春の光
三寒四温という言葉のとおり
ここ数日は厳しい寒の戻りで
咲き始めた桜も
冷たい北風に震えているようです
それでも
行きつ戻りつする季節のなか
光や空の色は透明度を増していて
必ず訪れる穏やかな風景を
心待ちにする日々です
先日
新しい元号の発表があり
日本中がその時を
固唾をのんで見守りました
飛鳥時代645年から始まり
最初の元号・大化から数えて
248番目にあたる新元号
『令和』
これまではすべて中国の古典から
引用されてきた元号が
初めて日本の古典『万葉集』からの
出典となったと知り
古くから自然に寄り添い
暮らしの中で歌を詠むことに
親しんできたこの国にあって
これまで
国書から出典引用されなかったことが
むしろ意外に感じました
『初春の令月にして
気淑く風和らぎ
梅は鏡前の粉を披き
蘭は珮後の香を薫らす』
まだ早い春の佳き日に
穏やかな風が吹く
梅はまるで女性がおしろいをはたくように
その蕾を開き 美しく咲き誇り
蘭の花が着物につけた匂い袋の
香りのように薫っている
(意訳)
その歌の美しく深い意味を知り
森羅万象 自然の中に神が宿り
自然とともに生き
見守れてきたこの国の原点に
今再び立ち返ったように感じ
とても感慨深い思いがしました
時代は速度をさらに上げながら
あらゆるものが進化して行きます
けれども
その中にあって
古くから守られてきた
日本の財産ともいうべき
美しい自然やそこに寄り添う人々の心持は
どれだけ時代が進んでも
失われるべきではないのだと
あらためて感じています
新しい歴史にも
また悲喜交交 様々な出来事が
心に紡がれていくけれども
人々と自然が手を取り支え合いながら
古来から私たち日本人の
心の拠り所であった
四季折々の美しい風景
自然界の姿にあらためて学び
新しい時代の日本が
自然に愛され護られる
美しい国であることを
心から願いたいと思います