顎関節症の治療
顎関節とは
顎関節とは左右の耳の前辺りに一つずつ存在している関節です。
下顎の骨はこの関節部分で、関節円板という組織を挟んで頭蓋骨につながっています。
耳の穴の前あたりを指で触ると、口を開け閉めした時にくぼむ部分があると思いますが、そこが顎関節です。
この2つの関節が独立した動きをするのではなく、協働して1つの下顎骨を動かしています。
また、顎関節は回転運動とともに滑走運動も行います。
口を最大まで開ける時、最初は回転運動だけですが、途中から滑走運動を行って顎関節が前に動きます。
顎関節に指を置き、ゆっくりと口を大きく開けていくと、2段階で開くのがわかりやすいと思います。
これらの特徴は肘や膝など他の関節にはみられないものです。
この特徴的な仕組みにより、下顎は複雑な動きを可能にしているのです。
顎関節症とは
顎関節は複雑な仕組み故に、どこか一部のバランスが崩れると、いわゆる顎関節症として不具合が出てきやすいのです。
顎関節症は、顎関節やあごを動かしている咀嚼筋の痛み、顎関節雑音、開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害をとりまとめた病名です
顎関節症の代表的な症状は、
「あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)」
「口が開かない(開口障害)」
「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」
の3つです。
そのため、硬い食べ物が噛めない、大きな食べ物が食べにくい、また、あごの音が煩わしいなどの症状が現れることがあります。
顎関節症の原因
上記のような症状は、顎関節に関連する筋肉に炎症が起きている場合や、顎関節内で関節円板がずれてしまっている場合等に起こります。
ではなぜ炎症が起きたり関節円板がずれてしまったりするのでしょうか?
多くの場合、患者さん自身の日常生活における行動や癖が症状と関係しています。
「歯ぎしりや食いしばり」
「普段から上下の歯を接触させている」
「いつも同じ側(右・左)で食べ物を噛んでいる」
「頬杖やうつぶせ寝」
「歯並びや虫歯・歯周病による噛み合わせのズレ」
「ストレス」等
これらの様々な要因が顎関節症の原因と考えられています。
要は顎関節に異常な負担がかかるような生活習慣があると、顎関節症が発症しやすくなるのです。
顎関節症の治療
生活習慣が原因の場合は、まずはご自身で気を付けることで症状が軽くなる場合があります。
具体的には
「顎関節や咀嚼筋への負担を減らすため、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける」
「頬杖をやめることや猫背などの姿勢をよくする」
「仕事中や休息時に上下の歯が接触していることに気付いたら歯を離すようにする」
「ストレスとなっている環境があれば、それを改善し避ける」
などです。
それでも改善しない場合は運動療法や、夜間装着するマウスピースを作製することもあります。
ただし、顎関節の痛み等には顎関節症だけではなく、腫瘍がある場合や骨折している場合など他の原因も考えられますので、気になったらまずは相談してみてください。