ZIPANG-3 TOKIO 2020「~ 大伴家持の足跡を『越の国』に辿る ~『高岡市万葉会館』万葉集の内容に踏み込んだ日本初の施設(1)」
はじめに 記事をお届けするに当たり、先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国・九州地方における大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
現代、日本海側は『裏日本』とか『鄙(ひな)の国』などと言われていますが、遠い昔、弥生時代(紀元前4~500年から 紀元後300年くらい)は日本海側が『表日本』であり、日本海を通じて様々な交流が行われていました。
馬並(な)めて いざうち行かな 渋谿(しぶたに)の 清き磯廻(いそわ)に 寄する波見に
大伴家持がしばしば訪れ、万葉集に「渋谿(しぶたに)」と詠まれた雨晴海岸(あまはらしかいがん)は、岩礁多く白砂青松の景勝の地で日本の渚百選の一つにも選ばれており、天候に恵まれれば富山湾越しに3000メートル級の立山連峰(たてやまれんぽう)を望むことができます。「義経岩(よしつねいわ)」は、源義経が奥州へ落ち延びる途中、にわか雨の晴れるのを待ったという岩で、地名「雨晴(あまはらし)」の由来となっています。また、この景色は、松尾芭蕉が『おくのほそ道』に詠んだ由緒地であり、女岩と義経岩は「おくのほそ道の風景地」ー有磯海ーとして国・名勝に指定されています。
さらに、この海岸から氷見市にいたる長浜は、家持が何度も歌に詠んだ松太枝浜(松田江浜)です。
住所 富山県高岡市太田雨晴
アクセス ■JR氷見線 雨晴駅から徒歩5分
安倍内閣総理大臣談話
新しい元号は「令和」(れいわ)であります。
これは、万葉集にある
「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして気(き)淑(よく)風和(やわらぎ)梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひらき)蘭は珮(はい)後の香を薫(かお)らす」
との文言から引用したものであります。
この「令和」には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ、という意味が込められております。
5月1日に皇太子殿下が御即位され、その日以降、この新しい元号が用いられることとなります。
(平成31年4月1日安倍内閣総理大臣談話より抜粋。)
新元号「令和(れいわ)」は、大伴家持の父である大伴旅人が大宰府で開催した梅花の宴に由来します。
大伴旅人が開催した梅花の宴と、元号の典拠となった万葉集の部分について、
「西本願寺本万葉集」(複製)や寛永版本万葉集などと共に解説します。
●展示名 「令和」と『万葉集』~家持の父大伴旅人と梅花の宴~
●開催期間 2019年4月3日(水)~未定
●休館日 毎週火曜日
※ゴールデンウィークは全日開館
高岡市万葉歴史館
高岡市万葉歴史館の特徴
万葉の故地、高岡
『万葉集』の代表的歌人であり編者ともされる大伴家持は、746年から約5年間、越中の国守として、国庁が置かれた高岡の地に在任しました。
「越中万葉」の世界
家持やその部下の官人たちは、越中を舞台に300首以上もの歌を今に伝えています。これらの詩情あふれる歌の数々は「越中万葉」として、私たちに多くのことを語りかけてくれます。
万葉情報の全国発信基地
高岡市万葉歴史館は『万葉集』を中心テ-マに据えた初めての研究施設として平成2年10月に開館しました。
高岡市万葉歴史館では『万葉集』や「越中万葉の世界」を楽しみながら学ぶことのできる常設展示や企画展示を行っています。また、『万葉集』とその時代を探求するため関係資料の収集・整理し閲覧できるようになっています。そして、その研究成果を全国に発信しています。
