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M-Cross International Corporation Column

スクラブダディ!アメリカで他より値段の高いスポンジが、なぜ売れているのか?

2019.04.05 13:36

 今ではアメリカの家庭でよく見かける、『アメリカで最も人気のあるスポンジ』として有名なScrub Daddy(スクラブダディ)。
 一般的なスポンジに比べて値段が数倍高いのに、アメリカで売れており、そして売り上げは年々増加してます。
 その理由を「Shark Tank(シャークタンク:アメリカの大人気テレビ番組)に出たからだ!」という人もいます。しかし、その理由だけでは、放送から6年以上経った今でも、スポンジの売り上げを伸ばし続ける事はできません。

 今回は、その売れている本当の理由を探ります。

形が機能的なスポンジだから?

 この目立つ形は、理由があってこの形になっているそうです。

 上の写真にもあるように、口はスプーンやフォークを洗いやすくするためのものだそうです。また、目はコップの中を洗いやすくするための穴だそうです。

 確かに写真にあるように、目に指が刺さってます。コップの中は洗いやすそうです。

 1個100円前後の一般的なスポンジと比べて、1個500円前後する高価なスポンジであるスクラブダディ。この機能だけで、これだけ売れるようになるとは思えません。



他には無い特殊素材のスポンジだから?

 他の商品との差別化で、よく行われるのが、品質や機能の差別化です。たしかにScrub Daddy(スクラブダディ)のスポンジに使われている素材は、特殊な素材が使われてます。

 FlexTexture®と呼ばれる素材は、冷たい温度で硬くなり、暖かい温度で柔らかくなるそうです。

 暖かいお湯に浸すと、このスポンジは柔らかくなり、複雑な形状でも隅々までしっかり洗え、冷たい水に浸すと、スチールたわしのように頑固な汚れを洗剤無しで落とせる特殊素材です。

 そして、汚れがついてしまったこのスポンジは、軽い水洗いでスポンジに付いた汚れを落とすことができます。

 「そういった、他とは違う特殊素材のスポンジだから、アメリカで売れたのだ。」といった理由も無いとも言えませんが、それだけでは、ここまで広がらないでしょう。

 今やアメリカでは一般的なスポンジとして、どこのお店でも見かけます。そんなスクラブダディがテレビショッピングの域を超え、一般的にどこでも売られるようになったには、他の何かの理由があるはずです。

 機能+特殊素材+他の何かがなければ、この高価なスポンジのスクラブダディが、ここまでアメリカ人に好かれる商品になることはなかったと考えます。



その答えは、今までのスポンジとは全く違う価値が・・・

 その何かは、キッチンの見えないところに隠されていたスポンジが、見えるところに置かれるようになった、初めてのスポンジだからです。

 それは、スクラブダディが、キッチンで毎日微笑みかけてくれる、可愛さがあったからだけではありません。

 今までのスポンジは、長年使うとスポンジの細かな隙間に汚れこびり付き、洗っても汚れが落ちなくなり、見た目で汚さが出てしまい、いつも目立たないところへ置かれる存在でした。しかし、スクラブダディーはスポンジの隙間に汚れがこびり付かず、軽い水洗いで復活します。

 スポンジをギュッと絞り、手を開くと、汚れが落ちて綺麗になった笑顔が、こんな風に微笑みかけてきます。

 スクラブダディは、スポンジをいつも微笑むキッチンの飾りとして、表に出していい存在にしたところが、今までの数十年間、機能の進化ばかりで革新的な変化がなかったスポンジという道具の存在から、道具を超える存在へと大きな変化を与えました。これこそが、他のスポンジ価値との差別化ができた理由です。 

ブランド作りの重要な要素

 「商品を買っていただいたお客様と、感情で繋がることができると、ブランド作りは成功する!」と言われてます。

 コカコーラーは、リフレッシュする時の感情の共有が、ブランド作りの成功になりました。CMでも毎回表現されているリフレッシュの「爽やかさ」、多くの人がこの爽快という感情を抱きます。

 ナイキは、優れたプロスポーツ選手の運動力を上げるイメージから、一般の人も「この靴を履いたら自分も能力が上がる!」期待という感情を抱きます。

 

 スクラブダディが成功した理由は、煩雑な食器洗いという単調な作業の道具であったスポンジという存在から、使ってくれる人に微笑みかけ、ほんのほんの少しだけでも使う人を明るくさせる存在となった、まるでスポンジが擬人化したような感情を抱かせるところにあります。

 かわいい、きれい、といった形容詞の付加価値だけではなく、微笑む、明るくする、といった動詞の付加価値が加わったことが、このスクラブダディブランドを成功させたのでしょう。

 見た目という形容詞だけではなく、それに加えて、心へ影響を与える何か見えない力の動きが、この商品にはあったのでしょう。