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British bake on

ショートブレッド Shortbread

2019.04.02 04:20

こんにちは!タマイです!


今日ご紹介するお菓子は、恐らく日本でスコーンに次いで知名度の高いイギリス菓子、ショートブレッドです。

「イギリス菓子を作ってます」と日常の会話の中で言ったとき、どれだけの人が瞬時にどんなものを作っているか理解してくれるでしょうか?


もちろん「イギリス」というところはわかってもらえますが、イギリスのお菓子??といった感じがほとんどです。


昔はいろいろな名前を挙げて説明しようとしてみましたが、あまりに知名度が低いので、最近はすぐに「スコーンとかショートブレッドとかですよ」と言ってしまいす。

でも、スコーンやショートブレッドって本当にもうどこにでも売ってるんですよね。


これだけ普及してなお、どれだけの人がイギリスの菓子だと認識して買って食べているでしょうか?


というわけで、今日はショートブレッドのことを少し語ってみようと思います。



ショートブレッドはスコーンと同じく、スコットランド生まれのお菓子です。


最初はビスケットブレッド biscuit breadという名前で、スコティッシュは余ったパン種を低温のオーブンで、ラスクのように乾燥するまで焼いていました。なので名前はビスケットブレッドで、“2回焼いたパン”という意味でした。

(文献ではパン種を乾燥させて、とありましたが、“2回焼いた”という意味から、もしかしたら残ったパンをオーブンで乾燥させて、ということかもしれません。)


ビスケットブレッドはパンから作られていたので、当初はイーストを使ったビスケットでしたが、後にイーストはバターに置き換わっていきます。


バターを使ったビスケットブレッド、おそらくこのころにはショートブレッドと呼ばれるようになっていましたが、一般庶民には高価で贅沢なお菓子でした。

なので、ショートブレッドは特別な機会、例えば結婚式やクリスマス、ニューイヤーなどに作られていました。


スコットランドのずっと北にあるシェットランド諸島では、結婚式に面白い風習が残っています。

新しく夫婦になった二人の新居の玄関の前で、新婦の頭上でデコレーションしたショートブレッドを割るのです。

これには幸運と幸せな結婚を願う意味合いがあります。

これはスコットランドの結婚式の古いしきたりの一つのようで、全部で5つあるのだとか?


その話はいづれ、ということで。



ショートブレッドは12世紀にはすでに作られていたようですが、16世紀になってスコットランドの女王メアリーによって広められました。


そのころ、メアリー女王のために特別なショートブレッドが作られたことが一因のようです。

まず、女王と王に模した木型が作られました。

そこにマジパンを入れてしっかりと型に合わせ、更にショートブレッドの生地を詰めて焼きます。木型から取り出した後、表面に金箔を張り付けるのです。


私はイギリス国営テレビのBBCで紹介されているのを見ただけなのですが、とても繊細な作りで、細部まで細かに表現された本当にきれいなお菓子でした。


当時のショートブレッドはキャラウェイシードを使って丸い形に焼かれ、今のカットケーキのように三角にカットされていました。

今でもスコットランドではキャラウェイシードを使ったものも焼かれているようです。

結婚式用に大きなハート形に焼かれたものを見たことがありますが、日本で見るようなショートブレッドとは大きさも形も色も、全く異なるもので驚きました。


日本ではご存知の通り、様々な形で、味もいろいろなものが出ています。

イギリスでも大半は日本と同じようなものが売られています。

キャラウェイシードは独特の香りと風味があるので、ショートブレッドが大衆化していくにつれて、より受け入れやすいものに変わっていったのかもしれませんね。



今日ご紹介するレシピは、ウェンディーの本棚にあった”MODERN COOKERY ILLUSTRATED”からです。これは1043年に発行された本で、1週間のメニュー表や野菜などの旬まで書かれた、主婦の参考書的な本です。


ウェンディーは時々この本のレシピを使っていて、あまりに興味深かったので私も購入してしまいましたが、ぎっしりと詰まったレシピは本当に興味深いものばかりです。

古い本独特の手触りや香り、シミにも興奮させられます。


この本には、タイトル通り写真のようなイラストがちりばめられていますが、イラストはわずかで、ほとんど辞書のようなレシピ本です。

各項目ごと、例えばショートブレッドならショートブレッドのレシピの前に、作り方や注意点、ポイントが詳しく書かれています。その分それぞれのレシピはとても簡潔です。


今日のレシピはこの“ショートブレッド”の項目の中から、ウェンディーと一緒に子供たちのために作った“ショートビスケット”のレシピをご紹介します。


これは型抜きクッキーに分類されるもので、私の中のショートブレッドとはイメージが違ったのですが、私が最初にショートブレッドを作りたい、と言ったときに教えてくれたのがこのレシピでした。


思ったのと違う…とは言えず、その時は素直に言われるままに作りましたが、後でよくよく見ると、ちゃんとショートブレッドの一つなんですね。

なんでも思い込みはよくないですね。


ショートブレッド Shortbread

薄力粉…225g

カスターシュガー…50g

塩…ひとつまみ

マーガリンまたはバター…110g

牛乳…デザートスプーン1+数滴


①オーブンを180℃に予熱しておく。

②小麦粉、砂糖、塩を混ぜ、マーガリンまたはバターをすり合わせるようにして混ぜる(ラブイン)。

③牛乳を加えて捏ねる。この時生地が乾燥しているようなら、数滴ずつ牛乳を足す。

④1㎝厚に生地を伸ばし、クッキーカッターで抜く。約15分焼く。


ショートブレッドとは本来、油脂分以外のいかなる水分、油分も含ませずに作るものが最上級とされていますが、中には牛乳や卵を使うレシピもあり、ショートブレッドに分類されています。

ショート shortには、“さくさく、ぼろぼろ”する、という意味があるので、さくさくのビスケットを総称してショートブレッドと呼んでいたのかもしれません。


私たちは出来上がったショートビスケットに、粉砂糖(icing sugarと言います)に水を混ぜただけの簡易アイシングで飾りつけをしました。

私のへたくそなアイシングにも、みんな大喜びで、心からお菓子を作っていてよかった、と思える瞬間でした。


今読み返してみると、このレシピ本はアイディアにあふれています。

想像力をフル回転させて、順番に挑戦してみようかと思います!

では~。