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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

オルレアンの少女34-脱走失敗!ルーアン移送

2019.03.28 11:30

ジャンヌは、忠実なことに一緒に捕まったジャン・ドーロン兄弟とともに、ノルマンディー地方のボーリュー・レ・フォンテーヌ城に連行された。そこへたまたまブルゴーニュ候の妻イザベルが訪問し、彼女の命令でボールヴォワールに移送された。しかしその前にジャンヌは第1回目の脱走を試みて失敗したようだ。

ジャンヌはこの城で奇しくも3人のジャンヌという貴婦人に厚遇を受けた。その一人がジャンヌの身柄の責任者であるジャン・ド・リュクサンブールの叔母であり、彼女達は、ジャンヌに婦人服を着せようとしたり、またイングランドに引き渡すのを阻止しようとしたらしい。しかし悪僧コーションがイングランドとブルゴーニュの間で動いていた。

コーションはイングランドに、パリ大学が異端審問をやると申し出て、一方ブルゴーニュへは、身代金を1万リーブルまで吊り上げられると言っていた。ジャンヌはほぼ毎日聖カトリーヌに説得されており、運命を受け入れイギリス人に会え、と言っていたとジャンヌは裁判で言っている。しかしジャンヌはそれを納得せず、幽閉された塔から飛び降りて脱走しようとして失敗した。

フランスでは、捕らわれのジャンヌのために、オルレアンはもとよりあちこちで祈りが捧げられた。しかし仏王はまったく動いた形跡がない。結局10月にブルゴーニュ候は1万リーブルをイングランドから受け取り、ジャンヌは12月頃運命の地、ルーアンに移送された。結局一番動いたのは、イングランド=ブルゴーニュ同盟を壊されたくない悪僧コーションのようだ。

下は脱走しようとするジャンヌ