87th 関西学院グリークラブリサイタル 2019.04.04 08:55 諸般の事情により,簡単に書きます。2週間ぐらいしたら補足するかもしれません。(といいながら,書けていない)今年も出かけた関西学院グリークラブリサイタル。アンサンブルとハーモニーの安定度は相変わらず抜群。合唱として到達しているレベルの高さには唸るしかないのだけど,それだけにもう一歩次へと登ってもらいたい。そんな感じの演奏会だった。総勢70名程度。第1ステージは本山先生の指揮でシューベルトを2曲。実に端正な演奏で,しっとりと音楽が流れるのに好感。ドイツ語は残念ながらワグネルの表現レベルに及ばない。60名程度。解説で本山先生が書かれているように,「ドイツロマン派」「森」「ホルン伴奏」は一つの形式であり,この「森の夜の歌」以外に,ウェーバー「狩人の歌」,メンデルスゾーンの「狩人の別れ」(現在は無伴奏で歌われているが原曲はホルンとトロンボーン伴奏),シューマンの「Jagdlieder」などがある。ホルンは狩りを示すが,中世に神秘的で無限の大自然を表した森と,近代化・工業化の尖兵として狩人。ドイツが近代化し国としてまとまっていくときにこのような曲が作られたことの意味。現在それをどう歌うとグリーンメンは考えたのだろうか。第2ステージは岡田さんの指揮で多田武彦の「北斗の海」。所々にあるサビ,音楽的な感動を誘う部分と,そこに至るまでの草野心平が紡ぎ出している言葉に多田が載せたフレーズ。この組曲はそこをどう設計して歌うか,とても難しい。ある種の難曲だけど,かなりよく研究され歌われていた。いつも思うが,関学は学生指揮者が振っても日本語がきちんと歌われるのは,指揮者に人を得ているのか,グリーに地力があるのか。第3ステージは広瀬先生の指揮,高等部や新月会との合同で「アイヌのウポポ」。160名ぐらいだろうか。東西四大学ではグリーのみで演奏したが,人数が増え迫力と安定感がまし表現の幅幅も広がった分,男声合唱の醍醐味が存分に発揮された音空間だった。解説には各曲ごとに詳しいアイヌ文化との関連が書かれているのだけど,おそらくそういうことに思いを馳せて聴いた人はいないだろう。グリーンメンもこれらの原曲を聴いたことある人はいるのだろうか? 近藤鏡二郎の採譜と清水脩の編曲が作り出した「別のもの」と割り切った演奏で良いと思うのだが。第4ステージは,広瀬先生のバーバーショップ。先生もグリーンメンも生き生き歌われる楽しいステージでした。これがアンサンブルの巧みさにつながるのかな?第5ステージは広瀬先生の指揮で「御誦」。昨年なにわコラリアーズで初めて実演を聴き,その立体的な音空間に驚愕した。カレーに例えると,合唱・ピアノ・パーカッションの各々がその香りと存在をくっきりさせているカレー。対し,本日の演奏はそれらが融和した,カレーに例えると一日おいたカレーという感じ。どちらが良いというものではない。グリーンメンにクリスチャンがどのぐらいおられるのか知らないけれど,プロテスタント系の学校の合唱団として,カトリックの残照である「隠れキリシタン」を材料とする歌をどう捉えて歌われたのだろうか? 「アイヌのウポポ」のように背景を突っ込まず音素材として扱うのも一案ではあるけれど。アンコールは,本山先生がおそらく堀口大學作詩・木下牧子作曲の男声合唱曲集「恋のない日」から「噴水」。広瀬先生は多田武彦の曲のようだが知らない(「樅の樹の歌」の「故地の花(妻に)」みたいな感じ)。岡田さんは多田武彦の「砂上」,そして次の学生指揮者(石川さん?)による合同のU Boj。これ聴かないと納まらないや,やっぱり。良い演奏を聞かせていただいたので,120周年記念事業に向け募金を募っておられることを宣伝しておきます。https://120.kg-glee.gr.jp/120周年史のデジタル版がいただけるそうなので,私も募金します!120週年演奏会の曲目はもう決まっているのだろうけど,80年台に委嘱され関学でも再演されていない,「ギルガメシュ叙事詩」「さすらいの船路」「鐘の音を聴け」があったら嬉しいな(再演されてたら,すいません)。そういえば関学は最近は委嘱活動されていない。他の団が活発にやられているからせんでもええやろし,初演ポッキリじや意味ないよね,というのも分かるけど,日本の男声合唱はやっぱり関学に引っ張ってもらいたい。「関西学院グリークラブが考える次の男声合唱曲(集)」みたいな企画はないのかなあ。。(2019/2/28追記)広瀬先生のアンコール曲は多田武彦の組曲「わが心の詩」より「爽やかな別れの日に」だそうです。なお,感想の補足は別に上げる予定です。以上