RC BLOG

リポバッテリー取扱いのまめ知識 Vol.3!

2019.03.26 16:45

皆さん、こんにちは。

R&Dグループの古屋です。

毎週水曜日はRCカーの話題をお届けいたします。


さてVol.1(https://kyosho.amebaownd.com/posts/5569630?categoryIds=543777)は、もし、Li-Poバッテリーが発火した場合の発炎の凄さをご覧いただき、

Vo.2(https://kyosho.amebaownd.com/posts/5749571?categoryIds=543777)ではLi-Poバッテリーの構造を見て頂きましたが、今回の“第3弾のVol.3“は意外と知られていない危険な充電について解説したいと思います。


まず、ニカド(ニッケルカドミウム:Ni-Cd)バッテリーやニッケル水素バッテリー(Ni-MH)などのニッケル系バッテリーの充電方法として最もポピュラーなデルタピーク検知式カットオフ充電ですが、ニッケル系のバッテリーは充電時にどんどん電圧を上げて行くとやがて、そのピークを迎えます。更にピークを越えて充電すると今度は電圧が徐々に下がります。デルタピーク検知式カットオフ充電はその名の通り、ピーク電圧を検知しながら充電を行い、それより設定されたボルトまで下がった時に充電が終了する充電方法です。


しかし、このデルタピーク検知式カットオフ充電をLi-Po(リチウム・ポリマー)バッテリーに使用するとどうなるでしょう?



答えはデルタピークを迎える事が無いまま電圧が上昇し続けてしまいます。つまりエネルギーが蓄積され続け、エネルギーを吸収出来なくなると急激に温度上昇し、更には発炎に至ってしまいます。早い話が燃えるまで充電してしまう、“最も危険な充電”なのです。

ですので絶対にLi-Po(リチウムポリマー)バッテリーやリチウム系のバッテリーをデルタピーク検知式モードで充電する事はしないでください。


また、市場にはニッケル系とリチウム系の両方の充電方式が備わっているマルチ型充電器が出回っていますが、故意ではなくとも“モードを間違える危険”が伴います。Li-Poバッテリーとニッケル水素バッテリーの両方をお使いの方は切替をうっかり間違える事もあり得ます。

リチウムバッテリーの充電にはリチウム系専用の充電器の使用をお薦め致します。


また、Li-Po専用の充電機でもバランスモードが備わっていないと、危険が伴う事をご存知でしょうか?

Li-Poバッテリーは長期使用による劣化や、ショート、またはロック電流が流れた時などでバッテリーのバーストカレント(破損電流値)を超えた時に内部の化学変化により内部が破損し電圧が上がらない『仮死状態』になる事が有ります。この仮死状態は完全に0Vになる訳ではなく、2Vから2.5V位で充電してもそれ以上電圧が上がらない壊れた状態になるのです。


厄介な事に1セルが仮死状態になってもそこそこ使えてしまい、充電が不十分だったのかと気が付き難くく、再び充電する時に発火の危険が伴うのです。


もし2セルのLi-Poバッテリーの内部で、どちらか1セルが仮死状態になったとします。その状態で充電機からバッテリーに8.4Vが流れたらどうなるでしょう?

答えは正常なセルに6V位の電流が流れてしまいます。Vol.1でも述べましたが、Li-Poバッテリーは1セルが5.2Vを超えると発火致します。


と言う訳でバランスモードを備えていないリポ専用チャージャーの充電も危険が伴います。残念ながらこの事はあまり知られておらず、今回私が一番お伝えしたい部分です。


2セル以上をパックしたリポバッテリーを充電する場合、それぞれのセルの電圧を4.2V以上上げずに充電しなければなりませんが、その方法が『バランス充電』なのです。



バランスモードとは?

Li-Poバッテリーの充電方法も幾つかの方法に分かれます。メーカーや機種により備えられているモードはさまざまですが、ファストモードストレージモードスタンダードモード、そしてバランスモードが有りますが、ファストモード、ストレージモード、スタンダードモード等はアンプに繋ぐメインコネクターの電圧しか監視をしていないのに対してバランスモードはバランスコネクターにより、1セルごとの電圧を監視し、満充電されたセルからは余分な電圧を逃がし、満充電になっていないセルが満充電になるまで、微電流を流し続けて全てのセルを満充電して終了させる機能です。


仮にバランスモード以外の場合、セルとセルの合計の電圧しか監視していないので、あるセルの電圧が低い時に、他のセルが満充電になっても大きな電流を流してしまう恐れが有りますが、バランスモードは充電終了時に全てのセルが満充電となる為、セルのばらつきも軽減でき、過充電が抑えられるLi-Poバッテリーには最適な充電方法なのです。


皆様もご自分のお使いの充電器がバランスモードが備わっているか、モードの切り替えは正しく行われているか、今一度ご確認をお願い致します。


また、マルチ型チャージャーをご使用される場合には、Gens ACE から発売された、リポバッテリープロテクターhttp://rc.kyosho.com/ja/gac0100.htmlを是非お使いください。

万が一リチウム系バッテリーをデルタピークモードで充電しても1セル4.2V以上の上昇はせずカットされますので、うっかり事故を未然に防ぎます。(満充電はされずに充電を終了します。)


2019年度のKYOSHO CUPのEPクラスの公認リポバッテリーを会場で充電される場合にはこのリポバッテリープロテクターの使用が義務付けされました。

安全面を考慮しての採用ですので皆様のご理解とご協力をお願い致します。


次回もVol.4をお届けしますのでお楽しみに!