高岡市万葉歴史館は、『万葉集』に関心の深い全国の方々との交流を図るための拠点施設として、1989(平元)年の高岡市市制施行百周年を記念する事業の一環として建設され、1990(平2)年10月に開館しました。
万葉集の内容に踏み込んだ日本初の施設
万葉の故地は全国の41都府県にわたっており、「万葉植物園」も全国に存在していました。しかしながら『万葉集』の内容に踏みこんだ本格的な施設は、それまでどこにもありませんでした。その大きな理由のひとつは、万葉集の「いのち」が「歌」であって「物」ではないため、施設内容の構成が、非常に困難だったからでしょう。
『万葉集』に残された「歌」を中心として、日本最初の展示を試みた「高岡市万葉歴史館」は、万葉集に関する本格的な施設として以下のような機能を持っています。
第1の機能:調査・研究・情報収集機能
『万葉集』とそれに関係をもつ分野の断簡・古写本・注釈書・単行本・雑誌・研究論文などを集めた図書室を備え、全国の『万葉集』に関心をもつ一般の人々や研究を志す人々に公開し、『万葉集』の研究における先端的研究情報センターとなっています。
第2の機能:教育普及機能
『万葉集』に関する学習センター的性格も持っています。専門的研究を推進して学界の発展に貢献するばかりではなく、講演・学習講座・刊行物を通して、広く一般の人々の学習意欲にも十分に応えています。
第3の機能:展示機能
高岡市万葉歴史館における研究や学習の成果を基盤とし、それらを具体化して展示し、『万葉集』を楽しく学び、知識の得られる場となる常設展示室と企画展示室を持っています。
第4の機能:観光・交流機能
1万m²に及ぶ敷地は、約80%が屋外施設です。 古代の官衙風の外観をもたせた平屋の建物を囲む「四季の庭」は、『万葉集』ゆかりの植物を主体にし、屋上自然庭園には、家持の「立山の賦」を刻んだ大きな歌碑が建ち、その歌にうたわれた立山連峰や、家持も見た奈呉の浦(富山湾)の眺望が楽しめます。
以上4つの大きな機能を存分に生かしながら、高岡市万葉歴史館はさらに大きく飛躍しようとしています。
敷地・建物の規模
・建築年月/平成2年10月
・敷地面積/10,495m²
・建物構造/鉄骨・鉄筋コンクリート造平屋建(一部地階)
・建築面積/1,837.92m²
・建築延床面積/2,486.26m²
(地階620m² 1階1,837.92m² 2階28.34m²)
高岡市万葉歴史館「館内マップ」
高岡市万葉歴史館
館長あいさつ
高岡市万葉歴史館は、『万葉集』を中心テ-マに据えた初めての研究施設として、平成2年10月に、越中(現在の富山県)の国府のあった地、高岡市伏木に誕生しました。
越中の国の万葉歌は、巻16,17,18,19を中心に337首もの数の歌が残されています。
大和の国(現在の奈良県)の歌が圧倒的多数を占める万葉歌の中で、「越中万葉」は特別な位置を占めているといっていいでしょう。
それはなによりも、天平18年(西暦746)から天平勝宝3年(751)までの5年間、越中の国守として在任し、223首もの歌を残した大伴家持の功績であるといえます。
当館は、その家持の功績を讃え、家持を中心とした越中万葉の魅力を知ってもらうとともに、日本最古の詞華集である『万葉集』について学んでいただく施設です。
当館は『万葉集』に関する調査・研究と、万葉に関する文化展示、情報の収集・発信を積極的に行うとともに、全国の万葉愛好家ならびに研究者の方々の交流・研究の施設として成長してまいりました。
こんにちでは、万葉集研究に関する個人別論文収集は日本一を誇り、『万葉集』の研究データは高岡に行けばそろうといわれるまでになっており、万葉集研究の中心地としての信頼を獲得しています。
また、「越中万葉の世界」を楽しみながら学んでいただける常設展示や企画展示を行い、世界に冠たることばの文化遺産といえる『万葉集』の魅力を江湖に発信しています。
将来の日本の文化を支えてゆくこどもたちに日本人の美しいこころとことばを学んでもらうことも当館の務めであり、学習講座等により、生涯学習の場として末長く多くの人々に愛していただくのも重要な使命であると考えています。
