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日常

2019.04.03 03:07

微睡みの中で蒲団から手を伸ばし、枕の先にある置き時計を指で掴む。

薄目を開くと目の焦点が数字を認識する。

635。

時計を元の位置に戻し、毛布を頭から被る。

もう眠りには落ちれないだろうと思いながら、残された時間に何かが起きることを僅かに期待している。

何かーーそれを言葉で表現することは難しい。

意識はまだ半分夢の中にあり、夢から覚めた半分で、白昼夢に見るような妄想を頭に浮かべている。

脈絡のない出来事や言葉が次々に沸いては消えていく。

いっそのこと蒲団からでて着替えを始めればいいと思うが、身体に疲れはないのに、起き上がることを酷く億劫に感じている。

もう一度時計を見る。

6:40。

目覚ましが鳴る10分前である。

時計の横のスマートフォンを手にとり、ロックを解除する。

もう一度毛布を深くかぶり、暗闇のなかでスマートフォンの明かりを灯す。

コミュニケーションアプリを開き、メッセージが1件もないことを確認する。

携帯キャリアのメールアプリを開き、受信トレイに届いたメールのタイトルを眺めたあとで、すべて削除を選択する。

スマートフォンの右上の数値に目をやる。

6:42。

通知トレイで点滅しているFのマークを開くと、株式予想のアプリが起動する。

2、3の記事を読み、アプリを閉じる。

6:44。

もう一度、目を閉じる。

頭はすでに、覚めてしまっている。

それでもやはり、何かを期待しながら、起き上がりもせずに、蒲団の中でじっとしている。

今は6時46分ぐらいだろうか。

両手を腹の前に持っていき指を交差する。

しばらくそうしてみるが、違和感を感じ、両手を身体の両側に持っていく。

左肩を下にして、半身に身体の位置を変える。

時計が目に入る。

6時48分。

何かへの抵抗を試みるため、呼吸を整え無心になろうとするが、雑念が浮かんでくる。

目を開き、フリーのメールを開く。

ホームページからのメールが1件届いている。

『⚪⚪があなたをフォローしています』

奇特な人がいるものだと思いながら、サイトにアクセスし、2年ぶりの新規フォロワーのページを開く。

傷み、のような甘美な詩が掲載されている。

次のページを開こうとしたところで、目覚ましのアラームが鳴り響いた。