すいません、ほぼ日の経営
以前、本ブログで紹介した「アライアンス」の監訳を務めた篠田真貴子氏の「少し長めのまえがき」の中で、糸井重里さんの「インターネット的」という本を紹介していて、その中に、「これからの社会において、人と人は、インターネットがそうであるように「リンク」し合い、「フラット」な関係を認め合いながら、たがいに「シェア」していくことになるだろう。」と述べている箇所があります。その一文がとても気になっていて、今回、糸井さんが経営している「株式会社 ほぼ日」 に関する本を読んでみました。「すいません、ほぼ日の経営。」(聞き手:川島蓉子氏、語り手:糸井重里氏)です。
ところで糸井重里さんって、1971年にコピーライターとしてデビューして、「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などの広告で一躍有名になって、コピーライター以外でも、作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍していた方ですよね。でも恥ずかしながら今まで知らなかったのですがこの、株式会社ほぼ日を設立してからは(1998年6月にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げてからは、)同サイトでの活動に全力を傾けているそうです。
うーん。。。 常に、あたらしい時代の価値観を提示するような ”旬な” 言葉をモノやサービスに沿えて発信してきた同氏が、なぜ組織や集団を形成してまがりなりにも「利益を追求する」会社(なんぞ)を立ち上げたのでしょうか??(しろうと考えですが同氏はその対極に位置するような人だと思っていましたが。。。)。。おそらく、その鍵を解くキーワードはおそらく「インターネット」なのでしょう。。前の文でもメンションしましたが、これからの時代はインターネットを通じて、人と人がリンクしあい、フラットに、価値観をシェアしていく時代であることを糸井さんは早くから予見し、自分の「言葉」を「核」として、そこに自分なりのに日々の考えや、感じたことをインプットして「新聞」として、会社経由でエンドユーザー(ファン?)に発信し、そのコミュニケーションの延長上で形成されるアイデアをもとに商品を創りだし、エンドユーザーへ届けよう(売ってしまおう)、という発想(戦略?)で商売を始めたのかなあ??と邪推してしまいました。(商売うまいですねっ!糸井さんっ!)
でもですね、本書における(経営者としての)糸井さんの言葉で「素晴らしいな!」と感じたところはいくつもありました。以下、2,3紹介します。
最初に紹介するのは「集中力がいいアイデアを生むか?」という疑問に対する糸井さんの考えです。「この一年で、ほぼ事業の柱となるようなアイデアがいくつも誕生しました。(でも)それは集中したから出たわけではありません。。。思いついたことを人に投げかけてキャッチボールをしたりすることから生まれたわけです。『もっといい考えがあるんじゃない?』と繰り返し、問い続けることが大事なのであって、それは集中力とは違います。」(P93) 、次は「(仕事における)難しいことが稼ぎになるか?」という疑問に対する考えです。「どんなこと(仕事)も難しいに決まっています。なんだって、たいていのこと(仕事)は『難しいですよね』ということから始まりますから。そして、その難しいことをやるから給料をもらえていると、みんなが思っています。でも、難しいことに直面する大変さそのものは、本当のところなにも稼いでいません。そこではなく、おもしろくて、考えれば考えるほどおもしろくなって、みんなのよろこぶものになっていく。それが稼ぎを生むんです。」(P94)
この他、仕事に活かせるようなヒントになる糸井さんの言葉がたくさん載っていますが、自分は最後に紹介した言葉に感心しました。どこの会社でも日々やっている仕事はある面、「苦しい」し「難しい」ですよね、「でもこれで給料もらってるんだから、、」と変に我慢や納得してしまいがちです。。でも彼が言っているのは、(ホントに)稼げるような(つまり生産性をあげられるような)仕事というのはやはり、どこかに「楽しさ」があるんだ、ということです。自分も「(仕事が)難しい、苦しい、でもきっとここを超えられたら、(仕事が)軌道に乗り、順調にいく(だから今やっている苦しいこと、難しいことを我慢しよう)」と感じる時もありますが、おそらくその延長には、稼げる仕事ってないんじゃないかと思います。どこかで発想の切り替えが必要なのだと感じました。
(糸井さんっ!!「インターネット的」も次回読んで勉強しますっ!!)