Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

エイトビルシスターズ

万葉集といわれたら…(小椋由佳里)

2019.04.02 14:41

こんにちは。

エイトビルシスターズの小椋由佳里です。


新元号が発表されましたね。

「令和」、出典は『万葉集』とのことですが…。


何を隠そうこのおぐら、

一応まぁ国語教師。

しかも大学の卒業論文では『万葉集』を扱っておりました。


こりゃぁ黙っちゃいられねぇな。

ということで、少しだけおしゃべりを…。


といっても別に研究者ではないので、簡単なことだけですけど💦


新元号の典拠となった序文の解説は、ニュースなどでみなさん嫌というほど聞いているでしょうから、その序文を書いた(といわれている)人についてピックアップしたいと思います。


それはこの人。



山上憶良(やまのうえのおくら)。

奈良時代の歌人で、奈良の都から、筑紫(今の福岡県=エイトメンバーTHE・子の故郷ですね)に赴任してきました。


憶良は、「貧窮問答歌」で有名ですから、ご存知の方も多いかと思います。

国語や道徳の教科書にも出てきますね。



そう、私は「おぐら」。

彼は「おくら」。

小6国語の教科書で出て来た時、クラスの男子から、「やー!おくらやってー!」とはやし立てられたもんです。

(理科の教科書で出てきたオクラも同様)

でもそう言われることが私はあんまり嫌ではありませんでした。


だって山上憶良はいい人そうだったから。

そう、その時教科書で紹介されていた歌がこれだったんですよ。



銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も

何せむに

優(まさ)れる宝 子にしかめやも



有名ですよね。

「銀も金も宝石も、何てこたぁない。

すべてにまさる宝は子どもである」と…


素敵!✨

子を持つ親御さんは、この気持ち、よくわかるのではないでしょうか?

(どうですか、nobu先輩!)


この歌によって、憶良には「子煩悩パパ」のイメージが定着します。

また、宴席から退出するときのこの歌も、たいへん有名です。



憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ

それその母も 吾を待つらむそ



「私、憶良めはここらでちょっと退出いたしまする~。家に置いてきた子どもが泣いているでしょうし、その子らの母親、つまり愛する妻も、私を待っているでしょうからぁ~。てへ💓」


この時、憶良は60代後半くらいのおじいちゃん。


子どもそんな小さくないやろ。


奥さんとそんなラブラブでもないやろ。


だからまぁ、半分冗談みたいな歌です。


宴会を中座するのは気まずいものですが、こんな感じで言われたら、なんだか許しちゃいますよね。


「わかったわかった、ええよ、もう帰りー」みたいな。

そう、憶良はどこか可愛いらしい人なのです。


そしてきっと、優しい人。


こんなエピソードもあります。

憶良の友人に大伴旅人(おおとものたびと)という人がいました。


ちなみに、「令和」の序文の梅花の宴が開かれたのはこの大伴旅人の邸宅。


旅人の奥さんが亡くなった時、憶良は彼の気持ちを思いやって、挽歌(亡くなった人を悼む和歌)を詠んでいます。


その中で私が好きなのはこれ。



妹(いも)が見し 楝(あふち)の花は

散りぬべし

我が泣く涙 いま干(ひ)なくに



「愛しい人とともに見た楝の花は、もう散ってしまう…。私の涙は、まだ乾いていないのに…。」


↑楝の花(センダン)


悲しいときって、自分のまわりだけ時間がとまったような気がしますよね。


自分は悲しみの底に立ったまま。

でも、世は、時間は無情にも過ぎ去っていく。愛しい妻とともに見た花は、もう散ってしまう…。


そう、時間は悲しむ人を待ってくれません。

でも逆に、時間が経つことで気持ちが救われていくこともありますね。


花と、時と、人の涙。

それらが美しく詠みこまれていて、

しみじみとした和歌となっています。


旅人は筑紫赴任の際に、もう都には帰れないかもしれないと思いました。だからそう若くはない妻を連れてきたのです。


そして、故郷ではない、遠い辺境の地で妻を亡くした。


旅人のその悲しみに、友人である憶良は和歌を詠む、という形で、そっと寄り添ったのでしょう。


憶良の優しさが感じられる、素敵な歌だな、と思うのです。



「令和」という時代が、

人の心に寄り添える、そんな優しさで

満ちた、平和な時代になりますように。



こんな感じのことを、個人的に運営しているブログ「おぐら草紙」でも載せていこうと思います。今は「いだてん」の感想しか載せられていませんが…

そちらもよければ覗きに来てください💓(←ちゃっかり宣伝)

#新元号 #令和 #万葉集 #山上憶良 #大伴旅人 #おぐら草紙 


小椋由佳里 The.子 出演


J-DANCE FESTIVAL 37th  

ストラヴィンスキー「春の祭典」

生きものの地

兵庫県立芸術文化センター

阪急中ホール

2019年5月18日(土)

開場 18:00

開演 18:30

前売り 当日 3500円


詳細は個人出演情報にて