低酸素トレーニング(低酸素バイク)はトレイルランニングに効果があるのか人体実験してみる。
僕が部長を務めるダブルサバイバーの副部長は、(僕が忌み嫌う)スモーカー(iQos)だ。大酒飲みだし、走ったりしなければすぐにわがままボディに様変わりするほどの不摂生男だ。ちなみに同い年で同郷、市内のライバル中学校(サッカー及びヤンキー的に)同士。僕がフォワードで彼がキーパー。出会ってから20年ほどが経つ素敵なメンズである。
そんな彼は先日のはなももマラソンでサブスリーを達成。スモーカーでサブスリーランナー。正直けっこうすごいと思っている。
スモーカーがサブスリーランナーになったトレーニング方法は?
彼とは毎週のようにスピード練習をしていたのだが、その練習会に参加していたメンバーすべてがサブスリーを達成できたわけではない。したがって、毎週のスピード練習だけが決め手ではなさそうだ。
彼が他のメンバーと比較して取り入れていたのは、低酸素トレーニング。
僕も今やお世話になっている原宿になるスポーツサイエンスラボに足繁く通い、頻度高く低酸素トレーニングを行っていた。
そもそも低酸素トレーニングとは?その効果は?
スポーツサイエンスラボのウェブサイトによると、「標高の高い環境を擬似的に作り出した、マスク不要・完全個室の低酸素室」で行うワークアウトで、
低酸素環境でのワークアウトは、血液中の酸素運搬能力や筋肉への酸素消費能力向上を促し、心肺機能・持久力向上に効果的です。 また、エネルギー代謝能力にも大きな効果があり、代謝促進や蓄積脂肪の減少に繋がります。
当施設では専門の研究機関と連携し、国内初となる、個々に合わせて適正な酸素濃度・負荷を設定したプログラムを実施しております。
※ 初めから標高の高い設定(2000m以上)は身体への負荷が高いため、危険が伴います。知識・経験を持つトレーナーのアドバイスのもと、無理なく安全な段階から体験して頂けます。
古くは高橋尚子選手らが勝負レース前に高地トレーニングを行っていたように、一流ランナーにとっては定番のトレーニングを擬似的に生み出した環境で行おうというもの。iQosを吸うことで心肺機能が低下=酸素運搬能力が低下していても、それを補う効果を発揮していたと思うと、それなり以上の効果が見込めそうだ。
ランニングアビリティ測定の結果からも合致性が高い。
少し話は飛ぶんですが、先日受けたランニングアビリティ測定。
到達最大スピードが時速25km近く、最大心拍に達してからのスピード維持力は目を見張る成長を見せたものの、最大心拍数はまだいいが、VO2max(最大酸素摂取量)はそれらと比較して高いとは言いにくい結果(65.5)だった。
トップアスリートが80くらい(日本トップトレイルランナーの上田瑠偉くんは90以上!)と言われており、一般成人男性だと43ml/kg/分くらいだと言われているので、やや高いくらい。とはいえ僕は「一般成人男性」ではなく、変態レベルで鍛えている成人男性、なのでこれくらいで満足してはいけない。
まとめると、
- 強み:乳酸処理能力、メンタル、トップスピード
- 弱み:VO2max
トレイルランニングは全身長時間運動。弱みを克服している間に強みが消えてしまっては意味がないので、乳酸系機能を向上させながら心肺系も同時に鍛えられるトレーニングが僕には必要となる。
またトレイルランニングを平地・山岳・林道と分けて考えると、
- 平地:◎
- 山岳上り:○
- 山岳下り:◎
- 林道上り:×
- 林道下り◎
上記の通り、極端に林道の上り、峠走の上りが弱い。斜度10%-20%くらいの走って登るような、常に乳酸をじわじわと出し続けるような運動が非常に苦手なのである(トップスピードに到達したあとの維持力はそこそこあるので、糖質の貯蔵能力やそこからのエネルギー生産力は高いのかもしれないが)。
UTMFはもちろん、林道区間は多くのトレイルランナーが苦手としつつ、差が出る区間。ぜひとも克服して強みとしたい。
そこで採用したのが低酸素ランニング、ではなく、低酸素バイク、だ。
低酸素バイクの効果仮説
最近トレイルランナーの中でクロストレーニングが流行っている。あのリビングレジェンド、ネバー師匠こと鏑木毅選手も最近はインタビューのたびに「クロストレーニング」という言葉を使っているように思う。
「低酸素」であることの効用は上記に挙げたとおりだが、「バイク」であることの効果仮説は以下の通り。
- 怪我リスクの減少:ウルトラトレイルランナーはとにかく距離、時間ともに超がつくほど「長い」。結果的に怪我のリスクが高まるが、バイクは着地衝撃がないため、怪我のリスクが少ない。
- ハムストリングの強化:バイクのペダリングは様々な筋肉を導入するが、意識してハムストリングを鍛えると大きな効果を発揮する。ハムストリングの強く動員するトレーニングを積むことができれば、ハムストリングを構成する筋繊維(遅筋)の周りの毛細血管を増やしたり、筋繊維内で酸素を使ってエネルギーを生み出すミトコンドリアのサイズや数を増やすことができる。
まとめると、リスクを少なく、筋繊維の動員率を高めることができる、ということ。ランニングは地面に足がついて筋肉を動員している時間が0.2秒程度と非常に少ないので、それだけで筋肉の動員率は低くなる。一方バイクはペダルに足をつけ続けた状態が続くので、必然的に筋繊維の動員率は高まると言われている。結果、バイクのほうが筋肉が収縮している時間が長く、筋肉内の圧力が高まりやすい。圧力が高まり血流が悪くなった結果、蓄積される乳酸が増えることになる。
乳酸が出続け、ある一定レベルを超えると、脳は筋肉をケアするため脳下垂体に命じて成長ホルモンの分泌を促す。つまりバイクのほうがランニングより乳酸分泌量が多くなり、それはすなわち成長ホルモンの分泌を促し、ハムストリングなどの筋肉群の成長を加速させるはず=つまり林道の上りも速くなるはず。
ということで、プラシーボ効果ではありませんが、上記のロジックで自身を自己説得し、効果の高いトレーニングを積んでいきたいと思います。
東京で低酸素トレーニングを受けることができる施設
最後に、都内で「低酸素トレーニング」を受けられる店舗を掲載しておきますので、是非試してみてください。
スポーツサイエンスラボ(リンク)
ハイアルチ(リンク)
ラフィネランニング・スタイルネオ(リンク)