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「A WHITE HERON」Sarah orne Jewtt Barbara Cooney

2019.03.29 08:37

明日、明後日のイベント出店準備(天王洲コレクション/ぞうさんマルシェ)のため、本日は新入荷商品の更新はお休みさせて頂いております。

さて、こちらは先日更新したバーバラ・クーニーが挿絵を描いた「A WHITE HERON」です。

クーニーは日本でもとても人気があるので多くの絵本が翻訳出版されておりますが、こちらは未翻訳の作品ですね。

お話を書いているのはSarah orne Jewtt、19世紀のアメリカの作家/詩人で、自分は不勉強のためこの作家を知らなかったのですけれど、アメリカでは知られた作家のようですね。

日本ではこの作家のみの本は出ていないのですが、平凡社ライブラリーの「新装版レズビアン短編小説集」や「集英社 世界短篇文学全集 第13」(本作品の「A WHITE HERON(白さぎ)」収録、訳は石井桃子さん!)などで、この作家の作品は読むことが出来ます。

森のなかで祖母と暮らすシルヴィア。彼女は、その身の回りの森や自然を愛しています。

そこに一人の若い狩人がやってきて、森のなかで一番珍しい白さぎを探していると言います。

親切な青年で、彼はシルヴィアの家に泊まり、白さぎを見つけるのを手伝ってくれたらお金を払うと言い、翌日も狩りに出掛けていきます。シルヴィアも狩りを手伝うために、付いていきます。しかしその日、二人は白さぎを見つけることが出来ませんでした。

その夜シルヴィアは、自分が高い木の上に登って白さぎの居所を見つけ、若い狩人に合図を送ることにしようと、まだ日が昇る前に起き出し一人で出かけていきます。そして森のなかで一番高い木にまで辿り着き、登っていくのです。

森の屋根から抜け出し、木の頂きまで登り、眼下に広がる朝焼けの空の下の、美しいその森を眺め、白さぎの姿を見つけるのですが、彼女は逡巡し、結局、白さぎの居場所を狩人に教えることはしなかったのでした…。

素直に読むと女性の自立、といったことを暗に示している小説のように読めますね。けれど、クーニーの絵とともに見ると、そうした近代社会が乗り越えようとした問題意識と言ったものから遠く離れて、人間そのものと自然の調和という、より大きな、そしてより深い部分(プリミティブ)にあるものまで、視線を広げさせてくれます。

見て下さい、この美しい朝焼けの空を。

こちらは1963年の初版本(図書館除籍本ですが)で、印刷も良いですね。リトグラフとオフセットを組み合わせた印刷と思われます。(黒色とシルヴィアの服の青色のみリトグラフ印刷であるように見えます)


当店のクーニーの本はこちらです。