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「de maman en maman」Emilie Vast

2019.04.04 10:00

先日少し紹介したパリの出版社editions MeMoから幾つもの作品を出している絵本作家エミリー・ヴァストの、こちらは「de maman en maman」と言う絵本です。

エミリー・ヴァストの作品は日本では「洋梨のけしき」や「あなたをまつあいだに」などが翻訳されているので、その作品を目にした方もいるのではないでしょうか。

シンプルでありながら美しい線を引く作家で、北欧デザインからの影響(ちょっと雑な言い方で申し訳ないのですが…)も強く感じられる作家ですね。

こちらは可愛い可愛いマトリョーシカの絵本です。

一番最初に描かれているのは大きなマトリョーシカ。

添えられているテキストは、

とってもとってもとってもとっても昔のこと、ママのママのママのママの…ママが、わたしのママのママのママのママの…ママを生みました。

次のページは少しだけ小さくなったマトリョーシカ。

とってもとってもとっても昔のこと、ママのママのママのママが、わたしのママのママのママのママを生みました。

なるほどこんな風に、マトリョーシカの入れ子構造を母から子へと繋がっていったものとして表現しているのですね。自らのルーツを辿るかのように、語り手である「わたし」へと至る、大きなマトリョーシカから小さなマトリョーシカへの連なり。

だんだん小さくなっていくそのマトリョーシカは、模様も色も様々に変わっていき、そうした部分でも読者を楽しませてくれます。

ページは進み、マトリョーシカは小さくなっていきます。

そんなに昔のことではないとき、わたしのママがあなたのママを生みました。

自分は、ここを読んだ時に少しの驚きがありました。

語りで手である「わたし」へと至るマトリョーシカの入れ子、と思っていたものが、「わたし」を通り越して「あなた」へとさらに抜けていったことに驚いたのです。

そして最後のページです。そこには小さな可愛いマトリョーシカ。

この間のこと、わたし、つまりあなたのママ、私は、あなたのことを生みました。わたしの子どもとして。

ここで、ひとつ前のページの驚きが、感動に変わっていくのを感じたのでした。「わたし」はすでに「生まれたもの」ではなく、もう「生むもの」になっていたことに。

母親と子どもの、美しい生命のバトン。

可愛らしいだけではない、生命の永遠のつながりを感じるような、美しい感動を与えてくれる絵本です。

本としてはとてもシンプルなのですけれど、その本が表現したものは、途方も無いほどに深いと感じます。

ボードブックタイプなのも良いですね。

出産祝いなどにピッタリの絵本ではないでしょうか。

当店ではオリジナルのラッピングペーパーでお包みすることも出来ますので、ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。


当店のエミリー・ヴァストの絵本はこちらです。