一人でも多くの方々に、日本最古の歌集である『万葉集』に興味を持っていただき、「越中万葉」の故郷にある当館に足を運んでくださることを願っています。皆様方のお越しを心からお待ち申し上げます。
高岡市万葉歴史館館長 坂本 信幸
プロフィール
坂本 信幸(さかもと・のぶゆき)
1947年高知県生まれ。1972年同志社大学大学院修士課程修了。
大谷女子大学助教授、奈良女子大学大学院教授等を経て、現在、奈良女子大学名誉教授。
奈良県立万葉文化館評議員・全国万葉協会顧問・万葉学会代表・上代文学会理事・美夫君志会理事・瀬戸内海文化を考える会会長・飛鳥を愛する会副会長・龍短歌会同人など。
共編著:『古代の歌と説話』・『万葉事始』・『セミナー万葉の歌人と作品』(全12巻)・『万葉集CD-ROM版』・『万葉集索引』・『万葉拾穂抄影印翻刻』(Ⅰ~Ⅳ)・『万葉集電子総索引CD-ROM版』。歌集:『雪に恋ふ』など。NHK番組「日めくり万葉集」の監修、並びにテキスト監修も担当。
常設展示
万葉集とは
万葉集は、奈良時代末(770〜782年)ごろに大伴家持が最終的にまとめたと推定されている全20巻からなる現存最古の歌集です。収められている歌は、一般には『国家大観』の数え方に従って4516首と数えています。
雄略天皇(巻1・1)や聖徳太子(巻3・415)が詠んだと伝承されている歌などもありますが、実際には舒明天皇の歌(巻1・2)にはじまり、奈良時代の天平宝字3年(759年)の大伴家持の歌(巻20・4516)までの約130年間を中心とする、天皇・皇后から」名もなき人々の歌までもがおさめられた一大歌集です。
越中万葉とは
この万葉集の歌4516首のうち、越中で詠まれたか、あるいは越中にかかわって歌われた歌をとくに「越中万葉」と呼んでいます。家持が越中国守(現在の県知事相当の職)として赴任してきた天平18年(746年)から、家持が少納言として越中を離れる天兵勝宝3年(751年)までの5年間の歌が収められた巻17・3927〜巻19・4256を中心に、巻16の7首(3878〜3884)を加えて337首を数えます。
常設展示
─ふるさとの万葉─
大伴家持の歌の世界を多彩な映像装置で表現したメディアボックスや、四季のシンボル造形など、越中万葉の 世界が多面的に展開します。
越中万葉憧憬
ー大伴家持、越中を詠むー
大伴家持の生涯と、越中で過ごした5年間をわかりやすく映像化しています。
〈上映時間〉9時から16時30分までの、00分と30分に30分間隔で上映。
※越中万葉の自然や景物を、大伴家持の歌とともに紹介しています。
メディアボックス
越中の風物を愛し、歌にした家持。その家持が好んで歌に詠んだ花や鳥、それらを歌と対比させながら、映像装置で楽しく鑑賞することができます。
四季のシンボル造形
越中万葉を育んだ自然を、四季の移り変わりの中で象徴的にとらえ、映像と音響効果によって表現します。
常設してる主な展示品
万葉集や上代文学関連の古写本・版本類、遣唐使船・漏刻・木簡の模型などを展示。
交通アクセス
最寄り駅 JR氷見(ひみ)線 伏木(ふしき)駅から
●徒歩 … 約25分
●タクシー … 約5分(片道約1,000円)
●貸自転車 … 伏木駅には貸し自転車(4台)があります。電動自転車もあります。
(1時間100円、1日500円。午前7時~午後7時30分)
※伏木駅にはタクシーが常駐しております。タクシーがいない場合は、伏木駅の公衆電話内にタクシー会社の案内があります。
JR・あいの風とやま鉄道 高岡駅から
●電車(※1時間に約1本) … 高岡駅 氷見(ひみ)線のりば「氷見」行。 → 約15分乗車 → 伏木(ふしき)駅 → 徒歩約25分 → 高岡市万葉歴史館
(氷見線の時刻表)
●バス(※1時間に約2本) … 高岡駅古城公園口(正面出口)4番のりば 加越能バス伏木方面行きのバスに乗車 → 約30分 → 伏木一の宮バス停 → 徒歩約7分 → 高岡市万葉歴史館
「伏木一の宮」バス停にとまる路線
