キリスト教にまつわること
●イエス・キリスト
死後に復活した神の子であり、救世主。
キリストとはギリシャ語で救世主を意味し、イエスというのは当時のユダヤ社会ではありふれた名前でした。
イエス・キリストの生涯は使徒信条(クレド)にコンパクトにまとめられています。
(※使徒信条⇒キリスト教徒が信仰を告白するときの定型文で、異端者や不信心者を区別するしるし)
以下、クレドから全文引用。
『我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず。我はその独り子、我の主、イエス・キリストを信ず。主は聖霊によりてやどり、処女マリアより生まれ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ、陰府にくだり、三日目に死人のうちよりよみがえり、天に昇り、全能の父なる神の右に座したまえり。かしこより来たりて生ける者と死にたる者よを審きたまわん。
我は聖霊を信ず、聖なる公同の教会、聖徒の交わり、罪の赦し、身体のよみがえり、永遠の生命を信ず。アーメン』
以上を要約すると、イエス・キリストは、母マリアが処女懐胎(マリアが処女のままイエスを妊娠)して生まれ、救世主としての活動をした後、十字架にはりつけにされ亡くなったが、三日目に復活。そして天に帰り、やがてこの世に再びやって来て、天国に行く者と地獄に堕ちる者を分ける(最後の審判)という。
●旧約聖書と新約聖書
聖書はユダヤ教とキリスト教の聖典である「旧約聖書」と「新約聖書」の二つからなる。
旧約聖書⇒モーセを通じて神が人間に与えた「旧い契約の書」という意味で、ユダヤ教では単に聖書、またはヘブライ語聖書と呼びます。
新約聖書⇒新しい契約の書。当時の公用語のギリシャ語で記述され、イエス・キリストの生涯と言葉をまとめた四つの福音書(使徒の目を通して語られたイエスの言行録)、使徒たちの宣教の記録、パウロを中心とした初代教会の指導者たちによる手紙、ヨハネ黙示録など二十七巻からなる。
●原罪と贖罪
原罪⇒人間が生まれながらに負う罪。
贖罪⇒救い主による身代わり。
キリスト教における原罪は、楽園であるエデンの園に住んでいた人類の始祖「アダムとイブ」が、神の命令に背いて禁断の木の実を食べて以来、生まれながらに背負うことになった罪を指します。
全ての人間はアダムの子孫のため、先祖(アダム)が犯した罪を受け継いでいるということ。
そのため、人間は額に汗して働かなければいけないようになり、また、いつかは死ぬ存在になってしまったといいます。
そうした人間を罪から救済してくれるのがイエス・キリスト、という教義を作ったのです。
イエスがエルサレムで捕まり、十字架にかかって殺されたのは、人間が自分の力ではどうにもできない原罪を代わって償うためだとされました。これを贖罪。
イエスは人類の身代わりになって死に、三日目に復活。これにより、人間は罪から救われ、改めて神の国に行く資格を得たのです。
ただし、この観念は教派で違いがあります。
今まで説明したのは「カトリック」と「プロテスタント」の考え。
「正教会」では、アダムとイブの楽園追放について、罪を背負ったとは考えません。
蛇(悪魔)に騙された人間が愚かだったため、罪を受けたと考えます。
また、イエスの死についても贖罪ではなく、死んで復活することで悪魔の影響力を滅ぼしたと考えます。
●モーセの十戒
一言でいうと、「絶対に守らなければいけない神との契約十ヶ条」
1 あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。
2 あなたはいかなる像も造ってはならない。(偶像崇拝の禁止)
3 あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
4 安息日を心に留め、これを聖なる日とせよ。
5 あなたの父母を敬え。
6 殺してはならない。
7 姦淫してはならない。
8 盗んではならない。
9 隣人に関して偽証してはならない。
10 隣人の家を欲してはならない。