・氷見市民病院(高岡ふしき病院)
・西回り伏木循環(高岡ふしき病院)
・西回り伏木循環(高岡市民病院・高岡ふしき病院)
・東回り伏木循環(高岡市民病院・高岡ふしき病院)
●タクシー … 約20分(出勤・帰宅ラッシュ時はもう少しかかります) 片道約3,000円
高岡市へのアクセス(高岡市観光ポータルサイト)
「高岡駅」とは別の場所に、新幹線・JR城端線の「新高岡駅」があります。新幹線が停まる新高岡駅から高岡駅までは、JR城端線・バス(10分間隔で発車、所要時間は約10分)、タクシーをご利用ください。
※JR北陸本線は「あいの風とやま鉄道」になりました。※氷見線・城端線はJRのままです。 切符購入時にご注意ください。
★富山駅―高岡駅は2通りの経路があります。
1富山駅―(新幹線)―新高岡駅―(城端線)―高岡駅
2富山駅―(あいの風とやま鉄道)―高岡駅
★金沢駅―高岡駅は2通りの経路があります。
1金沢駅―(新幹線)―新高岡駅―(城端線)―高岡駅
2金沢駅―(あいの風とやま鉄道)―高岡駅
高速道路を使用される場合(高岡市観光ポータルサイト)
【能越自動車道】高岡北インターから約20分、高岡インターから約25分
【北陸自動車道】小杉インターから約35分、高岡砺波スマートインターから約35分
北陸新幹線・上越新幹線
E7系は2015年3月14日の北陸新幹線金沢開業に向けて開発された新型新幹線車両であり、2014年3月15日より「あさま」として東京~長野間に先行投入されています(営業最高速度260km/h)。
北陸新幹線は、30‰勾配区間や電源周波数の変化など、車両には条件の厳しい線区となっており、それに対応するべくブレーキ性能を向上させたり50/60Hzの両方に対応したシステム構成としています。
車両のトータルコンセプトを「大人の琴線に触れる『洗練さ』×心と体の『ゆとり・解放感』」とし、『洗練さ』は日本の伝統と最新技術の融合により新たな価値を生むことで表現し、『ゆとり・解放感』は和風の空間に集うことで得られる心地よさで表現した。これらに共通しているキーワードを“和”とし、今後首都圏と北陸新幹線沿線を結び、日本の伝統文化と未来をつなぐという意味から「“和”の未来」を車両のデザインコンセプトとした。
エクステリアデザインは、高速で走行するための造形と日本の伝統的な色使い、新幹線が走行する沿線の風景」を融合させ、スピード感と精悍さを表現した。車体上部色を「空色」、車体色を「アイボリーホワイト」、車体中央の帯色を「銅色(カッパー)」および「空色」とした。
インテリアは、グランクラスは“高めあう和”、グリーン車は“和風の和”、普通車は“集う和”をテーマとしてデザインしています。特に、12号車に設けたグランクラスでは、伝統を感じる空間と先進の機能を持つシートがお互いを高めあうことで、居心地の良い、ゆとりある空間を感じていただけるような演出とし、日本的な事物を象徴しつつも現代的な感覚を合わせ持つカラーイメージで重厚な空間を目指しています。
車内設備では、全洋式トイレに温水洗浄機能付便座を設置するとともに、普通車にも全座席分のコンセントを設けてサービス向上を図っています。腰掛の点字表記取付や多機能トイレにおける独立形オストメイト設備の採用などバリアフリーにも配慮し、また、客室・デッキに加えて通路部にも防犯カメラを設置し、セキュリティを強化しているので安心して乗車できます。
GWは北陸新幹線・上越新幹線で「ちょっこし富山に遊びに来られ」
続く・・・
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
協力(順不同・敬称略)
高岡市万葉歴史館 〒933-0116 富山県高岡市伏木一宮1-11-11 TEL:0766-44-5511
公益社団法人 高岡市観光協会 富山県高岡市御旅屋セリオ7階TEL:0766-20-1547
東日本旅客鉄道株式会社 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。